みんな党の分裂と政界再編

 
今日は、この話題ですけれども、簡単に…

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12月9日、みんなの党の江田憲司前幹事長ら計14人が、離党届を提出した。

離党したのは、江田憲司、青柳陽一郎、井坂信彦、井出庸生、小池政就、椎名毅、畠中光成、林宙紀(敬称略)の7衆院議員と、小野次郎、川田龍平、柴田巧、寺田典城、藤巻幸夫、真山勇一(敬称略)の6参院議員。

衆参35人の議席を持つみんなの党から14人が抜けるのだから、これはもう分裂といっていい。離党した議員らは、届けを出した後、記者会見を開いている。

こちらに、その記者会見の全文があるのだけれど、冒頭、江田氏は離党することについて、「断腸の思いだ」とか、「無念でならない」とか、言っている割には、結構、清々した顔をしているように見える。

江田氏によると、この14人を中心として新党を結成する方針だという。この時期に新党を結成するのは、年内に新党を立ち上げれば、来年の政党助成金の対象になるという事情もあるのだろうけれど、選挙前に新党を結成して、注目が集まっているうちに選挙戦になだれ込むでもなし、傍からみれば、唯の分裂。

江田氏は記者会見で、離党した理由として、みんなの党結党の原点に戻り、野党勢力を結集し、自民党に代わりうる政権交代な一大勢力を作り上げていくことだ、と述べているけれど、2つ3つくらいなら、未だしも、民主、維新、みんな、生活、共産、社民と4つも5つもある野党を結集させるなんて容易なことじゃない。基本的に政策が一致しないからこそ、党が分かれているのであって、基本政策が一致するのなら、そもそも分かれている必然性がない。

江田氏は「我々野党に課せられた使命は、小さな政党がいがみ合うことではなく、基本政策を一致させて、政権交代可能な国民への期待をしっかり受け止められる政党を作っていくことではないでしょうか。」と言っているけれど、みんなの党から離党したのは、みんなの党内で、あなた方こそが、いがみ合ったからではないのか、という疑問が拭えない。

実際、今年8月に、江田氏がみんなの党の幹事長を更迭されているけれど、党運営や野党再編の在り方を巡って、渡辺代表と対立したのが原因だとされている。

時事通信の田崎史郎氏によると、8月に江田氏が幹事長を更迭された夜、江田氏を慰めようと、みんなの党の議員14人が集まったのだそうだ。今回離党者が、江田氏を含めて14人だということを考えると、この夜集まった面々がほとんどそのまま、離党したのではないかと思われる。



今回の離党について、渡辺代表は、記者団に「新党準備行為は反党行為。出ていっていただく」と述べ、「11月とか12月にできた政党は、ほとんどなくなっています。なぜか。まさしくお金目当てだからですよ。国会議員が5人以上いれば政党になり、(政党助成金が)大体、1人頭2000万円がもらえる。12月にできた新党は必ず失敗する。大義がなければ政治の世界では国民から見放される。」と猛烈に批判。

それに対して、江田氏は「もはやこの党に将来はない」とばっさり。傍からは、いがみ合った末の分裂に見えてしまう。

今回の離党に当たっては、渡辺代表ら、みんなの党の執行部は、離党の可能性がある議員に電話などで引き留め工作を行ない、同時に、比例当選した議員については「比例の議席は、みんなの党の議席。議席を返していただく」と、離党する場合は、議員辞職を求める意向を示すなどして食い止めようとしたようなのだけれど、離党直前、江田氏は、FNNの単独インタビューに対して「一人も切り崩されることなく、辞表を粛々と提出する」と晴れ晴れとした顔で答えている。

実際、離党記者会見でも、離党者14人全員が会見に出席しているから、江田氏ら離党者の結束は固いとみていいだろう。江田氏に人気があるのか、渡辺代表に求心力がないのかどちらなのかは分からないけれど、離党劇に関していえば、江田氏の勝ち。

だけど、離党が上手く出来たとしても、これからが大変。江田氏の政界再編には、維新の橋下共同代表や松井幹事長、そして、民主党の細野元幹事長あたりが協調するのではないかと噂されているのだけれど、どうなるのかはまだ分からない。政策の一致や党の理念の純化を求めれば求めるほど、人は集まりにくいし、だからといって、政権交代をお題目にして、兎に角誰でも彼でも、みんな受け入れますとなったら、それこそ民主党の二の舞になる。

みんなの党については、9月に「安倍内閣支持率回復とキングオブキングスを夢見る者」で取り上げたことがあるけれど、新党にせよ、野党再編にせよ、大切なのは、その政策がどこまで"正しいもの"であるか、ということ。野党少数勢力であれば尚の事、「正しい政策」を訴え続けることができなければ、民衆の支持は集まらない。少なくとも、今の野党で支持を伸ばし続けているところがないのだから、彼らと同じようなことを言っているだけでは、江田新党とて「未来がなくなる」可能性がある。

「政権交代」を掲げるだけで、マスコミから何から後押ししてくれた"お花畑"の時代は、もう終わっている。




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この記事へのコメント

  • とおる

    > 我々野党に課せられた使命は政治理念や基本政策の一致を前提に野党勢力を結集し、自民党に代わりうる政権交代な一大勢力を作り上げていくことだと我々は信じております。

    アジェンダは、どうするのでしょう?
    反自民でひとつにまとめようとするのは、民主党の「政権交代」という掛け声の二番煎じ?(第二民主党と揶揄された原点回帰?)
    政治が、どんどん、お笑いの領域に入っているようです。
    2015年08月10日 15:21

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