昨日のエントリーに関連した話題を超簡単に…

クリミアの美人検事総長ナタリヤ・ポクロンスカヤ氏が「美人すぎる」とネットでちょっとした話題になっている。
切っ掛けは、3月11日にYouTubeに公開された記者会見の動画を、14日にあるツイッターユーザーに紹介されや否や、9000リツイートを超える話題となった。
「美しすぎる…本当かよ…」「制服とか色々ドストライクすぎて辛い」などというコメントと共に、瞬く間に氏のイラストがネットにアップされ祭り状態に。まぁ、日本で祭りになるだけあって、そのイラストは「萌え絵」が多いのだけれど、その盛り上がり振りが、ロシア語圏、さらに欧米各国にも伝わり、海外メディアが報じるまでになった。
ロシアの国営通信社「イタル・タス通信」は3月19日に「日本のスターとなった」との見出しで、日本のポクロンスカヤ人気を報じ、「彼女の大きな瞳、うりざね顔、そして髪型は日本のアニメの美の基準を満たしている」と分析。「ロシアの声」ウェブ版も、日本人の手による「萌えイラスト」を掲載、2ちゃんねるの書き込みも引用しながら、日本人の熱狂ぶりを驚きとともに伝えた。
このロシアでの報道を受け、20日には、イギリスBBCが食いついた。日本国内でポクロンスカヤ検事総長の会見動画が30万回にわたり再生されたことに触れ、「クリミア半島での事態を注視している日本の人々は、どうやらこの新検事総長に魅了されたようだ」と紹介している。
ポクロンスカヤ氏は今年の3月11日に検事総長に就任した。これは、クリミア自治共和国のアクショーノフ首相が親ウクライナの検事総長を解任して空席になった為で、クリミア検事局は彼女に先立つ4人の男性に、このポストを打診していたのだけれど、この時期は、シア系の武装勢力とウクライナ軍が衝突している最中であったこともあり、4人全員が後任を辞退した。そこで、ポクロンスカヤ氏に白羽の矢が立ったということらしい。
ポクロンスカヤ氏は、若干33歳の若手検事なのだけれど、本来、こうしたポストに30代で就任することは有り得ないことらしい。けれども、ポクロンスカヤ氏の経歴についての情報は少なく、ロシアメディアが、検事局で12年のキャリアを持ち、一連の恐ろしい犯罪捜査を担当し、極めて残酷な計画殺人で起訴された犯罪集団「バシマキ」の検事も務めたことがあると報じたくらい。
在ウクライナ日本大使館でさえも、「彼女の経歴については、こちらでも主席検事から検事総長に抜擢されたという以上の話は把握できていない。現在、調査中という状況です」とコメントしている。
ただ、今回の"祭り"を受けて、ロシアでもポクロンスカヤ氏への取材が殺到しているのは事実で、3月24日、ロシア新聞(ロシースカヤ・ガゼタ)は、ポクロンスカヤ氏へのインタビュー記事を掲載しているのだけれど、その中で、ポクロンスカヤ氏は、検事総長を承諾した理由として、「キエフで見たすべてのこと、国の新政府がやったすべてのことが、私にとって野蛮な行いだったからです。この無法状態にがまんできず、人々に保護、法律、平等があること、政府つまり国民が存在していることを示したかったんです」と述べ、ウクライナ総検事局の検事長を2014年2月25日付けで退職している。
また、コムソモリスカヤ・プラウダ紙の取材では、日本でアニメキャラとしてスターになっていることをどう思うかと問われ、「私には全く関係ありません。私は仕事の成果で評価されたいし、そうなるように努力したいです。正直に言うと、私をアニメのキャラクターのように描いたイラストなどは、今まで見ていませんでした。今日になって、ジャーナリストから写真を見せられたんです。私の娘はネット上で何が起こっているのかを知っていて『お母さんはヒーローだったんだ』と言っていました」と答えている。
ポクロンスカヤ氏本人は、アニメキャラになることについて、否定しているけれど、"スター"となってしまったことで、取材が殺到し、自身の主張を広く伝えられる機会が与えられたことも事実。祭りにならなければ、氏の「キエフでよくわからない手段でこの政府を奪取した個別の集団や人々ではなく、国民のためだけに私たちは活動しなければなりません」という主張がここまで世界に知られることはなかった筈。
元はと言えば、ポクロンスカヤ氏を「萌えキャラ」にして、祭りにしたのは日本のネットユーザー。本来、その"祭り"は、日本国内だけのもので済んでも良かった。だけど、それが、ロシアで注目され、それが欧州メディアに転載されるという具合に芋蔓式に、世界に広がっていった。
それは、動画の再生回数もさることながら、日本の「MANGA」や「ANINE」が世界化しつつある表れの一つのようにも思える。もしも、日本風の「萌え絵」が海外に全く受け入れられないものだったならば、日本のアニメがローカルな扱いだったならば、ここまで注目を集めることはなかったのではないかと思う。
最近では、ネットで海外ユーザーのイラストをみても、結構、日本の漫画・アニメ風のものが増えてきているように見受けられるし、コスプレが海外イベントでも行なわれているところをみると、日本人が思っている以上に、日本スタイルが世界に浸透していきつつあるのかもしれない。
それを考えると、台湾の抗議活動を萌えキャラにした「ほえほえくま」もそうだけれど、「萌え化」されることによる宣伝効果は馬鹿にならないものがあると言える。
今回の、ポクロンスカヤ氏のクリミア検事総長就任について、国際政治経済学者の浜田和幸・参院議員は、「ロシアのプーチン大統領の意向を反映していることは間違いない。彼女はロシアに批判的な国際世論が高まる中“ウクライナで起こった政権の転覆劇こそが違法だ”とクリミアの住民投票の結果を支持するべきとアピールしている。彼女の容姿がこのように注目されれば、その発言も少なからず影響力を持つ。巧妙な対西側への世論工作といえる」と述べている。
それが本当なのかどうかは分からないけれど、結果として、"萌え化"が、台湾学生やクリミアの声の後押しになっている。
日本の一般大衆の意図しない"萌え化力"。この潜在的宣伝力は、日本の漫画・アニメが世界に受け入れられるにつれて、増々強化されることになると思う。
この記事へのコメント
nao
白なまず
sdi