都知事選ネタは一昨日ので終わる積りだったのですけれども、補足的に続きエントリーします。

自民党では、都知事候補者の選定について、党内で対立があるらしい。一昨日のエントリーで、自民党は舛添氏を支援するようなことを言ったけれど、舛添氏を推しているのは、自民党都連の会長である石原伸晃氏と石破幹事長がメイン。それに対して、麻生副総理あたりから、舛添氏が、かつて自民党から除名処分を受けた過去があることから、推せないとして対立していると伝えられている。
自民党には、除名した議員を復党させた例がなく、国会議員について「除名を受けた人は公認しない」という党の規則があるそうだ。ただし、知事選では公認は殆どなく推薦や支持が大半を占めることから、推薦や支持でいけばいいという声もあるのだけど、一度除名した人物を応援というのは筋が通らないというのはその通り。実際、自民党の都議の中には応援したくないと漏らす人もいるという。
自民党の執行部が舛添氏を推しているのは、自民党が独自で行った世論調査で支持が高かったからで、昨年の12月21~23日に行なった調査でトップ、続く28~29日の2度目の調査でもリードしていたようだ。
世論調査結果を聞いた国会議員の1人は、「勝てなければ意味がない。特定秘密保護法への反発など懸念材料もあるなかで、無党派層への強さはプラス」と勝てる候補だと強調している。
このように、自民党は都知事選の候補者について、勝利か道理かで対立しているのだけれど、それでも、1月8日、安倍総理がBSフジ番組で「さまざまな感情は横に置く必要がある」と、過去の経緯は不問にする意向を示していることから、最終的には、舛添氏を推薦或いは支持になると思われる。
ただ、麻生副総理を中心として自民党内の保守勢力は田母神氏を推しているそうで、本番の選挙では、自民党の票が割れる可能性がないとはいえない。
では、実際、票が割れたらどうなるか。それを検討するために、前回の衆院選の比例東京ブロックでの各党別得票率を見ると次のとおり。
民主党 15.42%これは、各党の基礎票も浮動票も一緒に纏めた上での得票率なのだけれど、これを基準に今回の都知事選の有力候補者の得票率を見積もってみる。
自由民主党 24.87%
日本未来党 6.86%
公明党 10.14%
日本維新の会 19.86%
日本共産党 7.41%
みんなの党 11.67%
社会民主党 2.09%
新党改革 1.43%
幸福実現党 0.25%
まず、舛添氏は自民と公明からの支持が得られ、自民のうち半分が田母神氏に流れると仮定する。次に田母神氏は、自民から流れた半分と、自主投票になった維新から、これまたその半分が流れてくるものとする。そして、宇都宮氏は共産、社民と未来の党からの票が集まるとすると、その得票率は次のとおりになる。
舛添氏 自民(24.87)/2+公明(10.14) =22.575%と、舛添氏と田母神氏がいい勝負になる。だけど、これは自民と維新の票がそえぞれ真っ二つに割れたという前提。自民が舛添氏を推すと正式に決まれば、田母神氏への支援はなくなるから、自民党が獲得する票の半分も田母神氏に流れるとは考えにくい。また、維新も自主投票になったとはいえ、真っ二つになってくれるかどうかも分からない。
田母神氏 自民(24.87)/2+維新(19.86) =22.365%
宇都宮氏 共産(7.41)+社民(2.09)+未来(6.86) =6.36%
更に、これ以外にも、民主党の15.42%と維新の残り半分の票が何処に流れるかで、結果は大きく変わる。特に民主の票の行方は重要。
民主には、舛添氏支持で相乗りするという話があるようなのだけれど、もしも民主が舛添氏支持になるなら、舛添氏の勝利はほぼ確実になる。無論、多少は、舛添氏以外に流れる票もあると思うけれど、その場合は宇都宮氏に流れ、田母神氏へはごく僅かではないかと思う。
