日本政府、韓国をWTOに提訴

 
今日は、この話題です。
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10月5日、日本政府は、韓国政府が福島原発事故を理由に福島など8県の水産物の輸入を禁止したことに対し、16日からスイスで開かれる世界貿易機関(WTO)の委員会で、規制の不当性を説明する方針を固めた。

この中で、政府は日本の水産物は国際的に見ても放射性物質の厳しい基準を満たしたうえで出荷されており、韓国の輸入禁止の措置は科学的な根拠に乏しく、日本の輸出を阻害するものだと訴える予定。これまで日本政府は韓国政府に対し、早期の解除を申し入れていたのだけれど、、韓国側はこれに応じないため、今回のWTOへの提訴となった。

日本政府は、国際社会の理解を広げることで、事態を早期に打開したい考えだとしている。

WTOでは、紛争解決手続に係る規律として、「紛争解決に関する規則及び手続に関する了解(DSU:Dispute Settlement Understanding)」を定めている。

WTOの設立する前のGATT時代でも、紛争処理に関する手続は定められていたのだけれど、案件を審理する小委員会(パネル)の設置や、採択は、GATT理事会における全会一致が必要になっていた。その為、提訴された国が抵抗して小委員会の設置を遅らせたり、採択を邪魔したりすることで、その実効性が今一つだったのに加え、政治的に大きな力を持つ国が、GATTの枠組みの外で一方的な制裁措置を発動したりするなどの問題があった。

そうした背景から、ウルグアイ・ラウンド交渉で取りまとめられたのが、このDSU。

DSUでは、従来の手続きに加え、「小委員会(パネル)手続の自動化・迅速化」、「二審制の導入」、「一方的な制裁措置の禁止」が規定され、特に小委員会の設置や採択については、全会一致で反対されなければ了承とする「逆コンセンサス方式」の採用と、各手続における時間制限を設けることで、紛争解決の有効性が増し、利用機会も格段に増えた。

GATT時代での紛争案件が1948年から94年の46年間で314件だったのに対して、1995年のWTO設立から現在までの間に、340件を越す紛争案件がDSUに基づき処理されている。

日本がこれまで、WTOに申し立てした紛争案件は、次の11案件なのだけれど、その1件を除いて全て日本側の主張が容認又は合意している。

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一方、日本が訴えられた案件は12件あり、そのうちの4件は日本側の主張は容認されなかったけれど、残りは二国間合意または協議段階で終了している。

つまり、日本は、WTOに訴えた案件には、ほぼ全て勝ち、訴えられたものの過半は示談で済ますという風に、非常にうまく事を運んでいる。従って、これらを見る限り、今回の韓国の水産物禁輸に対してのWTOへの提訴にしても、十分勝算があると計算した上でのものと思われる。

それに、東京オリンピック招致で、世界に福島原発事故による汚染水漏れはコントロール下にあると宣言している以上、韓国の措置を黙認すれば、その宣言の信憑性も疑われてしまう。だから、いっそのこと協議段階で撤回させて済ますのではなく、DSUの採択まで持って行って、世界的に日本の水産物は問題ないと認めて貰ったほうがよほどすっきりする。

実際、9月29日、韓国の食品医薬品安全処が、直近1ヶ月の日本産輸入食品について、放射能検査を実施した結果、その全ての食品から放射能が検出されなかったと発表している。だから、今回のWTOの提訴でも日本の主張は容認されるだろう。

因みに、韓国の食品医薬品安全処は、9月26日に、食品衛生審議委員会に「日本、福島周辺8県すべての水産物輸入暫定禁止」、「8県以外の地域の日本産水産物からセシウムが微量でも検出されればストロンチウムなどその他の核種検査証明書を追加要求」、「国内セシウム基準370Bq/kgをすべての食品について100Bq/kgに暫定強化する」などの案件を上程して同意推進決定を受けている。

このうち、最後のセシウム基準値についていえば、370Bq/KgがWTO規格(コーデックス規格)であるのだけれど、韓国は、それより厳しい100Bq/Kgを適用しようとしている。

もちろん、より厳しい新基準を適用すること自身は、安全性という意味では意味があることだとは思うけれど、世界基準よりも厳しい基準を適用したことで、ぼろぼろと基準値以上の国内産品が出てきたらどうする積りなのか。

去年、韓国原子力安全技術院が、韓国原発周辺の4つの海域で魚の放射線量を測量したところ、古里原発周辺海域では、ボラの放射性セシウムが基準値の23倍、月城原発周辺海域では基準値のおよそ70倍に達する放射セシウムが検出されたと発表している。

また、ネットの一部では、韓国産のりから1μSv近い放射線が検出された、とか、ソウルの空中放射線量は2.6uSv/hくらいあって、福島緊急避難区域よりも多く、東京の60倍もある、という話も流れている。これが本当であれば、真面目に検査したら、とんでもない量の基準値超の食品が見つかるのではないかとさえ。

韓国は、日本産水産物の禁輸措置は、韓国国民の不安感に対してのものだ、としているけれど、足元の自国産のほうがもっと危ないとなれば、大騒ぎになることは容易に想像できる。

日本憎しで禁輸したはいいけれど、それが返って自分の首を絞めてしまう結果になるかもしれない。




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