安倍総理のダボス会議基調演説

 
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1月22日、安倍総理は、世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)で、開幕基調演説を行った。

その内容はこちらで公開されているけれど、「新しい日本が打ち出す新しいビジョン」と題した講演で安倍総理は、医療、貿易、年金投資、税制、女性の労働参加、移民など幅広い分野に触れ、デフレ脱却の見通しと既得権益を打破する意欲を示した。

ダボス会議とは、1971年ジュネーヴ大学教授で経済学者のクラウス・シュワブ氏が、西欧諸国の企業から444名の経営幹部を招いて初のヨーロッパ経営者シンポジウムを開催したことに端を発する。

その後、シュワブ氏は、ジュネーヴに本部を置く非営利組織としてヨーロッパ経営者フォーラムを設立。毎年1月に開催される年次総会に欧州のビジネスリーダーを招くようになった。総会はスイスのダボスで毎年行なわれていることから、ダボス会議と呼ばれている。

当初、年次総会は経営者のシンポジウムだったのだけれど、1973年のブレトン・ウッズ体制の崩壊と第4次中東戦争を受け、そのテーマは経営から経済・社会問題へと拡大し、1974年1月の総会から政治指導者が招かれるようになった。

そして1987年に、ヨーロッパ経営者フォーラムは、世界経済フォーラムとその名を変え、国際紛争を解決する場としても大いに利用されるようになっていった。

今では、各国のリーダーが、その主張や存在感をアピールする場としても活用するようになり、ダボス会議は世界に強い影響力を持つまでになった。日本からは2001年に森総理が現職として初めて出席している。

今年の総会には世界40カ国の首脳と2000人以上の経営者が出席するのだけれど、開幕基調講演を日本の安倍総理が行なうということは、それだけ日本が期待されていることなのだろう。

安倍総理の講演は、中々評判が良かったようで、総会に参加した人の中には、方々から絶賛されたとツイートしている。

だけど、その一方で日本に対する懸念を示される場面もあった。



基調講演後の安倍総理、シュワブ会長と対談。シュワブ会長から冒頭、「安倍晋三首相は講演でアジアの安定の話をしたが、首相の靖国参拝によって近隣国との関係を悪化させているのではないか」と問われたのだけれど、安倍総理は「国のために戦った方々に手を合わせ、冥福を祈るのは世界各国のリーダーに共通する姿勢だ。二度と戦争の惨禍で人々が苦しむことがない世界をつくると不戦の誓いをした。…中国や韓国の人々を傷つけるつもりは毛頭ない。中国は最も大切な2国間関係の一つ。韓国は最も重要な隣国で自由や民主主義の価値も共有する。…課題があるからこそ首脳間の話し合いを胸襟を開いて行いたい。対話のドアはいつも開いている」と説明している。

また、外国メディア関係者との懇談では、記者から「日中が武力衝突に発展する可能性はないのか」と問われ、安倍総理は「今年は第1次世界大戦100年を迎える年だ。当時英独は多くの経済的関係があったにもかかわらず第1次世界大戦に至った。…質問のようなことが起きると、日中双方に大きな損失であるのみならず、世界にとって大きな損失になる。そうならないようにしなくてはならない」と述べた。

この発言を受けて、イギリスのフィナンシャル・タイムズは「首相が武力衝突は論外だと明言しなかった。…何度もダボス会議に参加してきたが、最も不安にさせられた経験だった」と伝え、BBCも「首相は経済的に相互依存する日中は1914年の英独に似ていると認識している…日本の指導者が現在の日中関係について100年前の英独を思わせた。衝撃的だ」と報じ、結構騒ぎになっているようだ。

これについて、菅官房長官は、23日の記者会見で「首相の発言は全くおかしくない。…なぜそう取るのか分からない。事実をちゃんと書いてほしい」と反論している。

果たして、安倍総理の発言がどこまで正確に翻訳されて外国メディア関係者に伝わったのか分からないのだけれど、報道内容を読む限り、安倍総理は記者の質問に直接答えてはいない。

記者は、「日中の武力衝突の可能性があるかないか」を聞いたのだけれど、安倍総理は「そうならないようにしなければいけない」と答えた。可能性があるともないとも言ってない。一種の曖昧戦略というか"曖昧発言"をした。ただ、その前ふりとして「100年前、英独は多くの経済的関係があったにもかかわらず第1次世界大戦に至った」との旨の発言をしている。

おそらく、フィナンシャル・タイムズは、安倍総理が、日中武力衝突の可能性があるともないとも言わなかったことを捉えて「首相が武力衝突は論外だと明言しなかった」としたと思われるし、BBCは100年前の英独を持ち出したことを持って、「日中は1914年の英独に似ていると認識している」と解釈したのではないかと思われる。

まぁ、政治家たるもの、こういう言い方ができなければ務まらないのかもしれないけれど、正直、どっちとも取れるような発言だと思う。従って、海外の中には、日中間のリスクを認識、あるいは警戒する人も出てくるだろうと思われるし、今後も日中関係について危ぶむ声を日本にぶつけてくるところもあるかもしれない。

それに対して、十分な説明材料というか備えがないと、海外からの風当たりも強くなる。安倍総理が進めようとしている価値観外交およびセキュリティダイヤモンドを構築するためには、世界各国の協力が必要不可欠。特亜は兎も角として、それ以外の世界各国の一つでも多く日本の味方につけることが大事。

現実に、中国は、日本はファシズム国家だキャンペーンを世界中で行っている。まぁ、最近になって、官邸からの指示があったせいなのか、各国に駐在する日本大使が、中国のプロパガンダに対する反論をしているようだけれど、既に、世界の至るところで、特亜との思想戦・言論戦が始まっている。

その意味では、今年は、銃弾の飛ばない熾烈な外交戦争が始まった年だと認識すべきかもしれない。




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この記事へのコメント

  • ななし

    官邸のHPに基調講演の内容が記載されてます。
    そこから引用します。

    >日本経済は、長く続いたデフレから、脱け出ようとしています。今年は、春に賃上げがあるでしょう。久方ぶりの賃金上昇で、消費が伸びます。

    先日、消費税を10%に上げる為、今年の経済状況は判断材料としないことを宣言しました。つまり、この4月から経済が急落することが重々わかっていながらこの発言。呆れます。

    >電力市場を、完全に自由化します。

    自由化した国はことごとく電気代が値上がりしました。

    >TPPは、私の経済政策を支える主柱です。欧州とのEPAも進めます。日本はこれから、グローバルな知の流れ、貿易のフロー、投資の流れに、もっとはるかに、深く組み込まれた経済になります。外国の企業・人が、最も仕事をしやすい国に、日本は変わっていきます。

    要約すると「外国が第一」。TPPでの日本植民地化が「支柱」とか。

    >法人税率を、今年の4月から、2.4%引き下げます。
     企業がためたキャッシュを設備投資、研究開発、賃金引上げへ振り向かせるため、異次元の税制措置を断行します。
     本年、さらなる法人税改革に着手いたします。

    トリ
    2015年08月10日 15:21
  • 泣き虫ウンモ

    TPPに関して言えば、減反政策をしておきながら、いきなりですからね。
    理解できないでもないです。
    段階的に言えば、減反政策をやめて自由にし、その実験結果を検証してからが理想だと思うのですがね。
    ただ、中国という存在がありますので、時間がありません。
    問題は日本で続いた社会主義的政策と、中国問題があるいは野心が重なったのです。
    2015年08月10日 15:21

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