中華毒霧のドミニオン

 
昨日のエントリーの続きです。

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昨日のエントリーで、中国の環境基準について紹介したけれど、これは北京、天津、河北、長江デルタ、珠江デルタ等の重点地域などの計74都市で、2012年末から実施している中国の新環境基準のことで、全国施行は2016年1月から実施されることになっている。因みに、旧環境基準にはPM2.5の環境基準はない。

北京市では市内35ヶ所に大気汚染の測定局を設置し、2013年1月1日から新環境基準の要求に合致したモニタリングを開始。1時間ごとにデータを公表している。

35の測定局のうち23は、一般環境を代表する「都市環境評価測定局」として設置されているのだけど、北京中心部にほど近い朝陽区、東城区、西城区に集中している。特に朝陽区は、2008年の北京オリンピック主会場であったオリンピック公園が建設され、区内には外国公館や外交官宿舎が多く、外国報道機関や外国商社、国際的なホテルなどが林立していることから、中国政府としても対外的な意味から、特にこの区域の「都市環境評価測定局」の測定値には気を配っているのではないかと思われる。

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だけど、その測定結果は決して芳しいものじゃない。

大気汚染の度合を測る指数にAQI(Air Quality Index)というのがある。これは、いくつかの国や地域で採用されていて、アメリカではアメリカ環境保護庁(EPA)が主要都市のAQIの値を調査し、公表している。AQIでは0から500の間を6段階に分け、汚染度をランク付けしていて、汚染の少ないものから「良好(AQI:0-50)」「中程度(AQI:51-100)」「敏感な人には有害(AQI:101-150)」「有害(AQI:151-200)」「とても有害(AQI:201-300)」「危険(AQI:301-500)」となっている。

日本の環境基準である一日あたり15ug/平方メートルは、AQIに換算すると49、年平均35ug/平方メートルは99であり、それなりの環境基準になっていることが分かる。因みに中国の新環境基準の年間75ug/平方メートルはAQIでは156で「有害(Unhealthy)」に分類される。

朝陽区の都市環境評価測定局のひとつである「朝陽区農業展覧館測定局」の去年1月から6月の測定結果のうち、AQIが100以上を示した日数を見てみると、次のとおり。

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4月以外は、その半分以上がAQIで100を超え、201を超えるのも数日から2週間くらいある。実際、汚染によるスモッグがあまりに酷くて、高層マンションなのに部屋に太陽の光があまり差し込まず、向かいのビルもほとんど見えない、というような状況で、視界が50メートルを切る地域もある。更には、植物も光合成がうまくできず、食料供給の懸念さえあるという。中国農業大学准教授のHe Dongxian氏は、「核の冬と同様だ」と述べている。

核の冬とは、都市への核攻撃による大火災で生じる大量の煤煙・粉塵で太陽光が遮られ、地表が氷点下の状態になるとされるものなのだけれど、核を使わずとも既に似たような現実にある。

こんなSFのような現実に対して、SFのような手段で対応しようというプランがある。ロンドンに本拠を置く建築設計事務所Orproject社は、1つの大きな公園を設置し、その周囲を「環境志向的な住居施設群」が取り囲み、それらを巨大な泡のような構造を持つドームで覆うという巨大建築物のコンセプトを発表している。

Orproject社は、この方式で、学校の運動場やショッピングセンターなど、もっと小規模で地域に密着した施設を作ることもできるとし、このコンセプトについて、単なる思いつきではなく、アルゴリズムに基づく構造設計、新素材、および工法を開発すれば実現可能だと述べている。

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こんなSFチックな建造物が果たしてできるのかとも思わなくもないけれど、似たようなものは、既に実在している。イギリスのコーンウォール州にある、巨大な複合型環境施設「エデン・プロジェクト 」がそれ。

このプロジェクトは、かつて陶土が採掘できる地帯だった場所に、ETFE(エチレン - テトラフルオロエチレン)の材質でできた、5角形または6角形の透明なクッション状の壁で「バイオーム」と呼ばれる自然環境を模したドームを構築したもの。その大きさは、長さ240メートル、幅110メートル、高さ50メートルにも及ぶのだけれど、ドームの骨組み自体は非常に軽く、その総重量は内部の空気とほぼ同じだという。中々の建築技術。ドームの内部は植物園となっていて、世界中から集められた各種植物が栽培されているそうだ。

もしかしたら、Orproject社の泡のドームもこの「エデン・プロジェクト」からヒントを得ているのかもしれない。

だけど、仮に中国でこのような泡のドームで、毒霧から逃れる支配領域(ドミニオン)を造ったとしても、そこに入って住める人はほんの一握り。おそらく、大金持ちか中国共産党の高官が優先して入ることになると思われる。

こんなアイデアを中国政府が採用するかどうか分からないけれど、実際にやったとしても、格差が増々拡大して人民の不満が集まり、却って内圧が高める結果になるのではないかと思う。

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この記事へのコメント

  • 泣き虫ウンモ

    あぁ、地球が生存不可能な状態になると思って、他の惑星に移住するという計画の一国版かな。
    国民国家の時代ではありますが、世界的になろうという矢先にこれは無いかな。
    まぁ、遅れた国の病巣とか進んだ国のエゴが見え隠れするのかな。
    2015年08月10日 15:21
  • 白なまず

    ロシアはウクライナ東部の侵略を準備-エストニア国防相
    http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N2FHHX6TTDSI01.html

    3月14日(ブルームバーグ):ウクライナ南部のクリミア半島を占領したロシアのプーチン大統領は次に、「ウクライナ東部に侵略する」準備をしていると、エストニアのレインサル国防相が訴えた。
    ロシアは14日、ウクライナ政府が自国のコントロールを失ったとコメントし、ロシアが軍事介入を拡大するとの懸念が強まった。
    レインサル国防相は同日、電子メールで声明を配布し、ウクライナでの展開は「ロシアが力しか受け入れないことをはっきりと示している」とし、プーチン大統領を止めるためには「攻撃は侵略者にとっても高くつくという明瞭なメッセージを送る必要がある」と主張した。
    原題:Russia Readying East Ukraine Invasion After Crimea,Estonia Says(抜粋)
    2015年08月10日 15:21

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