安倍総理の野党殲滅戦略

 
今日は、雑談風に…

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1.安倍総理の野党殲滅戦略

10月12日から14日にかけて、NHKが行なった世論調査によると、安倍内閣を「支持する」と答えた人は先月より1ポイント下がって58%、「支持しない」と答えた人は、先月より3ポイント上がって26%で、依然、高支持率をキープしている。

また、各党の政党支持率も、自民党が36.1%、民主党が5.2%、日本維新の会が2.1%、公明党が3.8%、みんなの党が1.2%、共産党が4%、生活の党が0.2%、社民党が0.5%で「特に支持している政党はない」が41.8%と、これも自民党の独り勝ち。

この間の消費増税発表や、先日のTPPの聖域除外検討などがマイナス要因があったにも関わらず、支持率には左程影響していない。だけど、その消費増税発表あたりから、ネットを中心に、これまで安倍総理を支持していた層の中からも、安倍総理は変節したのではないかと、若干の混乱も見受けられる。

以前、「安倍総理のデフレ脱却構想」のエントリーで、安倍総理は、今後"新自由主義者"に近い動きをするのではないかと述べたことがあるけれど、戦略特区構想や、一昨日閣議決定された、電気事業法改正案とか、構造改革路線の政策を次々と出していて、確かに、新自由主義に鞍替えしたのかと見えなくもない。

何故そうなのか、を考えているうちに、ふと、安倍総理にある狙いがあってのことではないかと思うようになった。それは何かというと、野党を殲滅し、第2次安倍政権を長期政権にしようとする戦略。

安倍総理の政策をみていると、消費増税をやると同時に大規模経済対策をやったり、経団連に賃金アップ要請をする側ら、法人減税をやろうとしたり、何やらアクセルとブレーキを同時に踏むような政策をやろうとしているように見える。

だけど、それぞれの政策を個別にみてみると、それら一つ一つは野党も主張している政策だったりする。例えば、TPP推進や規制改革といった新自由主義路線は、みんなの党の政策だし、賃金引上げなんかは、民主党や社民党、共産党あたりが大好きな政策。

また、この秋の臨時国会で自公が提出するとみられている道州制法案は、かねてから、維新やみんなの党が主張していたものだし、法人減税は元より自民が得意とする政策。

つまり、現段階での安倍内閣の政策は、与野党の目玉政策をパッケージ化、悪い言葉でいえば、他党の政策を、パクりまくって袋詰めしたものだとも言える。

もしも、自民党が、この「全方位型ポピュリズム」ともいうべき、与野党政策パッケージを実行しようとしているのだとすると、野党はもう壊滅する運命にある。なぜなら、自民党は民主党などの野党と違って、政策実行能力があるから。

野党の主張する政策を、自民が実行するのなら、その時点で野党の出番は無くなり、存在意義は消える。だから、自民が野党の目玉政策をパクって実行すればするほど、野党はどんどん苦しくなる。そして、最後には自民に吸収されるか、自民が言わない政策を無理矢理ひねり出して、細々と存在を主張するしかなくなる。

どちらにせよ、野党勢力はどんどん縮小する方向になるから、ますます自民は独り勝ちになり、安倍政権は長期政権になっていく。もしかしたら、安倍総理はこれを狙っているのではないか、と。

つまり、新自由主義的政策を実施することで、みんなの党を潰し、道州制で維新を潰し、賃金引上げで、民主、共産、社民を潰す。この観点からいえば、消費増税は、財務省を味方に取り込んで、官僚を味方につける方策の一環かもしれない。




2.安倍総理が全方位型ポピュリズムになった理由

この全方位型ポピュリズム戦略は、安倍政権前は成立しなかったと思われる。なぜなら、野党の「自分達にやらせてみれば、もっと上手くできる」という主張も国民に受け入れられる余地があったから。だけど、その期待は、民主党政権が粉々に打ち砕いてしまった。

民主党の政権担当能力がゼロであることが明らかになって、国民は骨身に沁みた。口だけの野党に日本を任せてはいけないと心底思ったから、政権担当能力のある自民に政権を戻した。それが今。

だから、今の状況で、政権担当能力がある自民が野党の政策をパクって、それなりに上手くやってのけたら、国民にしてみれば、野党など完全にお呼びでなくなる。それぞれの支持層の代弁だけやってくれさえしたら、あとは自民がちょこちょこ拾ってやってくれると思うようになる。これはそのまま野党の壊滅を意味してる。

ゆえに、安倍総理がこの戦略で長期政権を築いたとしたら、次の選挙では野党はボロボロになっているのではないかと思う。その意味では、恐るべき戦略かもしれない。

本当に、安倍総理がこの全方位型ポピュリズムで政権運営をしているのだとすると、おそらく、前回の第1次安倍内閣の経験がそうさせているのではないかと思う。

前回の第1次安倍政権では、安倍総理は「美しい国」という理念を掲げて、戦後レジーム脱却を目指し、理念に沿った政策を進めようとしたし、実際、数多くの法案も通した。だけど、その試みは、安倍憎しのマスコミと、野党の攻撃と官僚の抵抗によって1年で潰えることになった。

