常識の斜め上を爆走する韓国

 
昨日の続きですけれども、極々簡単に。

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2月13日、韓国を訪れたアメリカのケリー国務長官は、ソウルで朴大統領と尹外相と相次いで会談した。

ケリー長官は、尹外相との会談後の共同記者会見で、「北朝鮮の核の脅威に直面するなかで、日米韓の強固な関係を維持することが極めて重要だ。…今は非常に大きく、差し迫った安全保障上の懸念を抱えている。歴史ではなく現在の問題だ。歴史を後ろに置き、前に進めるかどうかは日本と韓国しだいだ」と強調。日韓関係の早期改善を強く促している。

これに対して、尹外相は、「日本の政治指導者の一部が歴史を修正するような言動を続けているかぎり、信頼を作るのは難しい。歴史を直視し、周辺国の信頼を得られるような行動を示すべきだ」と日本が悪い論を展開した。

ケリー長官が、過去の歴史問題より、今の安全保障問題に対応しろ、と言っているにも関わらず、尹外相が安全保障よりも歴史問題を優先するコメントをした。双方の話は全く噛み合っていない。これでは、会談でも大した成果はなかったのではないかと思われる。

ケリー長官は2月7日にワシントンで、岸田外相と日米外相会談をしているのだけれど、その中で北朝鮮への制裁の強化策をめぐり議論し、2月24日からの米韓軍事演習に対し北朝鮮が軍事挑発の動きをみせた場合、日米合同の対北制裁措置を強化する方針で一致している。

ケリー長官の訪韓は、これを踏まえた上でのもので、韓国とは北朝鮮に対する対応について、詰めた話をしたかったことは間違いない。ゆえに、共同記者会見でも「歴史ではなく現在の問題だ」と強調した。なのに、韓国の尹外相は、どこ吹く風とばかり、日本が悪いと応じる始末。流石に、ケリー長官も呆れ果てたのではないか。



それに、ケリー長官の発言は、4月にオバマ大統領が訪韓することと無関係ではないだろう。12日、アメリカは、オバマ大統領が4月下旬に日本、韓国、マレーシア、フィリピンの4カ国を訪問すると発表しているけれど、当初、韓国を訪問する予定はなく、日本は、オバマ大統領を国賓として迎える積りでいて、2泊以上の滞在をアメリカ側に求めていた。

だけど、そこに韓国が、アジア歴訪で日本だけを訪問すれば、歴史認識問題で日本を支持したように映るとして割って入り、オバマ大統領の訪韓を強烈に要請した。結局、アメリカ側は折れて、オバマ大統領は日本の滞在日程を一日短縮し、韓国に行くこととなった。

因みに、日本側はそれでも、オバマ大統領を国賓として招くことで、日米同盟の修復の証しになるとして、1泊しかしない外国要人に対して、前例のない国賓待遇を行なう方向で日程調整をしている。安倍総理との首脳会談では、日米防衛協力のための指針再改定を始め、中国や北朝鮮情勢、日韓関係の改善など地域の緊張緩和をめぐり協議する予定と伝えられている。

また、オバマ大統領は、フィリピンとは、中国に対処するための米軍駐留拡大に関する軍事協定交渉の妥結を目指す予定でいて、アジア歴訪は、中国を睨んで、アジア重視戦略維持を強調しつつ、同盟強化を図る狙いがあるとみられている。

オバマ大統領は、日本滞在後、その足で韓国入りし、朴大統領と会談し、米韓同盟の強化と北朝鮮の非核化や日韓関係などについて話し合うとしているけれど、先の米韓外相会談後の会見で、ケリー長官が、「オバマ大統領が直接仲裁する事案がそんなに目立ってはいけない」と述べているから、恐らく対北朝鮮問題がメインの議題になると思われる。

こういった背景を考えると、歴史問題なんて脇において現実的な脅威に対応するのが普通の筈。だけど、やはり彼の国は、常識の斜め上をいく。



2月10日に行われた中韓外相会談で、尹外相は、中韓両国の信頼を高めるためとして、軍事情報を共有することについて、「中韓の間で合意があるか無いか関わらず、議論していく必要がある」と述べたと伝えられている。