だけど、逆に、民主が有力な独自候補を立てて、そこに維新の残り半分が流れるとなると、民主(15.42)+維新(19.86)/2=25.35%となって、舛添氏と田母神氏を躱して一躍トップに躍り出る。これなら民主にも勝利の目が出てくるのだけれど、果たしてそんな候補者が出てくるのか。
そんな折、浮上してきたのが、細川護熙元首相。
1月9日、細川氏に近い複数の関係者が細川氏が出馬を検討していることを明らかにしている。細川氏は立候補する場合は、無所属で出て、脱原発や財政改革などを争点に幅広い支持を得たい意向でいると見られていて、昨年、小泉純一郎元総理と会食し、脱原発を目指して連携することで一致したという。そうした経緯から、細川氏が出馬すれば、小泉元総理が支援に回るとの見方が出ている。
民主党幹部は「細川氏から出馬するという確たる話は聞いていないが、出るなら支援を検討する」と述べ、9日に行われた、都議会民主党総会でも「熊本県知事も総理も経験した。都知事にふさわしい」と異論は出なかった。
従って、細川氏が出馬となれば、舛添氏、田母神氏、細川氏の三つ巴の戦いになると思われる。
だけど、三つ巴といっても、それは自民と維新への票が真っ二つに割れるという前提での話。
一説には、東京の票の8割は浮動票だと言われているけれど、浮動票はどこへ流れていくのか。
特定の候補者の熱烈な支持者でない人のごく一般的浮動層の反応を、独断と偏見で、筆者なりに予測すると、次のような図式になるのではないかと思っている。
舛添氏 > 細川氏 ≧ 田母神氏 ≒ 東国原氏
比較の為に東国原氏を出したけれど、誤解を恐れずにいえば、筆者は、浮動層にとって、田母神氏は東国原氏と同等ではないかと見ている。
一般の人にとっては、田母神氏は、自衛隊の人であって、政治家というイメージは強くない。勿論、組織のトップを務めたことがあるのだから、ズブの素人ではないかもしれないけれど、行政能力には疑問符がつくという感じ。
記者会見でも、田母神氏は防災・安全についての政策は話しているけれど、財政・福祉・教育等々その他の分野への言及が少ない印象がある。平たく言えば、防衛・防災担当大臣的な受け取られ方で、オールマイティに全てを見る能力があるとされている総理大臣的な受け取られ方はしていない。そこが弱点。
田母神氏の統治能力について、「田母神氏について彼に仕えたことがある自衛官の友人に聞くと『部下に気分良く能力を発揮させる術ではあの人を上回る人を見たことない。あと個人の信条と職責は分けて分を踏まえた行動はできる人なので官僚組織の長は向いてる』」というツイートが一部で拡散しているようなのだけれど、個人の信条と職責を分けられないようでは、とても幕僚長にはなれないだろう。
だけど、一般の人はそんなことは知らない。
だから、田母神氏は彼の能力が不足していると"世間から思われている"分野について、有能なブレーンをつけて、かつそれを公表し、オールマイティな実務能力があると都民にアピールする必要があるだろう。
その点でいけば、舛添氏は、国会議員経験もあり、新党改革の代表も務めていたから、多少の得手不得手はあっても、トータルでは無難にやれるだろうという「総理大臣的」な受け取られ方をしていると見る。故に、浮動票はより舛添氏に流れると思う。
「総理大臣的」な受け取られ方という意味では、実際に総理を経験した細川氏もそうなのだけれど、如何せんブランクが長すぎるという弱点があり、その分、舛添氏には劣ると思う。
さて、これまで各候補者の行政能力を中心に見てきたけれど、もう一点、イデオロギーというか"愛国的"観点からも検討してみたい。
安倍総理の靖国参拝が切っ掛けになったのか、今年は靖国に初詣した人が例年の8倍にもなったという。今は、丁度国民の"国"に対する想いが高まっている時期。
