本命は寿司会談の中にある

 
今日は、この話題になりますけれども、極々簡単に…

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4月24日、安倍総理は、前日に来日したアメリカのオバマ大統領と、元赤坂の迎賓館で会談した。

細かい会談内容はこれから出てくるのだろうけれど、その骨子は次のとおり。
 一、アジア太平洋の平和と繁栄に貢献する同盟の主導的役割を強調
 一、米大統領は尖閣諸島が日米安全保障条約の適用対象になると明言
 一、米大統領は集団的自衛権の行使容認に向けた安倍政権の取り組みを支持
 一、環太平洋連携協定(TPP)の日米閣僚協議を継続
 一、力による一方的な現状変更の試みに反対
 一、北朝鮮の核・ミサイル開発に日米で連携して対処
 一、米軍普天間飛行場の移設含む在日米軍再編を着実に進展
ここで注目したいのは、やはり、尖閣が日米安保の適用対象になると明言したことと、集団的自衛権行使容認の支持だろうと思う。勿論、これには事前交渉で相当詰めていたからこそのものなのだろうけれど、安全保障の事項でここまで明確に言わせたのは一定の成果といっていいと思う。

最初に、日米同盟がアジア太平洋の平和と繁栄に貢献すると宣言するのはまぁ当然としても、その次に「尖閣が日米安保の適用対象になる」が来て、それに続いて集団的自衛権支持。今回の会談は、安全保障関連が優先的に議論されたと見ていいだろう。

この内容は、共同記者会見でもしっかりと述べられている。記者会見の要旨は次のとおり。
日米共同記者会見要旨

 〔TPP日米協議〕

 首相 日米間の懸案を解決すべく、甘利明TPP担当相とフロマン米通商代表部代表との間で精力的かつ真摯な交渉を継続することとした。共同声明の発表はその結果を見て適切に行う。

 大統領 包括的な合意に達することができると信じている。(日本の)農産品、自動車の市場開放度が制限されている。そういった問題は解決されなければならない。


 〔アジア太平洋〕

 首相 日本が掲げる積極的平和主義と米国の進めるアジア太平洋重視政策は共に地域の平和と安定に貢献するものだ。

 大統領 日本がさらに多くの世界の平和に貢献してくれることを歓迎する。


 〔ウクライナ情勢〕

 首相 力を背景とする現状変更は許されないことを改めて確認した。

 大統領 ロシアがジュネーブ合意の精神に反するなら追加制裁をすることになる。


 〔中国〕

 首相 法の支配に基づいて、自由で開かれたアジア太平洋地域を発展させ、中国を関与させていくため連携していくことで合意した。力による現状変更の動きに対しては明確に反対していくことで一致した。

 大統領 日本の施政下にある領土、尖閣諸島を含めて、日米安全保障条約の第5条の適用対象となる。中国は世界にとって重要な国だ。国際的な秩序と法を守る責任がある。


 〔北朝鮮〕

 首相 日米韓の連携が重要であることを確認した。拉致問題の解決に向けて引き続き理解と協力を要請し、大統領から支持を表明していただいた。

 大統領 日本国民の拉致問題に対しても対処していく。
記者会見でも、オバマ大統領は、中国に対して、アメリカは尖閣を守ると明言し、更に「国際的な秩序と法を守る責任がある」と釘を指している。これは裏を返せば、中国が国際秩序を見出し、法を守らない存在であるということであり、中国寄りと見られていたオバマ大統領にしてこの発言。その意味は決して軽くない。



先日、中国を訪れたヘーゲル国防長官が、アメリカは尖閣を守る義務があると発言したことに続いて、とうとう大統領までがそれを宣言した。中国は相当衝撃を受けているはず。

24日、中国外務省の秦剛報道局長は、「釣魚島を安保条約の対象に入れることに断固反対する。…領土主権と海洋権益を守るという中国の決心と意志は揺るがない。…日米安保条約は冷戦時代の産物だ。第三国に向けることは許されず、中国の領土主権を損ねるべきでもない」と速攻で反発している。

だけど、日米安保が"冷戦時代の産物"と言っている時点で、日米が離間して欲しいという本音が丸分かり。やはり日米安保の存在自体が中国に対する強力な牽制或は抑止力になっていることは間違いない。

ゆえに、日本は、短期的には、日米安保を堅持しつつ、独力で国を守れるような準備を粛々と進めていくべきだろう。

ただ、今回の会談要旨ではどちらかというと、日本側の要求が目立つ。尖閣、集団的自衛権、力による現状変更に反対、そして北朝鮮。7つの骨子のうち4つが日本の要求。対するアメリカ側の要求は、TPPがメインであとは普天間くらい。

アメリカにしてみれば、ウクライナ問題絡みやその他でも、日本に対してもっと沢山の要求があったのではないのか。それが会談では見えてきていない。

だとすると、そのアメリカの本音の部分は別の場所、非公式会談で語られたのではないか。

今回、オバマ大統領は、来日直後の夜、銀座の寿司店「すきやばし次郎」で安倍総理と会食を行っている。その時の様子は、色んなところで報道されているけれど、中には、オバマ大統領は、世間話をすることなく、すぐに日米交渉の話を始めただとか、オバマ大統領は、コースの半分くらいしか食べなかったとか、まことしやかに伝えている記事もある。

