今日は、雑談エントリーで、極々簡単に…。

ようやく特定秘密法案が可決した。
12月6日、参院本会議で特定秘密保護法の採決が行われ、賛成130票、反対82票の賛成多数で可決、成立した。
特定秘密法案については、以前「特定秘密保護法案と知る権利」のエントリーで取り上げたことがあるから、あまり言うこともないのだけれど、それにしても、マスコミの法案反対キャンペーンは酷かった。
やれ、知る権利がどうだの、やれ戦争回帰がどうだの、新聞は反対論ばかり書いていたし、ネット配信記事もそう。何がいったいそうさせるのか。
特定秘密保護法の全文はこちらにあるのだけれど、マスコミが大騒ぎする割には、世間では全文を読んだことがある人は、あまり多くないようだ。簡単に知りたければ、こちらにある、経済学者の池田信夫氏の解説がいいかもしれない。
実際、何が特定秘密になるかについては、法案の別表に次のように規定されている。
別表(第三条、第五条―第九条関係)少しもおかしいところはない。むしろ、秘密というか「機密」にしないといけないものばかり。防衛関わる性能や暗号、テロの防止に関する情報なんて国家機密の極秘事項。今まで、こんなのが法律になっていなかったことのほうが非常識というべきだろう。
一 防衛に関する事項
イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究
ロ 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報
ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
ニ 防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究
ホ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。チ及びリにおいて同じ。)の種類又は数量
ヘ 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法
ト 防衛の用に供する暗号
チ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法
リ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法
ヌ 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途(ヘに掲げるものを除く。)
二 外交に関する事項
イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの
ロ 安全保障のために我が国が実施する貨物の輸出若しくは輸入の禁止その他の措置又はその方針(第一号イ若しくはニ、第三号イ又は第四号イに掲げるものを除く。)
ハ 安全保障に関し収集した条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報その他の重要な情報(第一号ロ、第三号ロ又は第四号ロに掲げるものを除く。)
ニ ハに掲げる情報の収集整理又はその能力
ホ 外務省本省と在外公館との間の通信その他の外交の用に供する暗号
三 特定有害活動の防止に関する事項
イ 特定有害活動による被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「特定有害活動の防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究
ロ 特定有害活動の防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報
ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
ニ 特定有害活動の防止の用に供する暗号
四 テロリズムの防止に関する事項
イ テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「テロリズムの防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究
ロ テロリズムの防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報
ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
ニ テロリズムの防止の用に供する暗号
保護法案について、安倍総理は夕刊フジのインタビューで次のように答えている。一部引用する。
──「知る権利が奪われる」という批判もあるこのように、42万件あるという特別管理秘密の実に9割が衛星写真で、そこから防衛機密を引くと確かに総理がみるべき秘密はうんと少なくなるだろうと思われる。
「これも違う。特定秘密は原則30年で解除される。内閣の承認を得て秘密指定が継続されても、暗号や情報源など7項目の例外を除いて60年は超えられない。独立公文書管理監は、秘密を含めた歴史的公文書を国立公文書館にスムーズに移管させ、廃棄させないようにする。これまで約4万件の防衛秘密が廃棄されたが、その4分の3にあたる約3万件が、たった3年3カ月の民主党政権時に廃棄されたことは特筆すべきだ」
──民主党政権といえば、2010年の尖閣沖中国漁船衝突事件の映像を当初、隠そうとした
「あの映像は日本の国益のために、国際社会に広く公開すべきだった。ところが、民主党政権は衝突映像を流した海上保安官(当時)を退官に追い込んだ。海上保安官は『どのようなルールで秘密を決めるか。誰が決めたかが問題』と指摘していたが、その通りだ。民主党政権は致命的に間違った判断をした。今回の法案で、こういうことは起こらなくなる」
──「42万件もの特別管理秘密を首相1人ではチェックできない」という意見もあった
「特定秘密の9割は衛星写真。(写っているものが秘密の対象でないとしても)解像度を他国に知られてはならないため秘密になっている。1枚1枚チェックするものではない。それから、暗号は古いものから新しいものまで秘密になる。あと、戦車や艦船などの鋼板の厚さや、装備した武器の命中精度など無数の秘密がある。これらを除くと、首相がチェックすべき秘密はかなり少なくなる」「安倍首相単独インタビュー 特定秘密保護法案への批判、疑問に答える」より抜粋引用
特定秘密の範囲が限定的に規定され、その9割が衛星写真で残りが国家機密であれば、まぁ、ほとんどの一般人は関係ないだろう。
マスコミは特定秘密法案について、がぁがぁ騒いでいるけれど、マスコミでの産経の阿比留瑠比氏は、「特定秘密 民主政権の秘匿をメディアはどう報じたか」という記事で、マスコミのダブスタぶりを斬って捨てているし、早稲田塾講師の坂東太郎氏は、マスコミの御都合主義は国民に見透かされていると突き放している。筆者もそう思う。
まぁ、あえて気になる点を挙げるとすれば、特定秘密を指定する権限を持つ者と、それを管理保管する者の人選だけはしっかりすべきというくらいか。法案では前者を「行政機関の長」とし、後者を「警察庁長官」と定めている。行政機関の長は、いうまでもなく、総理大臣だし、警察庁長官は、国務大臣である委員長と5人の委員の計6人で構成される国家公安委員会が任命する。
そういう運用面でちゃんとした人を選ぶこと。安倍総理が指摘しているけれど、民主党政権が4万件の防衛秘密のうち3万件を廃棄したようなことをされてしまったら、特定秘密に指定することで、国家機密を「保護」することができなくなってしまう。
だから、結局のところ、特定秘密法案が国民に仇なすか否かは、国民が総理大臣をちゃんと選んでいるかどうかということに帰着するのだと思う。
この記事へのコメント
日比野
>マスゴミが常軌を逸した反対キャンペーンを行ない、民主党や極左・在日団体が強硬に反対した理由が、以下の「第十二条2項一号」だと…
そうなんですよね。私も気になったのがここですけれども、更に全体をみていくと、結局「行政機関の長」と「警察庁長官」がポイントではないかとおもったんですよ。各条文の主語を拾うとこればっかり出てきますからね。
特にご指摘の12条は「特定有害活動」を防止するためのものですから、反対キャンペーンを張る人達はそんなに、"うしろめたい"ことでもあるのかと思ってしまいますね。
特定秘密指定は国家機密情報ばかりなのですから、普通に秘密で当たり前です。
sdi
60年安保闘争の頃からの相変わらず「オール・オア・ナッシング」の思考しかできない時点で、国内輿論の支持なぞ得られるはずがありません。前回総選挙時の「反原発」と同じです。私は、「機密指定するプロセス」と「機密指定された後、何時どうやって情報公開するか」について突っ込んだ具体的な議論を期待していたのですが、野党、マスコミ、その他特定機密保護法反対の言論人はこの二点は完全無視でした。この二点についてはっきり明文化して官僚の裁量行政の余地をなるべく少なくすることこそ、後世の日本人への最大の貢献ではないでしょうか?「自民党叩きや政治運動のための口実が欲しかっただけなのだ」と言われてもしょうがないです。彼ら自身は全く自覚してないのでしょうね。
opera
ただ、こうした制限が無かった今までの日本の方が国際的には非常識と言うべきで、将来的には、行政機関の長の選出についても同様の評価及び制限が必要になるでしょうね。
↓
『第五章 適性評価
(行政機関の長による適性評価の実施)
第十二条 行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。
2 適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。
一 特定有害活動(-省略-)及びテロリズム(-省略-)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の 事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及