今日も簡単に…
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読売新聞は、12月6日から8日にかけて、全国世論調査を行った。それによると、 安倍内閣の支持率は前回11月の64%から9ポイント下落し55%と、内閣発足以来最も低くなった。不支持率は38%と、こちらは前回の23%から15ポイント上昇している。
世論調査は、読売だけでなく、他の新聞社でも行っているのだけれど、大体どの世論調査でも、支持率は10ポイント前後下落している。
支持率低下の原因は、特定秘密保護法を巡る国会運営にあるというのが、専らの見方だけれど、まぁ、あれだけマスコミがネガキャンを張れば、支持率に響かないわけがない。法案が可決したとはいえ、サヨク系マスコミはネガキャンを続ける構えを崩していない。むしろこれからが本番と考えるべきだと思う。
何故なら、この特定秘密保護法が、如何なるものであり、施行されると、実際にどうなっていくのかが、国民にイメージとして十分伝わっているとは思えないから。他の世論調査を見ても、特定秘密法案について、審議が尽くされていないという答えのほうが多いようだ。
12月9日、安倍総理は、首相官邸で記者会見を行っている。その全文はこちらにあるのだけれど、発言の過半は、特定秘密保護法成立についてだった。
安倍総理は、冒頭発言で、特定秘密保護法について、秘密が際限なく広がる、知る権利が奪われる、通常の生活が脅かされるといったことは断じてあり得ないと述べたのだけれど、その後の質問でも、やはりその点についての言及があった。次に引用する。
(記者)
毎日新聞の中田です。
まず、特定秘密保護法についてお伺いいたします。特定秘密保護法については、成立後も国会での審議は不十分だったというような批判が強く、報道各社の世論調査でもそれは表れていると思います。総理は、この法律について、批判はどこに原因があるとお考えになりますか。
もう一点。法律の施行日は公布の日から起算して1年を超えない範囲で定めるとされています。総理は既に発足したNSCを有効に機能させるために、できるだけ早い時期の施行を目指すお考えですか。それとも、世論の批判等を配慮して、できるだけ1年に近い準備期間を設けるお考えでしょうか。
(安倍総理)
まず、厳しい世論については、国民の皆様の叱正であると、謙虚に、真摯に受けとめなければならないと思います。私自身がもっともっと丁寧に時間をとって説明すべきだったと、反省もいたしております。
しかし、先ほどお話しをいたしましたように、今までの秘密について、秘密の指定、解除、保全ルールがなかった、そこに問題があるのです。例えば、いわゆるあの日米安保についての密約の問題。私は、官房長官や総理大臣を経験しましたが、その私も、あのいわゆる密約と言われた事柄について説明を受けなかった。
しかし、今回は、今後、この法律ができたことによって、今後は変わります。総理大臣は今後、特定秘密について、情報保全諮問会議に毎年毎年、報告をしなければなりません。ですから、当然、項目に応じた特定秘密について説明を受けます。受けた説明をこの諮問会議に説明をします。そして、諮問会議はその意見を国会に報告をする。これが大きな違いです。
ですから、今までのように総理大臣も知らないという秘密はあり得ない。そして、誰がその秘密を決めたかも明らかになります。そういう意味においては、まさにしっかりとルールができて、責任者も明確になるということは申し上げておきたいと思います。
また、今ある例えば特別管理秘密、42万件あります。この42万件のうち、9割は衛星情報です。恐らくこれは皆さんも御存じなかったと思います。私も知らなかったのですから、当たり前ですね。そこに問題があるのです。これからは、こういうカテゴリーが明らかになります。9割が衛星情報。そして、そのあと、多くが暗号です。そしてさらには、それぞれの自衛隊の艦船等、細かい性能も全部秘密になっています。そういうものがカテゴリーとして明らかになっていく。どういうカテゴリーになっているかということについては、いわば透明性は増していくということになります。
42万件も総理大臣は管理できるのかという批判もありましたが、まさにそういう中において、9割は衛星写真なのですから、その衛星写真というカテゴリーになります。この解像度自体がどれぐらい精密に撮れているかということ自体が秘密ですから、それはそれでひとくくりになっている。あとは、暗号、武器の性能、そして残りについては、さらにカテゴリーが分かれていくことになっている。それを総理大臣は把握をしますから、格段にそういう意味では、ルールのもとで指定が行われ、解除が行われ、さらには誰が責任を持っているかも明らかになっているということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。
廃棄においてもルールができます。今まで4万件廃棄されたうち、3万件が民主党政権時代、たった3年間のうちに防衛機密、廃棄されました。どうして廃棄されたのか、誰に責任があったのか、これも明らかでないということも、この法律によって起こらなくなるわけでありますから、つまり、格段に透明性も責任もルールも明確になるのだということは、はっきり申し上げておきたい、このように思います。こういう説明をしっかりとしていけば、必ず私は国民の皆様の御理解をいただけると思います。
