「KANO」と与一が結ぶ日台の絆

 
今日はこの話題です。…

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1月27日、台湾教育部の国民基本教育審議会は、今年8月から実施される、12年一貫教育の高校向け学習指導要領の調整を行い、歴史科のうち台湾史の部分で日本統治時代や中華民国政府の台湾移転後の事象に関する記述や名称を調整するとした。

教育部の林淑真次長は今回の調整の要点を、「憲法の規定に合う名称の統一使用」、「内容の補足修正」、「社会の変化に対応する重要議題の調整」と説明し、1895~1945年の「日本統治時期」は「日本殖民統治時期」に、「大東亜共栄圏」は「大東亜共栄圏の侵略構想」に変更されることとなった。

同じく、教育部の担当者いよると、「現行の高校の歴史教科書は日本の台湾植民地統治に対して功績を称える記述が多く、台湾の建設は日本人がそのすべての基礎を築いたかのごとく書かれている。改訂後は日本による植民地統治を美化せず、台湾の主体性を強調する」としていて、これまでよりは、やや中立的な記述へと変わるようだ。

これに対し、台湾最大野党の民主進歩党は「大中国史観に立ち、台湾を矮小化している」 と反発。新指導要領に沿った教科書の不採用を学校側に求めているという。

また、日本の一部メディアからも、今の台湾総統である馬英九氏が反日家として知られていることから、中国と足並みをそろえて反日的な歴史教育をしていくのではないか、という危惧も取沙汰されている。

だけど、台湾に2000年から10年に渡る滞在経験を持つ、金沢大学の酒井亨准教授によると、馬英九氏は反日傾向はあるものの、別に、中国共産党政府に糸を引かれる"手下"などではなく、むしろ、アメリカの傀儡なのだという。更に、中国本土に対しては、自分達こそが、中国の正統な存在であり、大陸の共産党政府なんかより、ずっと格が上なのだと自負しているのだそうだ。

ただ、実際の外交はというと、そんな露骨なことはせず、結構したたか。馬英九氏は2008年の総統選挙で勝利を収めると、アメリカの後ろ盾のもと、中国との関係安定化を図るべく「統一せず、独立せず、武力行使せず」というスローガンを掲げ、現状維持による安定化への道筋をつけている。

だけど、教育内容(記述)を変えてしまう以上、長い年月をかけて、徐々に台湾が日本から離れていくようになるのではないか、という気がしないでもない。

ところが、ここ最近、民間レベルでは、逆に、日本と台湾との関係は深まりつつある。3.11の際、台湾は200億円以上の多額の義捐金を出し、昨年のWBCでは、日本と台湾との試合で日本の観客席から義捐金に感謝するプラカードが出されたことなどは記憶に新しい。



そして、今年2月27日から台湾で「KANO」という映画が公開される。

これは、魏徳聖監督プロデュースによる台湾映画で、1931年日本統治時代に台湾の嘉義農林高校が甲子園に出場し、準優勝した実話を映画化した作品。メガホンを取ったのは、今回が劇場映画初監督となった、俳優の馬志翔氏。

嘉義農林野球部は、1929年の創部当初は、日本人、台湾人、原住民による混成で、のんびりしたチームだったのだけれど、日本人新任監督の近藤兵太郎を迎え、スパルタ式訓練で「甲子園進出」を目指す。近藤の鬼のような特訓を受けたチームは徐々に力をつけていき、ついに1931年、台湾予選大会で、日本人のみの常勝チームであった台北商業に勝利し、甲子園出場を果たすというストーリー。

近藤兵太郎監督を演じるのは、永瀬正敏。永瀬は近藤監督の教え子から近藤監督の人となりや性格、実践していた訓練方法などを聞いて役作りの参考にしたそうだ。

「KANO」はリアルを求めた作品づくりがなされていて、嘉義農林野球部ナインは、俳優ではなく、野球経験者に二か月に及ぶ演技指導を施して撮影したのだという。

この作品を日本で見られないのは残念なのだけれど、予告編がネット動画で上がっていて注目を集めている。予告編を見た人の中には 「6分間だけで泣ける」と中々評判のようだ。

台湾政府が日本統治時代を美化しないように歴史教育を見直すとしたけれど、実話をもとにした映画だって、歴史教育のひとつにいれていい。

「KANO」の中には、大沢たかおが演じる八田与一も登場する。 八田与一は、烏山頭ダムを造った台湾水利事業の大功労者。

今でも、台湾の中学生は、八田与一について教わるという。そんな人物が嘉義農林野球部の活躍と共に、スクリーンに描かれる。

勿論、映画だからといって、必ずしも美化する必要はないけれど、それ無しで、感動する作品なのであれば、その教育(拡散)効果は決して小さくはないだろう。

3.11、WBCときて「KANO」。何やら、民間レベルで日台の絆がより強まってきているような気がしてならない。




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この記事へのコメント

  • 泣き虫ウンモ

    大東亜共栄圏の侵略構想は、おかしいですね。
    アジアの国々から、搾取したことはないし統治期間も短いですから、なんらかの悪意を感じますね。
    まぁ、期間の長い台湾でも莫大な投資をしてますし、それも血税ですからね。
    話はかわりますが、八田さんの話を例にすると日本人がブレーンで台湾の人々が実働部隊という関係なのかな。
    そういう意味では、台湾の人々の働きも大きいので、そこを少し強調したいというのであれば話はわかりますが。
    韓国も、そういう感じですよ。
    2015年08月10日 15:21
  • -d-

    この映画が日本で上演されテレビでも普通に紹介されたら
    確実に「三丁目の夕日」以上の大ヒットになるでしょう。
    野球好きなアメリカでも結構伸びる筈です。
    映画館でみたいなー
    2015年08月10日 15:21
  • 白なまず

    この映画も「海角七号」と同様にDVDが発売されるでしょうからそれまでお預けですね。そして将来日台で映画を作るためのファンドとかを立ち上げて、日台の歴史を背景にする映画が多数出れば面白そうですね。誰かそんな映画をプロデュースするファンドを立ち上げてくれないかな~。そうすれば応援する個人からの小額の投資で日台の映画を作り、交流が進めば日本映画界の親日台勢力と台湾映画界の親日台勢力が日台の左翼反日の映画界を圧倒する事になるでしょう。
    2015年08月10日 15:21
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    >「大東亜共栄圏」は「大東亜共栄圏の侵略構想」

    やはり米国の指示なのだろうか.
    だとすれば生仏のような嫌らしさである.
    力で世界と退治することを避け,
    舌先三寸で世界を操る ― オバマ大統領の好みだ.
    残念ながら道理がないのだが.
    2015年08月10日 15:21

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