今日はこの話題です。

1.日韓の協力は基本的にできない構造にある
1月31日、社団法人・日本戦略研究フォーラムが主催する、第30回本戦略研究フォーラム定例シンポジウム「韓国はどこに向かっているのか」が、都内の「ホテルグランドヒル市ヶ谷」で開催された。
登壇者の一人、アメリカ・ヴァンダービルト大日米研究協力センター所長のジェームス・E・アワー氏は慰安婦について
「『韓国人をターゲットにしたものではない』とする米進駐軍の調査もあった」とし、「日米韓協力の最大の障害は韓国の内政だ」と述べたそうだ。
ジェームス・E・アワー氏は、アメリカ海軍士官出身で、1979年から10年間、レーガン政権下の国防総省で安全保障局日本課長および日本部長を務めた人物。1988年に日米関係について研究および推進する目的で設立されたヴァンダービルト大日米研究協力センターの所長に就任している。海軍士官時代に、日本への滞在経験を持ち、日米研究協力センターには、日本の官公庁、企業などから派遣された日本人も常に研究留学している。知日派の一人と言える。
アワー氏の慰安婦についての認識は、去年の7月に産経新聞へ寄稿した内容をみても分かるとおり、慰安婦は韓国だけではなかったというものなのだけれど、「日米韓協力の最大の障害は韓国の内政だ」という指摘は重要。
同じ、シンポジウムに登壇した、産経新聞のソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏は、慰安婦問題は1990年代に日韓政府間で決着したはずだが「慰安婦団体が人権問題として『反日』の海外輸出を行っている」と指摘しているように、既に日韓の政府間で決着している問題を蒸し返すことは、韓国側に蒸し返さなければならない理由があるということ。
そもそも、韓国が、反日に走らなければ、政権が維持できないような体制を作ってしまっていることが問題で、これはとりもなおさず、日韓の協力は基本的にできない構造になっていることを意味している。その意味では、アワー氏の指摘は、本質を突いていると思う。
また、黒田氏の指摘する反日の海外輸出についてもそのとおりで、近々では、1月30日から開催されているフランスの「アングレーム国際漫画祭」で韓国が慰安婦を取り扱った漫画を出品したのもその一つと言える。
2.アングレーム国際漫画祭で撤去された日本ブース
アングレーム国際漫画祭では、韓国側は、19人の漫画家が慰安婦の悲惨な体験をテーマに20編の漫画と4編のアニメーションを展示・上映している。
ただ、日本も指を咥えてこれを見ていたわけじゃなくて、去年、ネクストドアー出版/アイコミックス代表の藤井実彦氏が、「日本をおとしめる自虐史観や、嘘と誤解に満ちた歴史観を払拭すること」を目的とする、「論破プロジェクト」を立ち上げ、慰安婦問題について、同じく漫画で対抗すべしと今回のアングレーム国際漫画祭に、韓国作品の倍の作品を出品することを目標に準備を進めていた。
ところが、開催前日の29日に、日本側が記者会見を行っている際、主催者側が割り込んで、強制的に記者会見を中止させ、更に、「強制連行はなかった」とする日本側の漫画を「政治的だ。漫画を展示させるわけにはいかない」と、日本側に会場から出ていくよう通告。展示・販売用の漫画なども持ち去ったという。
この辺りについては、その場にいた"テキサス親父"こと、トニー・マラーノ氏がその状況をこう伝えている。
みなさん、聞いてくれ。主催者によると、日本側の展示を撤去させた理由は「政治的だから」ということのようなのだけれど、韓国側の作品は撤去もされずそのまま展示されている。ということは、主催者は、日本側の展示は「政治的」であり、韓国側の作品は「政治的」ではない、と認識していることになる。何故そうなるのか。
俺の目の前で、許せない事件が起こった。
漫画祭の担当者が激高し、日本側ブースの看板などを引きずり下ろし、印刷物などを勝手に持っていった。
盗んだんだぜ。
この担当者は、日本側の記者会見まで妨害して「お前たちは出ていけ!」と怒鳴り散らした。
当然、日本側は「盗んだ物を返してくれ」と求めたが、彼は拒否した。
警察を呼ぶように頼んだが、24時間たっても警察は現れなかった。
フランス警察は現場到着まで1日以上もかかるのか?