そして、いつ施行していくか。これは、まず1年ありきということでもありませんが、しっかりと、チェック機能も含めて、この制度設計を行っていく。今、申し上げたみたいな説明をしっかりと行っていく。その上において、しかるべき時に施行していきたい、このように考えております。
とまぁ、12月5日に夕刊フジのインタビューで答えた内容と殆ど同じ。この説明を繰り返さなければならないこと自体、法案の中身が知られていないことを物語っている。
例えば、特定秘密の9割が衛星写真であることは、安倍総理が法案審議の答弁でも述べているのだけれど、そのことをその時、ちゃんと伝えたマスコミはどれだけあったのか。これがマスコミに出てくるのは、安倍総理がインタビューに応え、総理自身が指摘したもので、それも法案成立直前か成立後の記事ばかり。
また、「知る権利が奪われる」という批判についても、安倍総理は、責任の所在が明らかになり、秘密指定解除や廃棄にもルールが課されることになるから、そんなことは起こらない、と反論しているけれど、それについて、どれだけのマスコミが報道したのか。
ネットでは、安倍総理の記者会見で、総理が特定秘密法案の説明を始めたら、民放が一斉にCMに入って中継を中断したという。筆者はその場面を見ていないから、本当かどうか分からないのだけれど、これが本当なのであれば、卑怯極まりないと言う他ない。
今回の特定秘密保護法の可決は、これまで、全方位ポピュリズムでの政権運営をしていた安倍総理にして、珍しくやるべきことをやったと筆者は受け止めている。
今回の法案可決の影響で、内閣支持率は落ちたけれど、全方位ポピュリズムを離れ、特定の方向に踏み込んだ以上、支持率に影響することは避けられない。マスコミの反対キャンペーンの中、支持率が落ちることを覚悟した上で、法案成立をやり遂げたことは素直に評価したい。
やはり安倍総理は、内心ではやりたいことがあるのだけれど、それをぐっと抑えて、少しずつ事を進めようとしているように見える。
先日亡くなった、漫画家のやなせたかしは、正義について「ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そしてそのために自分も深く傷つくものです」と述べている。
自分の顔を食べさせるアンパンマンは、正義を行うときには、自分もある程度傷つくことを覚悟しないとできないことを象徴させたものなのだと、やなせたかしは述懐している。
やなせたかしの言葉が真実だとすると、今後、安倍総理は、自身の"正義"を行なう度に傷つくことになる。確かに、目の前にある政治課題をみる限り、支持率にプラスに働くイベントはそう沢山あるとは思えない。来年4月の消費増税や度重なる中国の挑発など、むしろマイナスに働く要素のほうが多いかもしれない。
マスコミは自らの考えを"正義"とし、安倍バッシングを加速していくことも十分考えられる。それにどう立ち向かっていくか。安倍政権の正念場が近づいている。
「正義はある日突然逆転する。逆転しない正義は献身と愛です。」やなせたかし
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
なぜ自分でやりたいとも思っていなかった消費税増
をやったか, 倉山満の説明にも未だに納得できない.
その背後には米国の勢力図の読み違えがあるのではないか.
日本は大東亜戦争前後からひたすら米国の世論に
対して受身になっており, 自ら日本(人)の立場を
アピールしてこなかった. それが現米国政府の(数人の)声に
逆らえない現在の状況になっているのだろう.
今後の世界を考えるなら, オバマ大統領の, と言うよりは
その背後霊たる金融資本の下での米国の独善を止めさせないと
先進国も興進国も文化の衰退を招くことになろう.
すでに米国ではマイノリティの力の下で米国文化が
衰退をしようとしており, 欧州では独指導の第四帝国の下で
金融と言う信仰の下での中世化を迎える可能性がある.
日本はオンブダッコですがり付こうとする米中を
付き放し, 独自の道を探すべきだろう. 米国の衰退は
オバマ大統領によって意外と早く到達するかも知れない.
次の大統領がWASPではなく, 支那系になると没落は確実だ.
なぜなら, そこには米国の精神は何もないからだ.
(
日比野
>国家機密保護法案とか、国防機密保護法案として審議するべきであったと…
そのとおりですね。中身をみれば、国家機密保護法ですからね。それでもマスコミはなんだかんだでネガキャンはしただろうとは思いますけれども、今回程酷くはできなかったかもしれません。
>とりもなおさず、次は集団的自衛権行使発動ですね。
そうですね。安倍総理は、外堀を埋める形でじわじわと来ると思いますけれども、目下14日の会見に注目してます。直観では北朝鮮絡みのような気がちょっとしてますけれども…、どうなんでしょうね。
土佐のくじら
特定秘密保護法は事実上、国家機密保護法であり、国防機密保護法です。
であるならば、国家機密保護法案とか、国防機密保護法案として審議するべきであったと、私は残念に思っております。
つまり、ネーミングセンスがなかったと思うのですね。
国家機密保護法案であるとか、国防機密保護法案というネーミングであれば、今の日本国民ならば、マスコミのネガキャンを張ることはできなかったと思っております。
とりもなおさず、次は集団的自衛権行使発動ですね。