都知事選は野党再編への起爆剤
今日は簡単に…
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東京都知事選の序盤情勢がちらほら出始めている。その結果は、下馬評どおり、舛添氏が細川氏ら他の候補を引き離している情勢のようだ。
産経新聞、共同通信、毎日新聞、東京新聞が23、24日に行った電話世論調査をもとに取材を踏まえて探った序盤情勢を伝えているけれど、それぞれ舛添氏がリードし、細川氏と宇都宮氏が追い、田母神氏が続くという分析で一致している。
舛添氏は、自公支持層の5割以上を固め、連合東京の支援をバックに民主党支持層などへの浸透も狙っている。一方、細川氏は、民主、結い、生活3党が勝手連的な支援を展開し、幅広い層への支持拡大を急いでいるものの、出遅れ気味の模様。宇都宮氏は、共産党支持層の7割近くを固め、田母神氏は、都民への浸透を目指している段階。
政治評論家の小林吉弥氏によると、現時点では、「投票率50%として、投票総数は約500万票。このうち200万票は舛添氏の基礎票で、浮動票200万票の5分の1を獲得すれば舛添氏の当選が決まる」と分析し、同じく政治評論家の浅川博忠氏も「舛添氏はすでに220万票は固めている」としている。
産経新聞の調査によると、都民が最も重視する政策テーマは「少子高齢化や福祉」がトップの26.8%。次いで「景気と雇用」が23.0%で、「原発・エネルギー問題」はその次の第3位で18.5%。
細川氏や一部メディアが脱原発で煽った割には、ショボイ結果。今の所、都民はマスコミには踊らされてはいないように見える。
これに焦っているのが脱原発に全賭け状態の細川陣営。細川氏の陣営幹部は「もう少し競っていると思ったが…。ジタバタしても仕方がない」とこぼし、落胆しているという。何でも、小さな子供を持つ母親世代には「脱原発」をアピールできると計算していたようなのだけれど、20代、30代の若年層には細川氏は浸透しておらず、30代女性の支持は低迷しているという。こうなると、脱原発一点掛けの選挙戦は逆に不利に働く。
細川陣営は、若年層の認知度が低いと判断し、インターネットに詳しい元衆院議員を選挙対策本部に入れ、ホームページに工夫を凝らして支持拡大を図るとしているのだけれど、1月26日23:30時点では、細川氏の公式ホームページは、数日前と比べて、単に街頭演説の動画を貼り付けているとか、応援ツイートボタン以外、特に工夫らしきものは感じられない。
ただ、「よくあるご質問」が前回より2つ増えているのだけれど、「猪瀬氏のケースとは違うの?」「個人的な貸し借りだとは当時も分かっていた - 白川元代議士が選挙事務所で激白!」と、その2つとも佐川急便問題となっていて、よほど、この問題でツッコミが入りまくっているであろうことが伺える。佐川問題を問い詰められ、頼みの綱の脱原発は第一の争点にして貰えない。ちょっと手詰まり感が漂い出しているように見える。
一方若年層からの支持が高いのは宇都宮氏と、田母神氏で、宇都宮氏は世代が上がるほど支持が離れていく傾向にあり、田母神氏も高年層への浸透は進んでいない様子。
宇都宮陣営幹部は「まだ差は詰められる。脱原発に特化した選挙ではない。生活に密着した具体政策と実行力、人柄を打ち出す」として、脱原発を主要政策に掲げていたのから軌道修正を図ろうとしている。
また、田母神氏の陣営は、「保守層に一番共感を得てもらえるのはわが陣営。…若い世代が元空自トップの実務経験などを冷静に見てくれている」と自信を深めている。だけど、「まずはランキングの土俵に入れた」とも述べているところをみると、田母神氏陣営自身、下手をすれば泡沫候補かもしれないと思っていたフシがある。それを考えると、ランキングの土俵に入れただけでも十分健闘したと見ているのかもしれない。
現時点では、細川氏、宇都宮氏、そしてマスコミが期待した「脱原発」は、最大の争点ではなくなり、争点のひとつに過ぎなくなった。もちろん、国政が司る原発政策が地方選挙の争点になること自体、筋が違うのだけれど、都知事選の候補者が原発政策をぶち上げ、彼等を政党が支援することで、かえって、政党内部で原発政策の扱いがクローズアップされてしまうことになった。
民主党は、細川氏が脱原発を上げたことで、支持母体の対応が割れてしまった。また、1月24日、原発推進の田母神氏を支援する維新の会の石原慎太郎共同代表も、「原子力政策を全部否定することになったら党を辞めないわけにはいかない」と述べ、離党を示唆する発言をしている。
これらをみると、何やら、地方選挙である都知事選をいわば"出汁"にして、野党再編というか、政党に揺さぶりがかかっているかのように見えなくもない。これも大本を辿れば、細川氏が出馬を決めた辺りから起こっていることを考えると、やはり、細川氏を担ぎ出した小泉純一郎元総理の仕掛けが今の事態を生み出したといっていい。
また、離党を示唆した石原慎太郎氏にしても、離党した後の次の乗り換え先として田母神氏を狙っていることも考えられなくもない。
昨今の世論調査では、維新の会の支持率はじわじわと低下し、1%を切るか切らないかまでになっている。石原慎太郎氏が離党を示唆したのも、維新の会首脳部と政策的に合わない部分があることはもとより、維新の会そのものに先がないと見た可能性も考えられる。
もし、田母神氏が都知事選に勝てずとも、他の3候補とそれなりに戦い、ある程度の得票を得ることができれば、田母神氏を党首して新党を結成しても、それなりの支持母体を確保できる目が見えてくる。そうなれば、石原氏は、旧たち日系の議員を加えて、維新の会を二つに割って出るかもしれない。
支持率が減ったとはいえ、維新の会は先の衆院選では風に乗って53議席も獲得している。半分に割っても25議席以上ある。政策・信条をみても、橋下氏よりは田母神氏のほうがより石原氏に近いことを考えると、旧たち日系議員が、石原氏と共に田母神氏につく可能性は十分に有り得る。
都知事選後、野党の動きには注目したい。
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