今日はこの話題です。
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1月24日、第186通常国会が召集され、安倍総理が午後の衆院本会議で施政方針演説を行った。演説の内容はこちらで公開されているけれど、概ね、集団的自衛権に言及した、なんてのが多いようだ。
全国紙での見出しをざっと拾ってみると次のとおり。
産経:安倍首相が施政方針演説 「好循環実現国会」へ意欲、「集団的自衛権」に言及とまぁ、いかにも安倍総理が集団的自衛権の行使に向けて意欲満々といった感じで報道してる。だけど、本当にそうなのか。
毎日:施政方針演説:安倍首相 集団的自衛権「対応検討」を表明
読売:首相「経済の好循環で脱デフレ」…施政方針演説
朝日:集団的自衛権容認に意欲 首相施政方針 通常国会が召集
施政方針演説で、安倍総理は「はじめに」と「おわりに」を合わせて、11の項目(見出し)について述べているのだけれど、その項目は次のとおり。
一 はじめに
二 創造と可能性の地・東北
三 経済の好循環
四 社会保障の強化
五 あらゆる人にチャンスを創る
六 オープンな世界で日本の可能性を活かす
七 イノベーションによって新たな可能性を創りだす
八 地方が持つ大いなる可能性を開花させる
九 安心を取り戻す
十 積極的平和主義
十一 地球儀を俯瞰する視点でのトップ外交
十二 おわりにと、なっていて、集団的自衛権という言葉が出てくるのは「十 積極的平和主義」の項目の中だけ。しかも安全保障・外交の項目は全部で12ある項目のうち、「十 積極的平和主義」と「十一 地球儀を俯瞰する視点でのトップ外交」の2つだけ。項目数の多さからいえば、むしろメインは3から9あたりまでの経済・構造改革に関するものとみるべきだろう。
だけど、今回の施政方針演説をもっと、よくみてみれば、安倍総理の年頭所感の内容と連動していることに気付く。1月4の「安倍総理の2014年年頭所感について」のエントリーで、その内容について取り上げ、去年の年頭所感と比較した上で、それは次のとおり。
・被災地復興
・「デフレ」からの脱却、雇用の拡大、収入増
・「積極的平和主義」の推進
・国民の生命と財産、日本の領土・領海・領空は、断固として守り抜く。
・教育再生の実行
・憲法改正論議を深める
先のエントリーでは、これらの内容には、上から優先順位がつけられているのではないかと述べたけれど、この年頭所感で取り上げた項目と、今回の施政方針演説の項目を比較してみると、年頭所感の上から順に3番目あたりまでについて、今回の施政方針演説で触れていることが分かる。
年頭所感の上から3つは、「被災地復興」、「『デフレ』からの脱却、雇用の拡大、収入増」、「『積極的平和主義』の推進」だけれど、最初の「被災地復興」は、施政方針の「二 創造と可能性の地・東北」に、「『デフレ』からの脱却、雇用の拡大、収入増」は、「三 経済の好循環」「四 社会保障の強化」「五 あらゆる人にチャンスを創る」「六 オープンな世界で日本の可能性を活かす」「七 イノベーションによって新たな可能性を創りだす」「八 地方が持つ大いなる可能性を開花させる」「九 安心を取り戻す」に対応している。そして、「『積極的平和主義』の推進」が「十 積極的平和主義」と「十一 地球儀を俯瞰する視点でのトップ外交」に対応しているようにみえる。
付け加えていうならば、どちらも一番最初が被災地復興で、次が経済、そして、安全保障とその順番までピタリ同じ。だから、安倍総理は、年頭所感で取り上げた項目の最初の3つについて、今国会で取り組もうとしていることは明らか。
その中で、「集団的自衛権」云々は12項目挙げたうちの後ろから3番目。ゆえに、おそらくは今国会での集団的自衛権の優先順位は高くない。被災地復興とデフレ脱却がメインになるとみる。とくにデフレ脱却関連は12項目のうち7項目と大半を占めているから、相当力を入れるテーマとしている。
ここで、年頭所感で安倍総理がデフレ脱却に関連して述べた部分について、改めて確認してみる。次に引用する。
