緊迫するウクライナの支配と分裂

 
今日は、この話題ですけれども、極々々簡単に…

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もうすでに色んなところで話題になっているけれど、ウクライナが緊迫している。ロシアのプーチン大統領は、3月1日、ロシア議会の臨時会議を招集し、親ロシア政権が崩壊したウクライナで軍事行動を展開するため、ロシア軍の投入を承認するように求めた。議会は数時間のうちに上院・下院ともに全会一致でこれを承認。

ロシア軍は、ウクライナ南端のクリミア半島に部隊を展開し、事実上支配下に置いている。

昨今のウクライナ情勢については、いろんなところでまとめ記事ができているから、そちらを見て頂ければよいと思うけれど、2010年の大統領選挙によって発足した親ロシア派のヤヌコビッチ政権が親EU派による政変で倒れ、親EU派の暫定政権が立ち上がっている。まぁ、ひらたくいえばクーデター。

ウクライナでは、去年の11月頃から、首都キエフで親EU派のデモが始まっていたのだけれど、デモ隊は武器庫から弾薬を盗んだり、火炎瓶を投げるなど反政府活動は過激化、テロ活動に発展していっていた。

2月21日、ヤヌコビッチ大統領は、デモ隊と警察の衝突で数十人の死者が出たことを受け、事態収拾に向け、野党勢力に対し、大統領の権限縮小や大統領選挙の年内実施といった内容を盛り込んだ合意文書を作成。署名している。

だけど、デモ隊はこれに満足せず、22日に大統領の即時解任とキエフ中心部からの警官隊の撤収を求めていた。

そして、ついに、22日、ヤヌコビッチ大統領は数人の側近と首都キエフを脱出。ロシアに保護を求め、事実上亡命した。これに対し、ウクライナ国会は、同日ヤヌコビッチ大統領を解任。大統領の代理を務める国会議長に、野党第1党「連合野党・祖国」幹部のトゥルチノフ議員を選出している。

欧州の各国当局はウクライナ国会の決定に対して、直ちに支持を表明しているけれど、これは、デモによって大統領を追放して成立した革命政権を認めたことになる。ヤヌコビッチ大統領が自ら辞任を表明したあとで、ウクライナ国会が大統領の代理を選出するならまだ分かるけれど、それがない暫定政権を認めても、その正当性は疑われる。

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デモ隊も、ヤヌコビッチ大統領がその権限の縮小や大統領選挙の年内実施を約束した合意文書を作っているのだから、その時点で成功とし、引き下がるべきだったと思う。そうしていれば、今のようなロシアの軍事介入を招くことはなかっただろう。

民衆が強気なのは、おそらく10年ほど前の「オレンジ革命」の成功体験がそうさせているのではないかと思う。「オレンジ革命」とは、2004年のウクライナ大統領選挙で、親欧米派のビクトル・ユーシェンコ氏が当選した一連の出来事をいう。

2004年のウクライナ大統領選挙は、親露派のビクトル・ヤヌコビッチ首相と親欧米派のビクトル・ユーシェンコ氏との争いだったのだけど、11月21日の決選投票ではヤヌコビッチの得票率がわずかに上回り、当選と公表された。

だけど、これを不服とするユーシェンコ支持者が不正を理由に大規模な抗議運動を行った結果、最高会議、最高裁判所はやり直しの決選投票を指令した。12月26日の決選投票ではユーシェンコ氏が大統領に当選したという出来事。

このとき、デモによって、最高裁判所がやり直しの決選投票を指令したことが過去の「成功体験」として記憶に残り、それが今度のデモに頭をもたげたのではないか。つまり、民衆が、デモ、或いは力の誇示をすることで、何でも自分の想いのままになる、と思ったが故にヤヌコビッチ大統領の年内の大統領選挙という約束に不満を覚え、即時解任を要求したのではないか。

ただ、こちらにウクライナ人がウクライナ情勢を語った記事があるのだけれど、これによると、ウクライナの人々はヤヌコビッチ氏が、その立場を利用して私腹を肥やしていることを皆がよく知っていたことが、デモの切っ掛けであり、拡大理由でもあるという。

だけど、いずれにせよ、正当性を持たない政権、民主的手続きを得ずに成立した政権は、やがて、同じような民主的手続きを得ない、正当性を持たない勢力の逆襲を受ける危険が付きまとう。なぜなら、自分自身がその前例になってしまっているから。

