ソチ五輪の男子フィギュアで羽生結弦選手が見事金メダルでしたね。LIVEでドキドキしながら観てました。…今日も、昨日のエントリーの続きです。

1.嫌中主義に踏み出した北朝鮮
安倍総理が、ソチ五輪の開会式に出席したことについて、ロシア各紙が大きく取り上げている。ロシア政府系の新聞である「ロシア新聞」と「イズベスチヤ」は、ロシアのフィギュアスケート団体金メダル獲得を1面で報じた次の2面トップに、プーチン大統領と安倍総理の会談に関する記事を写真付きで紹介。安倍総理が「プーチン大統領が心血を注いだソチ五輪」を高く評価したと伝えている。
西側先進国が軒並みソチ五輪への出席を見送るなか、単独で出席した安倍総理に対しては、他国から特にクレームも来ておらず、取りあえずは、上手くいったように見える。
この日本の五輪外交を目にして、韓国では、朴政権に対し疑問の声が上がっている。韓国・中央日報は2月8日付の社説で「ソチ五輪で行われている東アジア国益政治の現場に、韓国は関心がないようだ。韓・中・露・日の東アジア4カ国の首脳のうち、韓国の朴槿恵大統領だけが開会式政治から抜けた」と批判している。
この記事では、"韓・中・露・日の東アジア4カ国の中で韓国だけが五輪外交から抜けた"という言い方をしているけれど、正確ではない。実は、北朝鮮もソチ入りしていたようだ。
2月7日、北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長がソチを訪れ、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席らと相次ぎ会談したと、北朝鮮の朝鮮中央放送が伝えている。北朝鮮はソチに選手団を派遣していないのだけれど、それにも関わらず五輪外交を展開した背景には、張成沢氏処刑で各国に広がった北朝鮮の国内不安定化の観測を否定し、各国との関係改善を急ぎたい思惑があるのではないかと見られている。
つまり、ソチを舞台として、日本、中国、北朝鮮がそれぞれロシアと首脳会談を持ち、バリバリの五輪外交を展開し、韓国だけが文字通り蚊帳の外だったということになる。
ソチでの日露首脳会談では、特に大きな進展はなかったのけれど、独立総合研究所の青山繁治氏は、日露間では水面下での交渉が進んでいて、北方領土問題が大きく動き出す可能性があるとし、北朝鮮についても中国を牽制したいという意味でロシアと、結びつきを強めたい思惑があると述べている。そして、日本とロシアの関係が良くなっているということから、拉致問題も動き出すかもしれない、とも。
因みにプーチン大統領は、2月6日に露中首脳会談、翌7日に北朝鮮の金永南氏との会談、そして8日に安倍総理との会談をしている。つまり、中国と北朝鮮の情報を持った上で日本と会談に臨んだともいえるわけで、安倍総理がプーチン大統領から、拉致問題に関して北朝鮮の考えを聞き出している可能性がなくもない。
もしも、青山氏が指摘するように、北朝鮮が、"嫌中主義"を指向しているのならば、ロシアとの結びつきを強めるのは合理的選択だといえるし、日本との敵対関係を多少なりとも緩められるのであれば、それもプラスに働くだろう。
2.北朝鮮が持つ2つの選択
では、北朝鮮が、"嫌中主義"になっているとして、果たして韓国は、北朝鮮にとってどういう位置づけになるのか。考えられるケースは2つ。
一つは、ロシアと同じく、韓国との結びつきを強めて、中国を牽制する一端とするケース。もう一つは、逆に韓国を武力占領ないし隷属させることで、中国牽制の駒とするケース。
前者についていえば、1月16日に、北朝鮮の国防委員会が国営・朝鮮中央テレビを通じ、「我々は、来る1月30日から旧正月を契機に、お互いを刺激し誹謗中傷する全ての行為を全面中止することを南朝鮮当局に正式に提案する」と、南北関係改善の為の呼びかけを行い、韓国が毎年アメリカと行なっている、米韓合同軍事演習の中止と、南北が「地上、海上、空中で相手を刺激する全ての行為を中止すること」を提案しているから、韓国に対して宥和策を取り始めたと見えなくもない。
但し、韓国は、昨日のエントリーでも触れたように、アメリカの軍事情報を中国に横流しする国。北朝鮮が、"嫌中主義"を採っているのであれば、その内部の動きが韓国経由でダダ漏れになる懸念がなくはない。だから、これだけをもって宥和に転じたと判断するのは、ちょっと気が早いと思う。
では、もう一方の後者についてはどうかというと、これも可能性としては残されている。北朝鮮は、先の韓国に対する関係改善の呼びかけをする一方、核開発の権利については「アメリカの核の脅威を抑制する為の手段だ」と述べ、従来の姿勢を崩していない。
また、韓国に侵攻することを考えると、後背を抑えるという観点では、ロシアとの関係改善は大きな意味がある。仮に北朝鮮が韓国を武力攻撃する動きを見せたら、中国は中朝国境付近に瀋陽軍区の陸軍部隊を展開することが予想されるのだけれど、その時、例えば、ロシアが安全保障の為とか何とか言って、中国の黒竜江省沿いの国境付近に大規模な陸軍を配置したとしたら、今度は逆に、瀋陽軍区の部隊が牽制されることになる。
また、ロシアとの関係が改善すれば、たとえ、中国からの物資供給がストップされたとしても、ウラジオストック経由での陸路または海路での物資援助も可能になる。
因みに、このウラジオストック経由の物資輸送ルートを牽制する方法としては、ひとつには、日本海に艦船を配備するという手が考えられるけれど、日露関係を睨んだ場合、日本が独自でそれをやるのは難しいかもしれず、その場合は、米軍或いは韓国軍が主体になると思われる。
そして、一番重要なポイントになるけれど、来年、2015年末には在韓米軍が韓国から撤退する。北朝鮮が韓国を攻撃するとしたら、斬首戦略で、いきなり青瓦台を急襲して、韓国政府を降伏させる手段を除けば、邪魔な米軍が撤退してからというのは当然の選択になるだろう。
仮に、北朝鮮が2015年以降の韓国侵攻を考えているのであれば、日露関係の進展を睨みながら、ロシアと日本との関係改善をするためには、今年あたりから動き出して置かないと間に合わない、と見ているのではないか。そうであれば、今、北朝鮮が欲しいのはロシアと日本との関係改善の為の時間。その観点からみれば、先の、北朝鮮による韓国に対する関係改善の呼びかけは、ただの"時間稼ぎ"ということになる。
こうしたことを考えると、今、韓国は、安全保障の面で極めて危うい状態にあると言わざるを得ない。反日を続けることで、大統領の支持率をキープすることはできるかもしれないけれど、亡国してしまえば、一切合財が御破算になる。
この記事へのコメント
泣き虫ウンモ
その流れを強固にしたのが、今の大統領という訳だ。
何と言うか、現在の首長にあわせて準備していたかのようですね。
ルーズベルトからトルーマンじゃないですけど、そういう感じもしますね。
almanos