田母神氏が「愛国者」であることは、言うまでもないのだけれど、舛添氏は、外国人参政権を推進するなどしているから、田母神氏程の「愛国者」だとは言い難いし、そう思われてもいない。自民の東京都連のサイト(TOKYO自民党)が、舛添氏を支持するのは止めろ、と炎上しているところをみると、舛添氏に対する反発もそれなりにあると言える。
こうした、候補者の"愛国度"が、実際の投票にどれだけ影響してくるのか。それを見積もるのは非常に難しいけれど、一つの目安として、民主党が嫌われている理由が何かというのを参考にするという手があるかもしれない。
2012年8月に自民党は民主党政権の迷走の3年を検証したレポートを出しているけれど、そこでは「国家観・憲法観を共有できず、党の綱領も作成できないまま、実現不可能な政策を並べたマニフェストを掲げて選挙を戦い、国民を欺いて政権を取ってしまった。その経緯をみても、民主党政権は、最初から失敗が運命付けられていたといってよい。政権交代後は、その国家運営能力の絶対的な欠如によって、内政・外交上の数々の失敗を引き起こし、国益を損ない続けてきた。」とその失敗の原因を指摘している。
今では、民主党を"売国政党"だったと認識する人も大分増えてきているように思うけれど、自民党のレポートは「国家観・憲法観を共有できない」として、それを暗に示唆し、更に民主党は国家運営能力が絶対的に欠如しているとしている。
つまり、民主党が失敗した原因は「愛国ではない」要素と「国家運営能力の欠如(嘘をつく)」という要素の2つがあり、それらが民主党が嫌われている原因ではないかと思われる。
であるならば、この2つのうち、どちらがより嫌われる原因なのかを見ることができれば、無党派層の投票行動の傾向がある程度見えてくるように思う。
果たして、民主党が嫌われているのは、「行政能力の無さ」か、それとも「売国」だからか。
もしも、前者がその原因だと思っている人が多いのなら、行政能力があると"思われている"候補に票がながれることになるし、後者であれば、愛国の候補者に票が流れることになる。
筆者は、全体でみれば、まだ前者が強いのではないかとみる。自民の世論調査で、舛添氏有利という結果もそれを傍証しているのではないか、と。
だから、現時点では、やはり舛添氏が有利ではないかと思うのだけれど、細川氏が出馬となると、ちょっとそれも分からなくなる。いずれにせよ来週にはもう少しはっきりしてくるのではないかと思う。
この記事へのコメント
泣き虫ウンモ
なにかしらのフォローがあると、助かるかなと。
都民ではないのですが、東京は日本の顔なので世界に与える影響は甚大ですね。都市計画のスペシャリストも参謀にほしいかな。
『STALKER ZERO~被害者が守られる社会へ
ミス世界一吉松育美さんが、署名活動を開始しました。
『STALKER ZERO~被害者が守られる社会へ~』
https://www.change.org/stalkerzero
白なまず
sd
50歳自営業者
sdi
almanos
ななし
「放射能は体にいい」などと言い、被曝を止めないどころか、促進させている面がある。
その動機・理由は、明らかに原発利権=金である。
国民の命より自分の金を優先させる人間が愛国者のハズはない。
そもそも放射能が体にいいのなら、何故タダで「健康法」を実践できる地元の福島に帰らないのか。
YT
それに、マスコミは、前回、小沢嘉田コンビによる日本未来の党の躍進を記事にしましたが、結果はあのとおり、私は、今回、細川候補は惨敗すると思います。だいたい76歳の隠居が何をのこのこ都知事なんて色気を出すんでしょう。都民を愚弄していますよ。それに小泉さんは細川候補にどこまで本気が知りませんが、もはや安倍体制が国民の支持を受けているのに、本気なら単なる老害でしょう。逆に嵌め込みのような気がします。要するに、舛添票の分断でしょう。これにより、田母神さんの勝機が高まったと思います。