米韓同盟があるにも関わらず、韓国が軍事情報を中国と共有するというのは、同盟にヒビを入れる行為に他ならない。昨年12月に、朴大統領とバイデン副大統領が会談した際、バイデン副大統領が「アメリカの反対側にベット(賭け)するのは良いベット(賭け)ではない。"It's never been a good bet to bet against America"」と強く釘を刺していた筈なのだけれど、韓国は、まだ、反対側にチップを乗せている。

韓国は、2012年5月に、中国との間で、韓国軍と中国人民解放軍が軍事物資などを相互に融通できる「中韓軍事協定」の締結交渉を行っていることを明らかにしている。一応、融通できるのは、銃弾・砲弾・爆弾等などの軍事物資ということになっているのだけれど、関係筋によれば、韓国が、日米から知りえた軍事情報を中国に提供する「軍事情報包括協定」も中国と結んで、米軍情報を交換しているという。とんでもない二股ぶり。

もっとも、アメリカ国防省関係筋は「前々から韓国は知りえた米軍情報を密かに中国に流していることを知っている。だから韓国を信用していない」と述べている。F35を巡る交渉でも、アメリカは日本にはライセンス生産を認めているけれど、韓国にはそれを許していない。だから、アメリカは最新軍事情報は韓国に伝えていないのではないかと思われるのだけれど、外交的にいえば、韓国は、信用を大きく毀損する行為をしていることは間違いない。

同盟関係をぶち壊し、自国の安全保障を隅に追いやって歴史問題に固執する姿勢は、理解の範疇を超える。一体、いつまで韓国は、反対側へのベットを続ける積りなのか。




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この記事へのコメント

  • スッキリしたい

    韓国はともかくとして・・・
    米中での会談が全てを物語っているのではないでしょうか?
    オバマ政権に於いては韓国の意向というよりも支那の意向を重要視するという構図の中で日本に歴史解釈を人道的に歪曲し譲歩しろと言っているように聞こえます。
    一度謝罪をしたらそれが一人歩きするという世界の常識を日本人が無視したせいで現在があるので、これを覆す行動を起こしていかないといつまでも机上の空論で、やがて日本を潰しかねません。
    日米韓の分断は支那の覇権第一歩なのですから、米国の分析力もかなり劣化しているように見受けられます。
    2015年08月10日 15:21
  • 朱鷺池

    主たる、民、マスメディア、政治家、均一なる同一性。
    デフォルトに向かいそうです。
    危機感を抱く国軍はもしかすると、何らかのメッセージを、
    送るかもしれません。
    2015年08月10日 15:21
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    朴大統領は第二の閔妃になるのではないか.
    今回は日本とロシアは手を出さないだろうが,
    国内の軍部関係が堪え切れなくなって
    クーデターと言うことはないのだろうか.
    非文明国で最もまともなのは通常は軍部である.
    南朝鮮もしかり.
    2015年08月10日 15:21
  • 泣き虫ウンモ

    嫌韓ではなく、救韓の視点で言えば中国に対する報復能力をもつ軍事力を日本が韓国の後ろ盾にしてもいいですよみたいなものを、外交でつかえれば中国に媚びるのを防げた可能性はありますね。
    損得勘定で思考する傾向性が強いので、上手くいったかも。
    不良の夫婦のような関係に、楔を打てたかもしれません。
    米中の両方にベットすると、した側は吸収されたあと○される可能性大ですね。
    正しく、信なくば立たずでしょうか。
    2015年08月10日 15:21
  • almanos

    とりあえず、韓国の顔だけは立てたけど、どうせ恩を仇で返すから縁切りの理由としてとか言うのがありそうですね。覇権国がアメリカであるという現状を中共は変更しようとしている。それで損を被るのはアメリカです。オバマ政権としては妥協はしても「アメリカが損をすることを受け容れる」展開は断固拒否でしょう。で、日本ですが敢えて国賓待遇に線でもと思うんですが「我々は一日とは云え誠意を見せましたよ」というポーズとしては悪いものではない。まあ、その前に中京経済がはじけつつある現在、歴訪時に大韓民国が残っているかという大問題もありますが。案外、歴訪時には国家の体を為していないからリップサービスだけで、そうなったら日本に二日滞在とかなりそうですね。
    2015年08月10日 15:21

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