稀代の喧嘩師小泉元総理がぶっ潰す相手は誰か
今日はこの話題です。
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1月18日、細川護熙元首相の陣営関係者は東京都知事選告示前日の22日に細川氏の出馬表明会見を行うと発表した。当初、出馬会見は15日としていたのだけれど、公約の準備が間に合わないとの理由で2度延期していた。
細川氏は1月14日、出馬の決意表明をして脱原発を訴えたのだけれど、報道陣からの「原発以外ではどのような政策を?」との問いには無言だった。
そもそも、都政は原発政策のような国政を扱うものではないのだから、脱原発を政策にすること自体筋が違う。したがって、都知事選に出る以上、原発以外の政策がないなんて事は有り得ないし、あってはならない。万が一、細川氏の脱原発以外の政策が付け焼刃だったとしたら、出馬の意図を訝しく思われても仕方がない。
去年の11月、細川氏はジャーナリストの池上彰氏から、出版社を通じてインタビューの申し入れを受けていた。池上氏は、小泉純一郎元総理の「原発ゼロ」発言を分析する著作を手掛けていて、その取材の一環だったらしいのだけれど、インタビュー自体は実現しなかった。それでも挨拶を兼ねて、細川氏と池上氏は1月6日の夜、都内のイタリアンレストランで面会している。
その場で、細川氏が「池上さん、都知事選に出ませんか」と切り出したのだけれど、池上氏は「私は都知事選投開票日の特別番組で、候補者をインタビューする予定です」とこれを辞退。「細川さんこそ出ないんですか」と逆に問い返した。
その時、細川氏は明確な答えをしなかったのだけれど、「カジノを容認したら女性の支持は離れるだろうか」「五輪は東京だけが独り占めしていいのか。被災地が置き去りにならないか」などと、都政を意識した質問を、池上氏にぶつけてきたという。
慌てた細川氏の側近が 「出るなら晩節を汚しますよ」と忠告したのだけれど、細川氏は「都知事選には日本の命運がかかっている。勝ち負けは関係ない。世論を喚起できればそれでいいんだ」と答えたのだそうだ。
筆者には、都知事選のどこがどう日本の命運に関わってくるのか分からないのだけれど、都政を飛び越えて、日本の命運云々をいうあたり、元から、都政にはあまり関心を持っていないのかもしれない。
それに細川氏は、「政治と金」の問題で脛に傷がある。
細川氏は熊本県知事に就任する前の年の昭和57年に東京佐川急便から1億円を借り入れた。それが表面化したのは平成5年のことなのだけれど、細川氏は「東京でのマンション購入に充てた」とか、「土門や土塀を直すため」とか釈明したのだけれど、借り入れ前に既にこれらの代金を支払っていたなど、矛盾が次々と発覚。当時首相だった、細川氏は窮地に追いつめられ、平成6年度予算案審議入りの見通しも立たなくなり、結局、9ヶ月で首相を辞任した過去がある。
特に、今回の知事選は、猪瀬前都知事が5000万円の献金問題で辞任した出直し選挙だから、余計注目される。
1月17日、甘利明経済再生相は閣議後会見で、細川氏の都知事選出馬について、「徳洲会事件の後任に佐川事件の私が最適ですとか、東京五輪を返上すべきなどと『殿、おたわむれを』」などと話しているけれど、痛いところを突いている。
細川氏に対して、もっと辛辣なのは、維新の会の石原慎太郎共同代表。
1月17日、石原慎太郎氏は、自らが支援する田母神候補の事務所開きに出席した後、記者団に対し「原発問題はセンチメント(感傷的な気分)だけで判断してはダメ。物事を複合的に考えておらず、愚かだ。頭を冷やした方がいい」と批判。細川氏の公約作りが遅れ、出馬会見が告示日直前に延期したことについても「候補者としての資格がない」とばっさり。
ただ、今回、小泉純一郎元総理が細川氏を担ぎだしたことで、政界に少なからずインパクトを与えていることは間違いない。
小泉元総理は、今でも衰えぬ人気と発信力を持った人物。脱原発だからと、自民党が細川氏に協力する小泉元総理を批判すれば、返り血を浴びる恐れがある。安倍政権の閣僚の1人は「好きなように判断してもらうしかない」と匙を投げる始末。
だけど、筆者は、今回の小泉元総理の動きは、自民党への影のアシストではないかと見ている。
去年の10月18日のエントリー「全方位型ポピュリズムの抜け穴と小泉元総理の脱原発宣言」で、筆者は小泉元総理の「脱原発宣言」は、安倍政権の原発推進路線が頓挫したときの保険として、自民党内に党内野党成分として"脱原発勢力"の仕込みをしているのではないかと述べたことがある。
今回の都知事選も同じように、与党、或いは野党にさえも"脱原発勢力"の仕込みをしているのではないか。つまり、脱原発を掲げる細川氏を担ぎ上げて、「この指とまれ」をさせることで、"脱原発勢力"を集めてしまう狙いがあると見る。
今回の都知事選についていえば、脱原発が注目されればされるほど、与野党対決は、「与党原発推進派」対「与党原発反対派」へとその姿を変える。
去年の12月21日、自民党の古賀誠元幹事長は民放のテレビ番組で、小泉元総理の脱原発論について「支持率低下の時の仕込みで、安倍晋三首相への一つの助け舟だ。対立ではなく『新師弟関係』だとみている」と述べているけれど、筆者と同じく、小泉元総理の脱原発論は自民党へのアシストだとしている。