3.したたかな韓国のロビー活動
実は、同じく開催前日の29日に、韓国は、パリの韓国文化院で、フランスの記者や文化界関係者およそ20人を招いて懇談会を開催し、漫画祭に出展する慰安婦関連の特別展についての事前説明会を行おうとしていた。だけど、懇談会の前日に漫画祭の事務局から、懇談会を中止するよう要請があり、懇談会を中止しなければ企画展自体を認めないと強硬に迫ったという。
これについて、韓国メディアは、日本が、事務局に圧力をかけたのではないかと、いつもの"被害妄想"チックな記事を書いているようだけれど、主催者は、韓国の事前説明会を「政治的」だと解釈し、それを中止させたのではないかと思う。まぁ、懇談会には、チョ・ユンソン女性家族部長官も出席することになっていたそうだから、いくら韓国が「政治的」ではないといったところで、認められるのは難しかったと思われる。
そして、日本側についても、前日に行なっていた記者会見を同じように「政治的」と解釈し、中止させたのではないかと見る。不幸なことに、日本側は、その場に作品も一緒に持ち込んでいたから、作品自体も記者会見のパンフレット的なものと思われ、いわば、巻き添えを食う形で一緒に持ち去られたのではないか。
おそらく、主催者は、日本と韓国の両者について"公平"に政治的なものを止めさせたのだと自負しているのではないかと思う。だけど、そのロジックでいけば、日本側に中止させるべきなのは「記者会見」だけの筈で、作品そのものは展示させないとフェアじゃない。
ただ、記者会見と作品をセットで用意したことで、作品そのものが政治宣伝だと誤解される可能性は否定できず、その意味で、論破プロジェクトのミスがあったかもしれない。そう考えると、事前説明と作品展示を分けて行った韓国のやり方は上手いといえば上手い。
この問題について、1月31日、菅官房長官が記者会見で、「韓国政府が主導する掲示が行われることで、相互理解や友好親善といったフェスティバルの趣旨が大きく損なわれることを強く懸念している。趣旨にそぐわない状況が発生していることは極めて残念だ」と述べ、日本側の展示が撤去されたことについて「民間団体の展示のあり方は事務局側と民間団体の間で調整するべき問題だ」とコメントしているけれど、「韓国政府が主導する掲示が行われる」としたあたり、結構踏み込んだ発言ではないかと思う。
もちろん、これが、民間団体レベルじゃなくて、政府レベルの案件となると、日本はもっとはっきりと抗議、或いは圧力を掛けることが可能になる。
4.経験を積んで効果的なロビー活動を目指せ
1月30日、アメリカのバージニア州下院教育委員会の初等・中等教育小委員会が、日本海の名称を巡り、公立学校の教科書には韓国が主張している「東海」を併記するよう求める法案を5対4の賛成多数で可決している。バージニア州知事のテリーメコルリーフ氏は、去年10月、選挙運動のためバージニア州の韓国人密集地域であるエノンデイルで、韓国人有権者たちと懇談会を行ったのだけど、その席で「州知事になったら、東海併記法案を支持するだろう」と約束したとされている。これが本当であれば、韓国側は少なくともこの時期迄には、「東海」併記のロビー活動を行っていたと推測される。
ところが、テリーメコルリーフ州知事は、最近になって、「そんな約束はしていない」と言い出した。どうやら、その裏には日本側からの働きかけが効いたのだという噂がある。
日本政府は、去年12月の段階から、佐々江賢一郎駐米大使を通じて、法案に反対するようテリーメコルリーフ州知事に働きかけていた。韓国・中央日報によると、佐々江大使は去年12月26日に、テリーメコルリーフ州知事に手紙を送り、「日本海と東海を併記した場合は次の3つの問題が生じる」と懸念を伝えていたという。それは次のとおり。
「第1、日本海(Sea of Japan)は日本と朝鮮半島の間にある海の呼称として公式に認められており、日本の膨脹主義や植民地統治の結果だという主張は間違っている。米政府は日本海を唯一の名称と認めており、国防省は一つの呼称だけを使用することが米政府の方針であることを明かしている」。確かに、州知事の立場の人にこんな手紙が送られてくれば、法案支持の姿勢を出すのは躊躇するだろうし、韓国有権者との約束についても「そんな約束は知らない」とシラを切るのも無理からぬこと。
「第2、バージニア州議会は学生に政治介入させようとしている。学生は真実だけを学ばなければならない。政治家が学生を混乱させてはいけない」。
「第3、バージニア州と日本の関係悪化が心配される。日本のバージニア州投資は5年間で10億ドルに達し、外国人の直接投資額の規模は2番目。『東海法案』が通過した場合は、日本とバージニア州の肯定的な協調や経済的な関係が壊れるのではないかと懸念している」
政府レベルであればここまで出来る。もっとも民間レベルでも、例えばトヨタなんかは、アメリカに工場を出すとき、その地域に反日議員がいる場合は、「あなたの××という議員が反日活動してますね?だから工場は建てません」とはっきり通告するのだという。
まぁ、見方によれば露骨といえば露骨だけれど、こうしたロビー活動は、中韓のほうがもっと派手かつ大規模にやっている。ただ、向こうは表向き民間団体を装い、その裏では政府が糸を引いているという点が厄介。
だから、日本の民間団体がロビー活動を行なうにしても、生真面目に主張するのもいいけれど、他国のロビー活動の現実は、もっとドロドロとしたものだと知った上で、効果的な活動を行わなくちゃいけない。
先程取り上げた、フランスの漫画祭で、日本側出展を取り上げられたことにしても、二度とこうした事態を招かないように、したたかに、かつ粘り強く活動を続けていく必要がある。
この記事へのコメント
泣き虫ウンモ
どっちつかずも、フランスにとっては危険かも。
ななし
政府の売国を何とかしないと、結局最後は
「お前達の政府が認めてるではないか!」
と言われておしまいになってしまいます。
ちび・むぎ・みみ・はな
2,3年はフランスに出品しなければ良いだけの話.
漫画はネットで発信でき, 取り引きもできる.
日本が出品しない漫画点なぞ誰が見に行こうか.
半島人の描く日本漫画コピーで仏人が満足するなら,
移民政策の下, 仏文化は落ちる所まで落ちたと
いうことだろう. 仏国は文化の国と自慢するが,
なに, 文化を作ってきた王朝貴族は既に居ない.
日本の文化はそれ自体が既に大きな武器である
ことに気が付かなければならない.
日本漫画無しに一般仏国人がどれほど我慢できようか.