気に入らないからその政権を力づくで倒す、というのがまかり通るのなら、正反対の考えを持つ勢力が同じ国に存在する限り、延々と"クーデター"が交代交代で起こることになる。それが嫌ならば、同じ考えの者同士で"分裂"するか、法に従うという法治の原理を徹底するしかない。

だけど、人の考えって、他人事に違うのが当たり前。だから極端なことを言えば、前者をとことんまで突き詰めてしまうと、国は個人単位にまで分解してしまう。これでは国は成り立たない。

それに対して後者は、たとえ、今の政権に不満を抱く勢力があったとしても、次の選挙まで我慢すればいいと彼等が"法治"に従う限り、国が分裂することはない。

一見、ちょっとした違いなのだけれど、民主国家が"国家"であり続けるためには、法の支配が確立している必要がある。もし、ウクライナが、これからも、力づくでの政権打倒を肯定し続けるのであれば、その先には国家分裂が待っている。




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この記事へのコメント

  • 泣き虫ウンモ

    大々的な戦争に発展するかもしれないというのは、露は十分に理解していると思います。
    そうなれば、背後を中国に狙われる可能性もありますし速やかに収めたいところでしょう。
    EUは米国次第でしょうね。露ですから。
    その米国がやる気がないので、EUも動きづらいでしょうね。
    2015年08月10日 15:21
  • opera

    昨今のウクライナ情勢は、予備知識も乏しく視点も定まらないので、非常に分かりにくい問題です。民族問題や歴史的背景に立ち入るとほとんど理解不能になるので、最低限、近年の米露関係のアウトラインを眺めると、ネオコン主導で、テロとの戦争およびアメリカの一極覇権を追求したブッシュ政権時代に、ロシアの裏庭である(ウクライナを含む)旧ソ連地域に散々手を出していたアメリカが、オバマ政権になって「ロシアリセット」政策を打ち出して関係改善を図るもうまくいかず、もともと反露意識が強い旧ソ連各国からはアメリカの裏切りの声が上がっていて、何らかの対応に迫られていた、となるでしょうか。

     以下、極最近の動きについて、某掲示板のコビペを編集して記載すると、
    ・欧米諸外国が開会式欠席を表明(アメリカはウクライナとソチに面する黒海にオリンピックテロ防止の為、軍用艦を置く事を明言)
    ・中国、日本が開会式出席を表明
    ・開会式前ロシア・中国とのトップ会議で尖閣を支持してくれたら北方領土を支持すると言われるも、日本とロシアで北方領土は協議中で二カ国間の問題と提案を断る
    ・ソチオリンピック開会式後、日本・ロシアと昼食会(首脳
    2015年08月10日 15:21
  • sdi

    あくまでも報道やネットでの外信の翻訳etcを見ての感想ですが、すばやいロシアのクリミア半島制圧行動にEUもウクライナ反露派も覇気を失ったか?、という感があります。ほぼ完全な奇襲を食らって戦意を大幅に削がれてしまったのではないでしょうか?特に、EUはロシアの出方を読み違えてしまったため勝目が乏しいから足抜けしたい、というのが本音ではないですかね。ドイツは介入に反対、フランスは「商売は今回の事件と関係ありません」ですからね。
    2015年08月10日 15:21
  • almanos

    NHKBSでの海外のニュースを見てみると、ロシア側のと欧州側とでは見事に見解が違います。欧州とロシアによるウクライナ争奪戦という面もあるみたいです。で、プーチン政権としては「クリミア半島の喪失」は断固避けるべき事態ですからまず引かないでしょう。対して、欧州に軍を出す気があるか? 無いと思います。経済的な脅しをかけても安全保障というかセキュリティ過剰な国柄のロシアには、国民のコンセンサスを得ながら自国領を守る為という大義名分の元持ち堪えるでしょうから。クリミアがロシアに帰属した辺りでプーチン政権としてはウクライナ東部と南部は支援するが、西武は無視という線で行くでしょう。で、混乱でクーデターを起こした欧州派の基盤である西部が消耗して根を上げるまで待つでしょうねぇ。冬将軍を待って反撃したみたいに。ウクライナ争奪戦はロシアの勝ちで終わると思います。どうしてもそれがイヤなら欧州が軍を出すしか無い。ただし、それをやれば大惨事世界大戦にまっしぐらとなるリスクが非常に高い。それを許容できるか? そこで分かれると思います。
    2015年08月10日 15:21

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