ケネディ大使へのインタビューと「イルカ発言」について

 
今日から、超多忙モードに入りましたので、しばらく超々簡単エントリーが続くと思います。
御容赦を…。
 
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3月6日、アメリカのケネディ駐日大使は、NHKのインタビューに応じた。その模様はNHKの「クローズアップ現代」で報道された。先日、NHK経営委員を務める小説家の百田尚樹氏の発言を理由にケネディ大使がインタビューを拒んだという報道がされていたのだけれど、どうやらそれが共同通信の捏造報道だったのではないかという疑惑の声も上がり始めてる。

この件についてジャーナリストの櫻井よしこ氏は自身のブログで、信頼できる筋からの情報として、ケネディ大使は「そのようなことはない。…断ったということはない」と明確に語ったと伝えた上で、その発信元は、百田氏を煙たく思っているNHK内部にあるのではないかと述べている。

筆者は2月21日のエントリー「劣化するアメリカとケネディ大使の誘い水」で、日米の懸け橋となるべき立場の駐日大使がインタビューに応じないのはどういうことなのか、と疑問を投げかけていたのだけれど、別に拒否はしていないということなので、先の文は撤回する。

さて、その肝心のケネディ大使のインタビューなのだけれど、筆者が確認できた部分についてではあるけれど、日米関係の重要性を強調し、共に前に進むべきだと述べている。例の「失望」発言や歴史認識についても質問されていたのだけれど、ケネディ大使は、同盟国や友人同士であっても意見の違いはあるだろし、その時はそのように言うことが大事だ。但し、それらも日米同盟全体の中で考えるべき事柄だ、としている。

筆者が先の「劣化するアメリカとケネディ大使の誘い水」のエントリーで「物言わぬ日本人が、アメリカに物申すという「誘い水」の役目をケネディ大使は果たしている」と指摘したけれど、ケネディ大使のインタビューを聞く限りでは、物申すこと自体を拒否しているわけではないようだ。

今回のケネディ大使へのインタビューを聞いて、筆者は全体として一緒に「利」を追及しようじゃないか、という風な非常にビジネスライクな雰囲気を感じた。オバマ大統領もビジネスライクな人物だというから、その影響を受けたのか、或いは元から似た者同士だったのかは分からないけれど、ビジネスライクに徹するのであれば、あまり相手の心を土足で踏みにじるような真似はするべきじゃない。

親しき仲にも礼儀あり。いくらビジネスライクだからといっても、互いに踏み越えてはならない一線をきちんと弁えることが大切。感情が拗れてしまったら、ビジネスだろうが何だろうが、全部吹っ飛んでしまうことは韓国をみれば分かると思うのだけれど、ちょっと簡単に考えすぎていないかという気がしないでもない。

ケネディ大使が友人であっても意見の違いはあり、その時はそう言うべきだと表明した以上、ケネディ大使は、今後も自分の思ったことはそのまま言う可能性があるし、それに対する、日本人の"素"の感情をぶつけられることは十分にあり得る。



1月18日、ケネディ大使は、和歌山県太地町のイルカ追い込み漁について、非人道的だとツイートして物議を醸したことがある。また、先日、H2Aロケットの視察のため鹿児島を訪れ、特産の黒豚を「ぜひ食べたい」と発言したと報じられ、ネット上で「黒豚は可哀想じゃないんだ。ふーん」とか、「海豚はダメで黒豚はOKなのかw」とか、「豚とイルカって何が違うんだろう?」などと批判が相次いでいる。

自分の言いたいこと言って憚らないのはその人の勝手なのかもしれないけれど、その時は、他人からも言いたい放題言われることも許容しなくちゃいけない。

筆者は以前、「クロマグロと捕鯨問題」というエントリーで、欧米の「人間が動植物を管理する」というスチュワードシップという考えを取り上げ、動植物の種に「序列」をつけるがゆえに、牛や鶏は食べても良いのに鯨はダメという考えになるのではないか、と述べたことがある。

その辺りから考えると、ケネディ大使の「海豚はダメで黒豚はOK」というは、このスチュワードシップという考えが根底にあるのではないかと思う。

まぁ、それはそちらの人の考え方だし、尊重はするけれど、それを公言するのであれば、同じように、日本人の動植物に対する考え方、山川草木みな仏性有り。すべてのものに「いのち」を見出す日本人的考えも同じように尊重しないと、公平ではないだろう。他国との懸け橋となるべく役目を負った大使ならば尚の事。

これらの日本からの批判に対して、在日米国大使館の報道室は、言えばそれがコメントになってしまうとして「こちらからコメントすることはありません」とし、ケネディ大使も沈黙している。

筆者は、スチュワードシップなら、スチュワードシップだとはっきり公言すればいいと思っている。それで目くじらを立てるほど日本人は狭量ではないと思うから。ただ、そういう以上は、日本の文化や考え方も同じように尊重すべき。そういう姿勢がないと、一方的な押しつけだと思われてしまう。それでは"大使"としての及第点は得られない。

ケネディ大使の任期が「観光大使」で終わらないことを祈っている。




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この記事へのコメント

  • 泣き虫ウンモ

    スチュワードシップを盾にして、自分達の都合のいいように考えて優越感を感じたいし、罪悪感を払拭したいのではないでしょうか。
    あるいは、過去を打ち消したいし、外国のせいにしたいのでしょう。
    これは、あくまでも米国の民主党の意向です。
    あの政党が続くようであれば、米国は持たないかな。
    2015年08月10日 15:21
  • とおる

    > 日本の文化や考え方も同じように尊重すべき。

    と考えるのは、日本が多神教ゆえ。
    一神教の悪い癖として、自分の方が「絶対的な正義」と思う所です。だから、他の国の考え方を尊重しない所があります。
    いかに自由・平等を唱えても、その実、相手には自由・平等を認めないという精神が存在します。
    国連安保理常任理事国の拒否権が、その最たる例。
    2015年08月10日 15:21
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > ケネディ大使の任期が「観光大使」で終わらないことを祈っている。

    米国の歴代駐日大使はそれなりの外交官であった.
    オバマ大統領がこの様な素人を選んだと言うことが
    彼の政治感覚を表している. オバマ大統領は今後
    最も危ない米国大統領と言われるようになるだろう.
    もっともらしい事は言っても問題を解決する
    実力は持たない. オバマ大統領が誕生した時から
    不安であったが, 現実はそれ以上に危ない.
    日本の民主党政権と米国のオバマ政権は良く
    似ているが, それ等を生み出した背景と資本が
    同じだからであろう.
    2015年08月10日 15:21
  • kiri

    クローズアップ見ましたけど正直上辺だけで
    重要なことは何も語っていなかった印象。
    自国の利益と友好しかいってないんじゃないか?

    宗教的に動物に序列をつけるのは知ってたけど
    スチュワードシップと呼ぶのは知りませんでした。勉強になります。
    2015年08月10日 15:21

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