この時の苦い経験から、安倍総理は、今回、自身の理念に沿った政策は殊更に前面に出さず、他党の政策をパクることで敵を作らないようにする、政権運営方針を取っているのではないか。

確かに全方位型ポピュリズム戦略は敵を作りにくい。だけど、これは互いに相反する政策を同時に実行するケースもあるから、そうなった場合は各々の政策効果を互いに打ち消し合うことになり、思ったほど効果がでてこない、或いは、効果がでてくるのに時間がかかることが考えられる。

今回の消費増税と経済対策のセットにしてもそうだし、賃金引上げと法人減税のセットもそう。だから、全方位型ポピュリズム戦略は、眼前の敵を消し、野党を壊滅させることはできるかもしれないけれど、日本を良くする方向に導けるかどうかは未知数。タグボートで船を四方八方から同時に引っ張っても、船は少しも進まない。

もしかしたら、安倍総理はこの全方位型ポピュリズムで政権を安定させ、野党を壊滅に追い込んだ後、最後の任期の1年で、憲法改正などの本当にやりたかったことを矢継ぎ早やにやってしまう気があるのかもしれないし、それを期待したいところではあるけれど、政治の世界は一寸先は闇という。

それに2~3年経っても、まだデフレから脱却していなければ、流石に支持率も持たなくなってくる。そうなると本当にやりたかったことにも手を付けられずに終わってしまうことだってあり得る。安倍政権の行方は如何に。




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この記事へのコメント

  • 日比野

    雪観僧さん、コメントありがとうございます。とても興味深い内容でしたので、お返事を、10/20付のエントリー「中韓の反日に対抗する方法」としてアップさせていただきました。そちらをご参照くださいませ。m(__)m
    2015年08月10日 15:22
  • 白なまず

    日比野さんご主張の全方位型ポピュリズムを実行すると、消費税増税で税収が減収となり、何とか特区で規制緩和しても、グローバリストが思うようには仕事の効率化で増収に繋がらず、道州制を導入しても、地方行政は行き詰まり、頭でっかちの持論展開の評論家や政治家が言っている事をやると駄目になる事が明らかになり、そこまで悪化させておいて、その結果をうけて「駄目だから政治の方向転換を!!」と一気にやり、劇的に改善して見せようと目論んでいるのであれば、ここは、黙って見守るしかなさそうですね。そして、その為に必ず、失敗した理由をちゃんと流布してぐうの音も出ないほどにネットを通して知らしめる必要はありますが。。。

    2013年11月3日~12月2日は旧暦の10月1日~10月30日の神無月です。丁度アイソン(愛孫)彗星が大接近する11月29日が最大のイベントです。出雲には日本各地から神様達がお集まりになり、従来でしたら良縁の相談となるのでしょうが、今年はどうでしょうか。恐らく遷宮後の秘密の会議が行われるに違い有りません。鹿島神宮からも鹿島大神さまが出雲出張でしょうから、なまずには注意が必要かもしれません。秋マケは
    2015年08月10日 15:22
  • 雪観僧

    我が国は、先の大戦を教訓にしながら、
    特定アジアとの友好を深めなければ成らない。

    私たちは、中国・韓国・北朝鮮を許せるでしょうか?

    私、音信不通の間、歌舞伎にはまってたんですけど
    日本の国民性として「大義のある嘘」「悪党でも美意識のある嘘」には寛容なのではないかと思います。

    また、日本人は、まれにみるお人よしですからね。
    共産党体制が瓦解し、中国という国家が近代化すれば、
    「共産党の所為」で許してしまうと思います。

    対して中国も、面子を潰さなければ上手くいくのではないかしら?

    中国で仕事をする上で、「面前で中国人を注意してはいけない。個室によんで注意せよ。」というのを聞いた事があります。

    ここからわかるように「間違いを認める事は出来るけど、面子を潰してはいけない」という所に注意できれば、案外日中関係は,回復かのうでなはいでしょうか?

    確かベトナムでしたっけ?中国が「過去は水に流して未来志向でいこう」とか言ったのは。
    同じ事を日本が受け入れられれば、上手くいくと思います。

    では、韓国は?

    中国の反日は「事実を大げさに言う」ことで成立してますから、「共産党の所為」にする事
    2015年08月10日 15:22
  • 八目山人

    安倍さんが首相になった出た たかじん で「前のときは自分の考えをやろうとして失敗した」「今はやりたいことの3割ぐらいしかやれていない」と言っていたのが思い出されます。

    変な政策でもぐっとこらえて下に任せてやらせているのでしょう。
    ネットでわいわい騒いでいる人の影響力は、ちっぽけなことを知っているから。
    2015年08月10日 15:22

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