今日は、この話題を極々極簡単に…

3月7日、みんなの党の渡辺喜美代表は緊急記者会見を行い、化粧品大手DHCの吉田嘉明会長から計8億円を借りた問題で、「党の支持者や議員、関係者に迷惑をかけた」として代表の辞任を表明した。
渡辺氏の声明は、こちらで公開されているけれど、借入れしたお金は個人的なもので、返済していない5億5千万円を、この日完済したことを含め、「違法な点はない」と述べている。
借入金の使途については、「党への選挙関係費用や政策策定や党勢拡大に資するために情報収集・意見交換等のための費用として使った」としているのだけれど、DHC会長の吉田氏が、選挙のための資金として借り入れを頼まれたと公言している点については、「メールの記録を残しておりませんので確認ができないのですが、借入れが選挙の前であることからすれば選挙のお話がでたとしても不思議ではないと思います」と、なんとも奥歯にものが挟まったような言い方をしている。
つまり、渡辺氏は、「記録を取っていないから、選挙のための資金の依頼だったかどうか確認できないけれども、お願いしたのが選挙前だからそういう話がでても不思議じゃない。だけど、政治家がポケットマネーを使っての政治活動は、収支報告書の制度がなく、違法じゃない」とまぁ、こんな言い訳をしている。
だけど、本人が確認できないのに、それを前提として違法じゃないなんてのは、単なる主張であって、説明ではない。言い訳にしても苦しすぎる。本当に違法でないことを証明するのなら、選挙のための資金提供依頼ではないことをきちんと示す必要がある。
ただ、既に借入金は全て返済して、貸し借りの関係は終わっている。だから、道義上は別として、何に使ったのかを公表しろと渡辺氏に詰め寄れる人は居なくなった。
DHC会長の吉田氏自身が「貸金の全額が返済されたということで、これで少なくとも詐欺事件は成立しなくなったということです。お金を返してもらったからには、本人が何に使っていようと、貸した者にとっては何の関係もありません」とコメントしている。まぁ、吉田会長のコメントを読む限りでは、渡辺氏の説明には全然納得いっていないように見えるけれども…。
元はといえば、この問題は、DHCの吉田会長が手記によって明らかにしたことから始まっている。
手記によると、2009年2月に、知人の紹介で渡辺氏と知り合った吉田会長は、その後、みんなの党の立ち上げを考えた渡辺氏から、資金不足の悩みを打ち明けられ、地元・栃木の土地を買うよう依頼された。日頃から、規制緩和が進まない現状に不満を感じていた吉田会長は、行革に力を入れていた渡辺氏に期待し、その土地を購入した。
そして、2010年7月の参院選直前に「参院選のための資金」として3億円を借り入れたいと申し知れがあり、これを快諾。更に2012年の衆院選では、選挙資金として5億円の依頼があり、これにも応じていた。
ところが、2012年の借入れあたりから渡辺氏からの返済が滞るようになり、更に、結いの党とのトラブルが重なり、吉田会長は、次第に渡辺氏に不満を募らせていったという。
この辺りについて吉田会長は「そもそも三つある予算委のポストを、みんなの党が、頑として一つも手放さないということから、結いの党の議員がテレビでの発言権を一切封じられ、困り果てているということを知り、義侠(ぎきょう)心から手記を発表したものです。…元々お金を返してもらいたくて手記を書いたわけでも何でもないのに、こういう形になってしまい、あの手記発表は何だったのかと、自問しているところです」と述べている。
みんなの党は、党名こそ「みんな」がついているけれど、実際は、渡辺氏のワンマンで、影では「よしみの党」とか「あんたの党」とか言われていた。今回の問題にしても、結いの党との分裂が無ければ、表面化しなかったと思われるし、吉田会長のコメントを見る限り、予算委のポストをひとつでも結いの党に渡していれば、吉田会長による告発もなかった可能性がある。
それを考えると、今回の渡辺氏の辞任は、氏のワンマンにその原因があるといえなくもない。辞任会見で渡辺氏は「政界再編に備えた軍資金だった。ここまで騒ぎになり、もう諦めるしかない」と述べているところをみると、遠からず、政界再編があると見ていたのだろうと思われる。
だけど、ワンマン政党が、ワンマンを失うと、急激にその求心力を失う。むしろ、ワンマン代表と対立して飛び出した結いの党のほうが求心力を持ってくるかもしれない。
当然他党も、みんなの党所属議員を自分の党に取り込もうとアプローチを掛けてくるだろう。みんなの党が他党の「草刈り場」となる可能性も否定できない。
渡辺氏のワンマンによって立ち上げ、育てた"あんたの"党は、"あんたのワンマン"によって解党の危機に晒されている。
この記事へのコメント
とおる
舛添東京都知事の資金についても選挙前から話題にのっていたのに、マスコミが沈黙なのは、不思議です。
opera
理系の博士論文が認められる場合(私が知っているのは医学博士論文についてだけですが)、海外の専門雑誌に英文の論文を掲載することを条件とする場合があります。ところが、研究者自身は、専門用語を駆使した英語の論文が書けるほどの英語力が無いことが多く、その場合、結構な金額で専門の翻訳業者に委託することがありますが、その代表格がDHCですね。
ところで、STAP細胞関連騒動の小保方晴子氏がネイチャー等に提出した英文の論文について、TV等では散々他の論文からの盗用疑惑を報道していましたが、あの英語の論文(原本の日本語の論文は別)は、小保方氏本人が書いたものでしょうか? 翻訳業者に委託した? 受けたのはDHC? なぜ今、DHCの吉田会長が手記でみんなの党との借金問題を暴露? ・・・などと、陰謀論的な連想が次々と浮かんできてしまいましたw
ちび・むぎ・みみ・はな
本気で言っているのだとすれば,
事前に幾らでも渡辺氏に圧力をかけられた筈.
こんな感じで商売をやっているのか.
いずれにしても, 気が着けば
公明党の発言力はいや増すばかりだ.
本当に知識と気概とパワーを持ち
米国から独立した政治家に登場して欲しい.
泣き虫ウンモ
この10倍や、100倍ぐらいで騒いで欲しいかなと。
貧乏臭すぎますね。
本当にこんまいね。
almanos