仮に細川氏が都知事選に勝ったとしても、バックに小泉元総理がいることは周知の事実。細川氏のバックに与党のヒモが付いていても、誰も不思議だとは思わない。
だから、極端なことをいえば、自民党にしてみれば、舛添氏が勝っても細川氏が勝っても、どっちでもいい。もちろん、細川氏が勝った時は、マスコミが脱原発だと騒ぐだろうから、それへの対策と、あとは、小泉元総理や小泉進次郎議員に多少気を使わなければならないことがあるかもしれない。だけど、それでも、都知事と自民党とのパイプが無くなるわけじゃない。野党の脱原発派を相手にするよりはずっとやり易い。
しかも、細川氏が出馬することで、他の脱原発派候補の票が割れることは確実。恐らく、宇都宮候補の票の何割かは細川氏に流れるだろう。
1月9日、民主党の菅直人元首相が宇都宮候補について「良質な候補者だが、社共の支持だけでは当選は難しい」と脱原発勢力の結集を図るため、宇都宮氏の出馬辞退を促したそうだけれど、脱原発派の人達自身も票が割れることを自覚しているものと思われる。
そして、更に、小泉元総理が割ったのは、脱原発派だけじゃない。民主党自身も割ってしまった。
民主党は自主的に細川氏を支援する方針を出しているけれど、民主党支持母体である電力総連が、細川氏が掲げる「脱原発」に反発。1月15日、連合東京幹部は民主党の松原仁都連会長に「脱原発を訴える候補者は支援できない」と通告。民主党所属の電力総連の組織内議員も「細川氏は推せない」と漏らしている。
更に、連合は、細川氏を全面支援するとした小泉元総理の労働規制緩和で非正規雇用が拡大したとの見方が強く、遺恨を抱えている。そうした事情から、候補者への理解を組合員に求めるのは難しいと、組織的支援を難しくしている。
1月17日、連合の古賀伸明会長は「細川さんの方から何の呼びかけもない。そういうことなら、支援するとか、しないとか、そういう議論すらできない。…民主党と連合の方向が違ったことは何回もある」と、民主党と対応が割れる可能性を示唆している。
また、民主党の大畠章宏幹事長も「労組の考えは考えとするが、政党は政党として政策判断する」と述べ、対応が割れるのはやむを得ないと述べているから、恐らく民主党の組織票の割れるものと思われる。
筆者は1月11日のエントリー「都知事選の動向を予測する」で、筆者は民主党が有力な独自候補を立てて、そこに他党から割れた票を集めることができれば勝利の目が出てくると述べたことがあるけれど、それは、民主党が全面支援できる候補者を擁立できての話であって、民主党の組織票が割れてしまったらその限りじゃない。
稀代の喧嘩師とも言われる小泉元総理。自民党に自身の存在感を見せつけながら、民主党をぶっ潰しにいった。流石という他ない。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
細川氏は献金問題を突けば一発なのだから,
息子が舛添一本化に反対していることから,
舛添への自民一本化の牽制となっていることは確かだろう.
自民の中には舛添に付く勢力と田母神を応援する
勢力とがある. 舛添に付いても田母神を応援しても
どちらも過去の決定に矛盾する.
その時の雰囲気に迎合すると痛いしっぺ返しを食う.
YT
そして、舛添氏が連合の支持を取り付けた時点で、都知事選は23日を待たずに、細川氏、宇都宮氏とも終了となりました。細川氏は辞退の可能性もあります。で、残る争点は田母神氏がどこまで得票を伸ばせるかになりました。選挙戦の中盤で、舛添候補に意外なスキャンダルが暴露されたりすると、田母神候補に芽が出てきます。
sdi
泣き虫ウンモ
消費税は左も賛同させることができますよね。
自民党は耐用年数が過ぎた政党だと思いますので、なにがきっかけで潰れるかわかりません。
それに戦わずして勝つのが理想だとすれば、もう少し問題を片付けておく必要があったかなと。
細川さんか舛添さんが当選しようが、自民党は消費税で終わる可能性が高いかなと。
opera
福島県民が脱原発を争点化した都知事選にシラケているという記事を見ましたが、まともな都民はシラケるどころか憤りすら感じているのではないですかね。
石原都政の「都から国へ」というスローガンをマスゴミを含め大半が勘違いしているのですが、これは都政そっちのけで国政に口を出すということではなく、あくまで都政で結果を出して、そのことによって国政にも影響を与えていくという意味です。自衛隊を含む大規模防災訓練、歌舞伎町等の治安の改善・不法残留外国人の取締強化、公教育の建直し、ディーゼル車の排ガス規制等々すべてそうでした。
で、脱原発とやらはどうですか。都政で何ができるんですか。また、放射脳以外の人で、即脱原発=20%程度の電気料金値上げを容認する都民はどの程度いるんでしょうか。むしろ、本音では安全確認ができた原発から再稼働して電気料金を引き下げろ、と思っている人の方が多数派のような気がします。
こう考えると、都政で結果を出した上で、国政にも影響を与えられる政策を提示している候補者は、実は一人しかいないんですね。
また、都知事は行政全般に対する能力が必要かと問われれ
almanos
白なまず
とおる
脱原発に保険をかけながら、民主党のなどの野党を束ねる素質のある細川元首相をかつぎ出して、1億円の献金疑惑を呼び覚まし火達磨にして消し去るという離れ業?
まるで、おびき出して殲滅する戦法のようです。