今日も極々々簡単に…

4月1日から消費税が5%から8%へと上がった。
先月末には、5%のうちにと買い溜めに走る人で溢れ、定期券の販売所には長い行列が続いた。筆者の身の回りでも、値の張る買い物は5%のうちに、といった声がちらほら聞こえていた。
やはり心理的な影響は相当なもの。
高島屋は、先月、5千円以上の買い物をした客に、4月中に1万円以上の買い物をする際に使える千円分のクーポンを配るなど、各種業界も買い控え対策を打ち出している。
店によっては、増税分を価格転嫁するところや、しないところ、中には逆に値下げに打って出るところもある。
面白いのは牛丼屋の「すき家」と「吉野家」。これまで「すき家」と「吉野家」の牛丼並盛はそれぞれ280円だけれど、4月1日から「すき家」は10円値下げして270円、「吉野家」は20円値上げして300円になる。
「すき家」の値下げ戦略と、「吉野家」の価格転嫁路線、どちらが勝利するのか。イギリスのフィナンシャル・タイムズは、これをアベノミクスに対する「牛丼テスト」と呼び、これからの数か月で結果が分かる、としている。
消費税増税は、1989年の初導入時と合わせて今回で3回目となるのだけれど、過去の2回は好景気、不景気それぞれの中で実施された。
消費税3%が導入された1989年といえば、バブル破裂直前の超好景気。増税前の駆け込み需要も発生したのだけれど、"半端ない"駆け込み需要だったらしく、量販小売店でも商品は飛ぶように売れ、スーパーは軒並み最高売上を計上。宅配運送会社の出荷トラックがなくなる騒ぎまでだったという。
次に示すのは、当時の大型小売店販売額の推移だけれど、好景気の増税と不景気の増税とでは、その結果が全然違うことがはっきりと表れている。
このグラフでは、消費税が導入された後の平成元年第2四半期は、消費の減少が発生。前年同期比が10%近くの落ち込みを見せたけれど、バブル景気で、土地や株が値上がりしていたことが消費を後押しし、第3四半期には、前年同期比で+7.7%と急回復。その後3四半期伸びを続けた。
これに対して、前回1997年の5%増税のときは、デフレ真っ只中。導入直後の平成9年第2四半期は、1989年の同時期と動揺、前年同期比で10%近く落ち込みマイナスへ。次の第3四半期になってもプラスに転ずることなく、それから3年半に渡って、前年同期比はマイナスのまま推移している。
5%増税時は、直前の駆け込み需要もあったのだけれど、前回89年程の盛り上がりはなく、量販店小売業の中には、我慢しきれず利益を下げてでも増税前にセールをうったところも多かった。けれども、増税後に大手量販店が消費税還元セールを始めた影響で、増税前セールを止めるわけにもいかず、さらに景気が悪化することになったと言われている。
この傾向は、当時の日銀短観(新潟支店)にも表れていて、3%導入時は、導入後も業況判断は左程落ち込んでいないのに対して、5%増税時にはがくっと落ち込んでいる。
これらを見る限り、少なくとも、不景気の増税は鬼門であることははっきりしてる。
今回の短観の動きは、89年ではなく、97年のに近い動きをしている。今回、それに倣うのならば、景気は大きく失速して永らく回復しないことになる。ただ、「牛丼テスト」ではないけれど、小売店は、値下げセール一辺倒になってはいないところは前回とは異なっている。
仮に89年のように低迷しなかったとしても、やはりデフレから脱却して、好景気にまでもっていかないと、来年末の10%増税など自殺行為になると思われる。
果たして今回はどうなるか。
この記事へのコメント
深月
2014年(8%)の間に経済政策を何とか成功させられるのか、ちゃんと経済が回るのか、流石に心配になって来ますが、決まったものはどうしようもないですね…
気になるのは、消費税10%になる時に、「軽減税率」なるルールが導入される見込み…という話が聞かれる事です。
一部では「財務省の天下り先の確保」などの陰謀論もささやかれていて、尚更気になるところですね(天下りしたところは、軽減税率の適用が確実になり、市場で有利なポジションを取れるとか、どうとか…)。
いずれにしても、負担と利益のバランスや、公平感があるかどうかが、やはり重要なのかなと言う風に思います
泣き虫ウンモ
自ら、落としたのです。
外需(世界の経済が良くない)ではなく、内需だというのは理解できないはずはないので、消費税増税に賛成した方々は反省を要求されるでしょうね。
55
それなら欧州危機だっておさまらず、新興国はいまいち調子が出ない
アメリカの財政の崖だってまた来るわけで
アジア通貨危機なんかより怖いものがまだくすぶってるのではないでしょうか
あと根本的な問題として日本の経済モデルがIMF型の経済モデルを採用してることですかあれ見直さない限り増税もデフレを促進しかねない政策も止まらない
ちび・むぎ・みみ・はな
安倍政権は第二の第二次橋本政権になるだろう.
経済の動きは原則(主義ではなく)に忠実である.
それにしても, 研究捕鯨の禁止,
米国に迎合しているうちに日本の立場は
どんどん悪くなるだろう.
そろそろ米国に頼っても駄目だということを
日本国民は悟るべきだろう.
皇室が健在なら, 国民が自立すれば
日本はどんな危機にも耐えられる.
現状では無理だろうが.