皆さま、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
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2007年4月からスタートした日比野庵ブログですけれども、年中無休でいよいよ8年目を迎えます。
昨年は、日比野庵のアクセス数は、UUで一日あたり、約600から800人(PCのみカウント)とアクセスが大幅アップしました。これも皆様のお力添えのお蔭だと感謝しています。誠にありがとうございます。
さて、ここ毎年恒例の正月エントリーネタの煙草税増税による影響についてですけれども、過去の煙草税についてのエントリーはこちらを参照ください。
・煙草1箱千円とラッファー曲線煙草税については、2009年に1本あたり3.5円の税率引き上げが決定され、2010年に施行されているのですけれども、増税決定あたり、財務省は、2010年度の販売数量は、前年度比で15.9%減の1950億本まで減少して税収減になるといっていました。ところが実際はそこまで販売数量は減らず、税収減どころか逆に税収増となって、財務省大勝利の結果に終わりました。
・煙草税増税による財務省の税収試算結果の謎
・謹賀新年 2011
・謹賀新年 2012
・謹賀新年 2013
昨年の元旦のエントリーでは、過去の販売推移から毎年5%づつ売上が減少すると仮定し、2012年度の売上本数は1876億本、2013年度で1783億本と試算しましたけれども、実際、2012年の販売本数は1951億本と想定以上の売上本数となっています。
去年のエントリーでは、2014年になってようやく当初の財務省の試算に追い付く計算になることから、2014年頃にまたぞろ、煙草増税を言い出すのではないかと多少穿ったことを述べていたのですけれども、消費増税決定で、事実上更なるたばこ増税がなされたとみることもできるかもしれません。JTは消費税分を販売価格に上乗せし、最大20円程度の値上げを考えているようですけれども、この様子では当分財務省の大勝利は続きそうな気配です。
◆ 閑話休題 ◆
去年の7月10日、講談社にて、池上彰氏と津田大介氏による、『メディアの仕組み』出版記念トークイベントが行われたのですけれども、内容がこちらで公開されています。その中で、私にとって、興味深い内容がいくつかありました。それはネットリテラシーについてなのですけれども、次に引用します。
質問者B:私は元々新聞記者をしていまして、今は先ほど「発音しづらい」と言われたハフィントン・ポストで働いているんですが(笑)。ずっと悩みがありまして、新聞の一面記事とか、たとえば地味だけど良い報道だな、と思った記事があっても、同じ新聞社のサイトでランキングの上位に上がるのが芸能人の離婚ネタとか性犯罪ネタとか、とても中東関係のニュースなどが上に上がってこないという現状がありまして。いやぁ、ブログを書く身にとっては、正直共感を覚えます。新聞社でも、ゴシップでPVを稼いでおいて、本当に読んで欲しい記事は、そのついでに読んで貰おうとしてるなんて、何処も同じような苦労をしているんだな、と身に詰まされますね。
とくにPCとかスマートフォンで読まれるようになってくると、発信者と受信者のズレというのが広がっているんじゃないかな、というのがありまして、なかなかメディアの人間としては心が折れるというか、ニュース受難の時代だな、と思うんですが、どうしたらこのズレを解消できるのか、もしくはこのままいくしかないのか、その辺りについてお考えをうかがいたいと思います。
津田:まあ、大多数のインターネットはほとんどゴシップをみんな好きだという話で、インターネットはしょうもないって話でもあると思います(笑)。それは本家のほうのハフィントン・ポストも同じことで、もちろん良い報道もしているんだけれども、実際にはものすごいゴシップだったりコスメの情報だったり、そういうものばかりがアクセス上位にきているというわけですね。
池上:そうそう、PVを稼ぐのはそういう情報なわけですよね。本家のほうだってそれでものすごくPVを稼いで、それがビジネスとして成り立って、ビジネスとして成り立つからこそ伝えたいニュースを伝えることができるという割り切り方が大事なんじゃないかな、と思います。
たとえば、Yahoo!トピックスを見ると、あれはいつも8項目出ているでしょう。上の6項目がYahoo!トピックスをやっているニュースデスクが伝えたいことなんですよ。でも、それだけではPVが稼げないから下に二つ、芸能とスポーツを置く、と。みんな、ふと気がつくと下の2項目だけクリックしているんじゃないかな、ということなんですが、でも、それでビジネスが成り立つんだということでいいんじゃないかと私は思いますけどね。
津田:ちょっとそれに関連する話で池上さんにおうかがいしたいのは、いわゆるネットメディアの「釣りタイトル」ってどう思います? 要するに東スポ方式ですね(笑)。あれと同様の手法で「えっ?」と思って見にいったら中身は大したことはなかった、それでPVが稼げればいいみたいな手法についてはどう思われますか?
