靖国参拝できない安倍総理と最後通牒を突きつけられた韓国
更に更に昨日のエントリーのつづきですけれども、今日のエントリーで今回のシリーズは一旦終りです。
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昨日のエントリーでは、アメリカが自身の外交戦略の変化にともなって、同盟国や友好国との関係を再度確認・構築しようとすると述べたけれど、それは韓国に対しても行なっている。
9月30日、アメリカのヘーゲル国防長官は、ソウルに向かう専用機の中で「韓国軍が持たねばならぬ力量」について問われ、「MDがとても大きな部分を占めることははっきりしている」と答えている。
アメリカとしては、MDに韓国を参加させることで、最低限、北からのミサイルの脅威を排除する体制を整え、その上で戦時統帥権を返還し、半島から手を引くのだろう。
先日行なわれた、ヘーゲル国防長官と朴大統領との会談でも、当然この話題が出た筈で、10月6日付の韓国紙、中央サンデーは、韓国軍関係者の話として、THAADやSM3の導入を韓国政府が検討していると報じているから、受け入れる方向なのだと思われる。
まぁ、普通に考えれば、当然の判断だと思うけれど、日経新聞編集委員の鈴置高史氏は、これはアメリカが、韓国に対して、米韓同盟を破棄して中国に味方する気なのか明らかにせよ、と踏み絵を迫ったものだと指摘している。
確かに、ここのところの韓国の外交姿勢は、中国とアメリカの間をフラフラとどっちつかずの動きをしているから、アメリカが、踏み絵を迫ったとしても少しもおかしくはない。
更に、ヘーゲル長官は会談の中で「米韓日3カ国の安全関係を構築するには、韓日両国の歴史問題を含む現実的な問題を解決する必要がある」と、日本との関係改善に努力するよう促したようなのだけれど、今のように、日韓関係が壊れていると、半島有事の際に、日本からの支援も難しくなる。そうなれば、折角のアメリカのオフショア・コントロールも崩れてしまいかねない。
だから、アメリカは日韓双方に対して、関係改善の努力を要請していると思われる。先日「2+2」で来日した、ケリー国務長官とヘーゲル国防長官が千鳥ヶ淵の戦没者墓地を訪れ、献花している。これについて、アーリントンに相当するのは千鳥ヶ淵であり、靖国ではない、というアメリカからのメッセージだという指摘があるけれど、筆者もそう思う。
実際、同行した米国防総省の高官は記者団に対して、「この墓苑が一番(アーリントンに)近いものだ。第二次世界大戦の戦場で死んだ日本兵、民間人、補助的業務に就いていた人々に敬意を表するもの。これは和解と尊敬の意思表示である」とし、ケリー国務長官とヘーゲル国防長官は「日本の防衛相がアーリントン国立墓地で献花するのと同じように」戦没者に哀悼の意を示したと述べている。
他国でも、やはりそのように受け止めているようで、タイの「バンコク・ポスト」は、10月3日、「Kerry at 'Japan's Arlington' in US war shrine nudge(ケリーの「日本のアーリントン」訪問は、米国による日本の戦争神社についての小言)」という記事を掲載し、「木曜日、東京の墓地で献花した米国国務長官ケリーの行為は明らかに、物議をかもしている靖国神社を日本がもてはやすのを止めるように促す米国による試みである(US Secretary of State John Kerry laid a wreath at a Tokyo cemetery Thursday, in an apparent American attempt to nudge Japan away from lionising its controversial Yasukuni Shrine.)」と指摘している。
まぁ、アメリカがアジアに対して、オフショア・コントロールをしようとしているのなら、今の日韓関係の拗れは悩みの種であることは間違いない。
だけど、故に、これで、残念ながら、安倍総理が秋の例大祭に参拝する可能性はうんと低くなった。参拝すれば、アメリカのオフショア・コントロールによるアジアの平和維持の動きを否定することになるし、安倍総理自身のセキュリティ・ダイヤモンド構想をも否定することになる。
このところ、安倍総理が韓国に対して、「対話の窓口は何時でも空いている」、「首脳会談をしたい」と口にしているのも、このアメリカのメッセージを受け取って「その流れを壊すことはしないよ」という返答ではないかと思う。
先日のAPECでの会議で、安倍総理は韓国の朴大統領の隣に座ってみたり、各国首脳同士での手繋ぎのシーンでも、朴大統領の隣にいて手を出していた。この辺りもメッセージの一環として気を配ってそうしたのではないかとも思える。
まぁ、見ようによっては、そんなことで、靖国参拝ができないのか、という意見もあるとは思うけれど、たとえパフォーマンスであったにせよ、そうした返答ができることは、自身の主張を相手に受け入れさせる余地を広げることに繋がる。
何故なら、ちゃんと配慮ができる人物だと思われることで、交渉相手として見てくれるようになるから。交渉相手と認められら、そこから「交渉」が始まるわけで、あとはその交渉次第で、自身の主張を一部なりとも認めさせる可能性が出てくる。
その意味で、安倍総理は"大人"の対応を取っているわけで、一見、配慮しすぎなくらい配慮しているようにみせながら、なんとか国益を守ろうとしているように見える。
一方、他国の思惑も、空気も読めない、或いは意識して読まないのが朴大統領で、ヘーゲル長官から、日韓関係の改善を促されても、「歴史問題を解決できなければ、日韓関係改善は不可能」だと取りつく島もない。アメリカや他の国に日本が悪いといいふらせば、彼らが日本に圧力をかけてくれると期待しているのかもしれないけれど、日本は、半島に対する賠償にしても、アジア基金にしても、やることをやっているから、第3国からそんな批判をうける謂れはない。
もちろん、第3国にたいしてきちんと説明する必要はある。先日の「2+2」に絡んで、10月3日夜にケリー国防長官と会談した岸田外相は、自ら日韓関係について切り出し、「過去の問題について、日本は誠意をもって最大限取り組んできた。歴史認識についても、安倍内閣は歴代内閣の立場を引き継いでいると繰り返し表明している」と述べ、ケリー国防長官は「日本側の説明を多とする」と述べている。
アメリカが、靖国の意味を十分理解していないのは、仕様がないにしても、少なくとも、日本の立場や行動については理解されている。
アメリカは、おそらくオフショア・コントロールの観点から、日韓双方に圧力(要請)を掛けていると思われるのだけれど、日本は、その要請を受け止めて返事をしているのに対して、韓国は「歴史や領土問題で時代逆行発言を繰り返す(日本)指導部のせいで、信頼を築けない」と他人のせいにして、自分の主張をぶつけるだけ。これでは、どちらを「交渉相手」として扱うのかは考えるまでもない。
韓国はアメリカから最後通牒をつきつけられつつある。やはり朴大統領は危うい。
この記事へのコメント
白なまず
EQUAL「靖国の向こう側」「守屋柱その1」「加門七海情報」
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