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1月2日と3日の両日、南シナ海にあるパラセル諸島近くの海域で、ベトナム漁船が中国の監視船の追跡を受け、漁具等を破壊されたり、魚などを没収されたりする事件が、相次いで発生した。
1月3日に漁船を破壊された船長によると、中国の大型監視船に追い回された後、横付けされ、乗り込んできた中国当局者20人に武器で脅され、マグロなど全5トンの魚や多くの機材が持ち去られたという。また、1月2日にベトナム中部を出漁した別の漁船も、同様に襲撃され、こちらの船員は暴力も振るわれたそうなのだけれど、武器で脅して暴力を振るうなど、やっていることは海賊と変わらない。
パラセル諸島は、南シナ海の西部にある15の島嶼の呼称で、その位置は、中国の海南島から南へ約300キロ、インドシナ半島から約450キロの位置にある。このパラセル諸島については、中国とベトナムが互いに領有権を主張しているのだけれど、こうした中国によるベトナム漁船の破壊活動が2年ほど前から頻発している。
例えば、2013年の2月22日に、パラセル諸島海域で漁をしていた北中部クアンガイ省の漁船が、中国の監視船から大量の発砲を受け、船体が被弾。更に中国の監視船は、ベトナム人乗組員に向け放水し、漁船に乗り込んだ上、操船や漁業関連の器具、漁獲物などを押収。漁船の燃料油の大半を海に投棄した後、解放した。
また、2013年3月20日には、同じく、パラセル諸島海域で漁をしていたクアンガイ省の漁船が、中国の巡視船から銃撃を受け炎上する事件が発生している。銃撃をうけた漁船のブイ・バン・ファイ船長によると、中国の巡視船を発見した際、乗組員を全員デッキに移動させ、手を上げるよう指示したのだけれど、中国巡視船はそれに構わず、約20メートルの距離から漁船に向けて発砲し逃げ去った。出火した漁船は、乗組員らが迅速に消火作業に当たり最悪の事態は免れたという。
更に、2013年5月20日には、パラセル諸島海域で漁を終えたクアンガイ省登録の16人乗りの漁船が、港に向かう途中、中国船16隻に追われ、体当たりを受けている。
乗組員によると、中国船を回避したのだけれど、オレンジ色の巡視船が3回にわたり体当たり。漁船は転覆寸前だったのだけれど、何とか持ちこたえ、全速力で航行、翌21日に何とか、クアンガイ省ビンソン郡の港に帰り着いた。だけど、漁船は、キャビン部分に17メートルにもわたる亀裂が入るなど、船体や設備が激しく破損していたそうだ。
この海域を管轄する、中国海南省の人民代表大会常務委員会は、海域の支配権を更に強化すべく、去年の11月末に、「中華人民共和国漁業法」の実施規則を改訂している。
改訂された漁業法は、その第35条で「海南省の管轄水域に進入し、漁業生産や漁業資源調査を行う外国人、外国漁船は、国務院(政府)の関係部門の許可を得なければならない」と規定し、第46条で、「違法」に管轄水域に進入した外国船舶の追放や、漁獲物・漁具の没収、50万元(約870万円)以下の罰金の徴収を認めるとしている。
この漁業法は今年の1月1日から施行しているのだけれど、これを受けて、海南省三沙市の当局は1月1日に、船舶14隻と、国境警備部門・法執行機関の職員約190人を動員して、海外漁船の違法行為を取り締まる訓練を実施している。
中国の英字紙、チャイナ・デーリーによると、この改訂によって、「警察当局が船内に乗り込み、航路の変更や航行の停止を命じることが可能になる」と報じていることから、それに備えての訓練ではないかと思われる。
中国は、先日の防空識別圏の設定といい、今回といい、勝手にマイルールを設定し、従わないものは武力でいうことを聞かせるという相変わらずのやり方をしているのだけれど、無論、周辺国は反発している。1月8日、フィリピンのデルロサリオ外相は、「事実確認をしている」と中国側の措置に懸念を示し、10日には、フィリピン外務省が声明を発表し、南シナ海の大半の海域が対象になっている可能性があるとして「国際法に違反し、航行の自由に重大な支障を来す」と強く非難している。
また、台湾も、1月9日に、外交部報道官が「認められない」とコメント。同じく9日、アメリカ国務省のサキ報道官が記者会見で、「南シナ海の問題となっている海域における他国の漁業活動に関する規制を承認するのは、挑発的で潜在的に危険な行動だ。…中国は国際法上の根拠や説明をなんら示していない。…緊張を高める一方的行動を控えるべきだ。懸念している」と批判している。
これに対し、1月9日、中国外務省の華春瑩報道官は定例記者会見で、海南省の措置について、「漁業資源や生態環境の保護」を掲げ、「完全に正常かつ通例通りのやり方だ」と正当化。翌10日にはアメリカ国務省の批判についても「不満と反対」を表明している。
パラセル諸島は1974年1月の中国軍と当時の南ベトナム政府軍の交戦以降、中国がほぼ全域を制圧しているのだけれど、そうなった主な理由として次の4点が挙げられる。