池上:あれは、メディアリテラシーを身につけるには絶好の機会じゃないですか(笑)。「ああ、だまされた、なるほどこうやるのか」ということになるわけですが、でもそれはテレビだってけっこうあるでしょう? あるいは新聞のラテ欄にもあるじゃないですか。
私もけっこう某局でやられたことがあって、テレビ朝日で「池上彰の学べるニュース」をやっている裏で某局がやっている番組のタイトルが「学べる池上」だというので、何だろうと思ったら「東急池上線を探求していろいろ学ぼう」という企画だったという(笑)。もう確信犯ですよ。
《中略》
池上:それはなかなか難しいと思うけど、見てもらおうとするがゆえのテクニックのようなものはあると思いますよ。
津田:まあでも、報道もお金がかかるものなので、PVを稼いでそれによってメディア価値を生んでお金が十分にあって、そのお金で本当に報道したいことを報道するというのが、メディアのやることでもあるわけですからね。時間をかけた調査報道というのはすべて採算割れしているわけですから、それをネットメディアでやるには、PVを稼ぎつつ伝えたいこともちゃんと伝えていくということで、そこは地道にやっていくしかないんですかね。まあ、だから池上さんに背中を押してもらいたいんだろうと思いますけどね(笑)。
池上:たとえばアメリカのイラク戦争が始まったとき、イラク戦争をずっと日本のテレビのメディアも伝えていたんですよ。ところがこれが半年くらい経ってきてだんだん飽きられてくると、視聴率というのは1%刻みで出るわけですよ。そうすると、NHKでも「では続いてイラク情勢です」と言った瞬間に数字がストンと落ちるんですよ。
これは辛いですね。そういうデータを見てしまうと、やっぱり心が折れるわけですね。とくにイラク問題を地道に取材してリポートしている記者にしてみれば、やっぱりめげますよ。でも、そこをやり続けなければならないというのは意地だよね。それがジャーナリストの意地なんじゃないかな、と。あるいはそのときに、イラク情勢でも見てもらえるような「釣り」の要素は何になるのか、とか。
津田:それは「学べるイラク」でしょう(笑)。
池上:たとえばエジプトの話ならね、「スフィンクスいても立ってもいられない」って見出しにして、「何だろう」と思って読んでいくと、実は今イスラム原理主義のきわめて過激な連中のなかには「スフィンクスは偶像崇拝だから破壊すべきだ」という人たちがいるんですよ。
ムスリム同胞団じゃないですよ、あの人たちじゃないんですけど、もっと過激な連中がいるわけですね。だから、このあともしもムスリム同胞団を抑圧弾圧して、さらに過激な組織が出てくると、スフィンクスを破壊しよう、ピラミッドを破壊しよう、という組織が出てくるかもしれないんだよ、という原稿にして結論の部分から「スフィンクスは大丈夫なのか」という見出しにする、と。
津田:そうですね、それだったらまとめサイトを見ているような人たちでも興味を持てる話題になるかもしれないですね。
池上:まあ、要するに頑張ってくださいという話ですよ(笑)。
池上氏の指摘する、「見てもらおうとするがゆえのテクニックのようなもの」というのはやっぱりあると思います。
日比野庵の記事でも意図的に「釣りタイトル」も使ったことがありますけれども、多少なりともPVが伸びたことは確かです。例えば、「ヒュンダイ車、米国の安全性テストで「不可」に!」はその一つですけれども、このタイトルは2ちゃんねるだか、そこらでつけられていたのをそのまま使ったのです。それにしても、2ちゃんねるやまとめサイト系の記事タイトルは、実につけ方が上手いと思いますね。「○×した結果~」なんてタイトルの記事があれば、ついつい見てしまいますもの。
また、「恥を知れ、俗物!」のエントリーでは、釣りタイトルにする積りは全くなかったのですけれども、「記事タイトルに惹かれて読んでみた」というツイートもあったようですから、それなりに効果があるとみるべきなんでしょうね。
そして、ネットリテラシーについて、池上氏は次のように語っています。
津田:最後に池上さんにおうかがいしたいんですが、僕もこういう講演なんかをやったときにTwitterなどで、「情報を見抜く目ってどうやって養うことができるんですか?」と聞かれるんですが、「ネットの情報はとにかくデマが多い、デマに踊らされないためにはどうすればいいですか?」という質問がすごく多くて、これには僕もビシッと一言で答えることができなくてなかなか難しい。今は「『メディアの仕組み』を読んでください」と言っているんですが(笑)。池上氏はネットリテラシーを身に着けるためには、試行錯誤し、デマに踊らされたことを記憶する、デマを発した人を忘れない。こうしたことを指摘しているのですけれども、そうした情報が広く共有化されると、また新しい流れが出てくるかもしれません。
池上:デマに踊らされてしまったというときに、それをしっかり記憶しておくことが大事ですね。結局、人間って試行錯誤で失敗を通じてしか学ばないので、「ああ、こういうところでこんなデマで踊らされてしまった」というのをしっかり記憶する、あるいは、「この経済評論家ががこんなことを言ってるのを信じてこんな目に遭ってしまった、この人の名前はしっかり覚えておこう」とかね。「このブロガーの言っていることがとんでもなかった」ということを一つひとつキチンと記憶していくことが大事なんじゃないですかね。
津田:だまされることを恐れるのではなくて、だまされるのはもうしょうがないんだ、と。
池上:そこから何を教訓として引き出し、学んでいくか。こういう類のデマに踊らされたんだな、じゃあ次に同じようなことが起きたときに同じようにならないようにしよう、ということを積み重ねていくしかないんじゃないかな、と思います。
津田:なるほど、最後にとても良いことがうかがえたんじゃないかな、と思います。僕自身もとても学びが多い日でした。今日は本当にありがとうございました!
例えば、デマに踊らされた人達の声を集めてビッグデータにして、それを元にブロガーの格付けというか、発信情報の信頼性ランクみたいなものが出来上がるかもしれません。
少し前にヤフーやグーグルで"うそ新聞"と検索すると「朝日新聞」がヒットするというのが一部で話題になっていましたけれども、ああいった予測検索機能なども、その走りになるのかもしれませんね。
今年もよろしくお願いいたします。m(__)m
この記事へのコメント
プチ農
朝日新聞の1面は韓国済州島の野望でした。中韓は外国メディアの買収に熱心なようですね。
本年もよろしくお願いします。
白なまず
sdi
昨年はし、日比野殿の記事で色々と勉強させていただきました。
その返礼が、小生の拙いコメントというのは心苦しいですが本年もなにとぞよろしくお願いいたします。