だけど、常識的に考えて、世界のトップ同士の非公式会談の内容が、ホイホイと外に漏れる訳がない。

先日、渋谷和久内閣官房審議官が、TPP日米交渉をめぐる事前報道で嘘を書かれたとして、マスコミ3社を名指しで批判していたけれど、日米首脳の非公式会談の内容が漏れようものなら、そんなもので済む筈がない。

だから、これは肝心なことは一切触れず、何となく、それと匂わせる程度の記事とみたほうがいいと思う。

ただ、敢えてヒントを探すとすれば、出された寿司をオバマ大統領が半分残し、安倍総理が完食した、という部分ではないかとみる。

例えば、寿司が、日米の交渉課題を暗喩したものだとしたら、完食した安倍総理は、ほぼ100%日本の要求をアメリカに飲ませ、逆にオバマ大統領はアメリカの要求を半分くらいしか日本に飲ませられなかったと解釈することだって出来る。

共同記者会見で安倍総理は、「すきやばし次郎」での会食について、日本とアメリカの課題、世界の課題について話し、日米双方の役割と日米同盟の今後の可能性について語ったと述べている。だから、もしかしたら、翌日に行われた公式の首脳会談より、「すきやばし次郎」で、もっとより踏み込んだ話し合いがなされたのかもしれない。

共同記者会見での安倍総理は、何度もオバマ大統領と目を合わせながら発言していた。その表情には陰りはなく、それなりに手応えがあったのではないかと筆者は受け止めた。

細かいことは、これから色々明らかになっていくだろうけれど、まずは、今回のオバマ大統領の来日は、日本に取って良かった、としておきたい。




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この記事へのコメント

  • TrueBlueAmy

    高度人材永住権3年で付与・家族家政婦帯同に大反対!署名です。
    ご協力・拡散大歓迎!
    http://goo.gl/6P7t7n

    プレスリリース
    http://mikoup.ebb.jp/src/file1524.pdf

    注: 私たちは「安倍降ろし」が目的ではなく、当然「安倍信者」でもなく、誰が首相であっても、良い政策(今回の首脳会談の成果含む)は評価し、悪いものは悪い、と申し上げる姿勢です。

    --
    「移民・多文化共生政策に反対する日本国民の会」 (愛称:桜の会)
    http://sakuranokaijapan.seesaa.net/
    2015年08月10日 15:20
  • almanos

    アメリカでは「暗殺する価値の無い大統領」などと散々な評価ですからね。多分、時間は日本側に会ってアメリカには無い。それを痛感したんでは無いかと。オバマ大統領は悪くすると自分が「アメリカ合衆国最後の大統領」となりかねないリスクを感じているんでしょうが。でも、そうなってしまった場合の混乱は分裂したアメリカも地獄にたたき込みかねない。そこら辺も含めて日本側要求を丸呑みで、あわよくば「SLBMのレンタルでの核武装」で日本は核の抑止力を、アメリカはSLBMシステムの維持をという取引が為されたのかもしれません。理由は北京か平壌が作ってくれそうですしねぇ。
    2015年08月10日 15:20
  • a

    >例えば、寿司が、日米の交渉課題を暗喩したものだとしたら、完食した安倍総理は、ほぼ100%日本の要求をアメリカに飲ませ、逆にオバマ大統領はアメリカの要求を半分くらいしか日本に飲ませられなかったと解釈することだって出来る。

    年次改革要望書を復活させる人間が、一体何を要求できるでしょうか。
    ただひたすら媚びて貢ぐ”アメポチ”人間なのは明らかです。
    このようなことはあり得ません。
    2015年08月10日 15:20
  • sdi

    >出された寿司をオバマ大統領が半分残し、安倍総理が完食した、
    バラク・フセイン・オバマ大統領「心ここにあらず」というところではないでしょうか?
    私は、オバマ大統領のことを「北米大陸の外のことに関心がない」とコメントしましたが、同時に「アメリカ分裂」という危機についてひしひしと実感しているのではないでしょうか。先日のクローズアップ現代でとりあげられた「富豪層の富豪層による富豪層のための自治体」は、彼らが貧困層に対して同じアメリカ国民としての連帯感を喪失した上に同じ社会共同体の一員だと考えなくなったことの証しです。
    日本でも「○○は社会の負債だ」と叫ぶ人がいますがね。
    リンカーン大統領の時にアメリカ合衆国は地理上の南北に分裂しましたが、オバマ大統領は所得差による南北分裂を危惧しているのではないでしょうか?そして、それを回避する手段として「オバマケア」を推進しているのではないでしょうか?「聞き訳の無いアジア諸国なんて訪問している余裕なんて無いんだ」というのが大統領の心の叫びかもしれません。
    2015年08月10日 15:20

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