1.1972年の米中和解1については、当時、アメリカは、ベトナム戦争の泥沼に入り込んでいて、その軍事支出の増大を抑えるべく、出口戦略を探っていたのだけれど、1969年にアジアにおける関与縮小の方針を示した「グアム・ドクトリン」を発表。平行して、中ソ対立を利用し、ソ連を牽制するために中国に接近した。一方、中国もソ連の脅威に対抗するため、アメリカを利用することを考えていたこともあり、これに同調。1971年のヘンリー・キッシンジャー訪中と、翌1972年のニクソン大統領の北京訪問を経て、米中和解が実現する。
2.パラセル諸島をめぐる中国軍の軍事的優位
3.南ベトナムの急激な経済力の低下
4.南ベトナムの外交的孤立
これを受け、アメリカは1973年1月にパリ協定を成立させると、ベトナムから本格的に兵力を撤退し始め、3月には完全に撤兵。これを持って、ベトナムにおけるアメリカの軍事プレゼンスは消滅した。
2については、中国軍は、優勢な航空戦力と、スティックス対艦ミサイルを搭載した近代的なコマール級高速ミサイル艇などを保有し、パラセル諸島に対する上陸作戦でも、海南島から展開されたJ6戦闘爆撃機の航空支援を受けるなど、水陸空の合同作戦を実施して、作戦面での優勢を確保していたのに対し、南ベトナム空軍は、アメリカ製の航空機やヘリコプターを供与されていたにも関わらず、それら整備することができなかっただけでなく、これらを稼動させるに必要な管理や維持すら出来ない有様で、これらの装備の殆どが錆び付いた状態で基地に保管されていたという。
3については、ベトナム戦争当時、アメリカは南ベトナムに経済援助をしていたのだけれど、1973年には39億ドルと、南ベトナムのGNPの4分の1に当たるほどの巨額な援助をしていた。だけど、1974年には約16億ドルと、50%以上も削減し、これにより南ベトナムは大打撃を受けた。この年の南ベトナムの失業率は14%にも達し、1人あたりの収入は36-48%も減少。更に、産業生産は1973年から74年にかけて約25%も落ち込んでいる。一方、中国の経済力は上昇し、GDPは1973年には1367億ドルだったGDPは1974年には1422億ドルに増加している。
4については、当時、ASEAN諸国は国内に問題を抱えており、南ベトナムと連携して、中国を敵に回すだけの力はなかったことに加え、1971年に「平和・自由・中立地帯」構想を打ち出していて、大国の影響力を遮断するため、中立を宣言していた。更には、ベトナム戦争後にソ連の影響力がASEANにまで及ぶのを見越して、中国を自陣営に引き入れることで対抗しようと考えていた。実際、1974年5月にマレーシア、1975年6月にフィリピン、7月にタイが、それぞれ中国と国交を樹立している。
こうした、南ベトナムの外交的孤立が中国のパラセル諸島への侵略を呼んだ面は否めない。
このパラセル諸島の例を尖閣に置き換えてみると、今、日本がやらなければならないことは明確になる。南ベトナムの失敗の轍を踏まないこと。つまり、「米中を今以上に接近させず」、「尖閣における軍事的優位」を保持すること。そして、「デフレから脱却」して、「周辺国との外交関係を強化する」、これがその答えになる。
翻ってみると、安倍政権が昨年やったことは正にこれ。「日米関係強化」に、「島嶼部の防衛強化」。「アベノミクス」に「地球儀外交」と、南ベトナムの逆をやっている。安倍政権の方向性は間違ってない。
あとは、この流れを止めることなく、粛々と進めていくこと。国を護るために必要なことは疎かにしてはいけない。
この記事へのコメント
八目山人
日本はテレビを正常化し、スパイを摘発しさえすれば、世界一の国になれます。
泣き虫ウンモ
商売していて、おいしい話がいろいろとある方もいると思いますが、粗利益が5割とかあるいは3割という輩もいると思いますが、実際は1割とか1.5割位ではないでしょうか?
それを、丸々もっていかれるということですから、たまったものではないですね。
yosinaripon
ななし
1997年に消費税を3%から5%にしてから、見事にGDPが低下し続ける一方です。1997年よりGDPが低い状態での増税。どれだけ日本経済が破壊されるのか想像もつきません。
1997年2%の増税では自殺者が一気に1万人増えました。今回は3%の増税ですから、単純に考えても1万5千人は自殺者が増えるのではないでしょうか?
中小企業が多量に倒産、外資(中国企業)に買収され、知的財産も奪われていく。日本は自分の国で何も作れなくなって行きます。中国製スパイ機能付きの機器で埋め尽くされるのは時間の問題です。
今回の消費税増税でも生き残る中小企業もあるでしょう。そのため追撃として来年2015年にもまた消費税を上げます。
GDPが下がれば税収も下がり、当然国防費も低下、中国の軍事侵略も防げなくなります。
日本はこれから第二のチベットへと突き進んでいきます。