日本経済は、「三本の矢」により、マイナスからプラスへと大きく転換しました。しかし、20年近くにわたってこびりついた「デフレ」からの脱却は、いまだ道半ば。「強い経済」を取り戻すべく、引き続き、全力で取り組んでまいります。年頭所感では、経済に関して述べた文字数こそ多くはないけれど、景気回復に向けた取り組みと将来に向けた布石を打つことを述べている。今回の施政方針がこれを踏まえたものだとすると、年頭所感で宣言した「強い経済」を取り戻すための具体的な方針として、施政方針の2から9までの内容を打ち出したのだと思われる。
その目指すところは、頑張る人たちの雇用を拡大し、収入を増やすことです。景気回復の実感を、中小企業・小規模事業者の皆さんをはじめ、全国津々浦々にまで、必ずやお届けしてまいります。
一年の計は、穀を樹うるに如くはなく、
十年の計は、木を樹うるに如くはなく、
終身の計は、人を樹うるに如くはなし。
中国の春秋時代、名宰相と呼ばれた管仲の言葉です。
目先の課題への対応も重要ですが、十年先、百年先の日本の未来を切り拓いていくことも、忘れてはなりません。そして、そのためには、小手先の対応ではなく、将来のあるべき姿を見定めた、真の改革が必要です。「安倍内閣総理大臣 平成26年 年頭所感」より抜粋。
やはり、今国会は、経済対策がメインであって、集団的自衛権は後回しとまでは言わないまでも、最優先にはしていない。
独立総合研究所の青山繁治氏も、1月15日のテレビ番組で「安保はお休み」と発言しているけれど、おそらくそのとおりだろう。
だから、逆にいえば、安保がお休みになるからこそ、日本の安全は、それ以外の手段で確保しなくてはならない。具体的には、折々に触れた政府首脳のコメントや、外交によって、日本の脅威となる相手を牽制し、手を出させないようにすることになる。
施政方針で安倍総理が、力による現状変更は受け入れられないと、中国を名指しで批判し、日米安保の強化や、地球儀外交について述べたのも、口で牽制しつつ、世界的に外交を強化していくことで、中国に手を出させないようにしようとしているのではないか。
もしそうであれば、これからはより一層、プロパガンダ戦、外交戦争が激しくなる。安保対策をあまり進められないからこそ、言論戦、外交戦が極めて重要になる。今年は、安倍総理の外交手腕が鍵を握ることになると思う。
この記事へのコメント
ななし
安倍政権、「外国人労働者」の拡大を検討 単純労働者受け入れも
http://toyokeizai.net/articles/-/27967
外国人の受入は、昨日今日言い出したことではなく、昨年の6月のスピーチでも触れてます。
安倍総理 「成長戦略第3弾スピーチ」(内外情勢調査会)
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0605speech.html
さらにいうと、それより前の3月にTPP交渉参加を決めましたが、TPPは人の移動も自由化させるものなので、新興国・途上国から出稼ぎ労働者が多量にやってくるのは間違いありません。つまりTPP参加はデフレ悪化になります。
デフレ脱却の手段としては、公共事業を増やす財政出動が考えられますが、内閣官房参与の藤井聡氏は、安倍政権が公共事業費を増やすどころか減らしていることを告発しています。
泣き虫ウンモ
そこに、東京都から復興を妨げるような細川さんが当選したら、大変なことになります。
むしろ、東京都が東北化(南の方?)しかねません。
経済規模が凄いので、ジワジワと真綿で首を絞めるように影響が及ぶのでしょうけど。
もちろん、東北にも影響があるかな?
どうでしょうか。
ナポレオン・ソロ
そうでしょうか? 例えば、トヨタを中心とする企業群は嘗て、中南米を中心に出稼ぎ労働者を募り、地域的にはブラジル村ができるような有様でしたし、外国人による犯罪も漸増しつつあったと記憶していますが、或る時を境に、全員帰国云う事になって、それ以来外国人労働者は見かけません。
亦、安全教育~資格取得は、読み書きの日本語が完全ではない外国人には。一種のバリアになって居ます。 「無資格作業禁止」は、安全作業上、無条件で受容しなくてはならない事ですからね。 逆に、資格さえ取れる「日本語力」の持ち主で、且つ、決められた事をちゃんと守れるのなら、日本人でなくても問題無いと言う事でしょう。
almanos