危険な中国産鶏肉
今日はこの話題です。
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7月20日、中国で、使用期限を過ぎた食品を加工しなおしたり、表示を書き換えたりして、チキンナゲットやハンバーガー用のパテとして販売しているとのテレビ報道があった。
これは、上海にある食品加工会社「上海福喜食品」からの内部告発で明らかになったもので、告発した従業員は、使用期限が過ぎた肉のデータを改竄し、「改竄した報告書を当局に見せて実態を隠していた」と話している。
報道された工場内部の映像では、作業中の従業員が「肉が腐っていて悪臭がしている」と話す様子や、別の作業員が「使用期限が切れているが食べても死にはしない」などと話す様子、更には、従業員が地面に落ちた肉を処分せず生産ラインに戻して製品として出荷しようとする様子も放送されたようだ。
何でも、使用期限が7か月余り過ぎた食材も含まれていたらしく、日本では考えられない杜撰を通り越した衛生管理だといえる。問題は、この上海福喜食品の加工食肉が、中国国内の複数の大手ファストフードチェーンに供給されるのみならず、海外にも多数出荷されていたこと。
無論、日本国内の外食チェーン店も対応に追われている。
7月22日、日本マクドナルドは、この「上海福喜食品公司」から仕入れた鶏肉を使ったメニュー「チキンマックナゲット」の販売を21日に停止し、国内で販売するチキンナゲットのうち、約2割を賄っていた「上海福喜食品公司」への鶏肉発注を中止した。
日本ケンタッキー・フライド・チキンは「鶏肉のほとんどは国内産で、今回の件の影響はない」とし、スターバックスコーヒージャパンも「上海福喜との取引はなく、同社の鶏肉も使用していない」としている。
ただ、香港・東網によると問題の食肉は、吉野家やバーガーキング、ピザハット、セブン・イレブン、またサンドイッチのサブウェイや家具店イケアにも供給していたとみられることから、影響の拡大が懸念される。
中国産の危ない食品については、去年の5月に「『速成鶏』と腐らないハンバーガー」で取り上げたことがあるけれど、その時問題となったのは、河南大用食品の鶏肉で、国内各社もそこから輸入はしておらず、問題ないとしていた。
だけど、今回のは、マクドナルドがチキンナゲットの2割を輸入していたことが明らかになっている。他社でも使っていないという保証はない。
これも、上海福喜食品公司が、アメリカ食品卸売大手のOSIグループ傘下にあることも少なからず影響しているように思われる。
OSIとは、Otto & Sons Industries (オットー・アンド・サンズ・インダストリー) の略称。その前進は1909年にまで遡る。1909年、オットー・コルショウスキーはシカゴにミートマーケットを開設した。
その後、1955年になって、アメリカのマクドナルドの創始者であるレイ・クロックが、シカゴ郊外の町、デスプレーンズにマクドナルドの一号店を開店したのだけれど、その第1号サプライヤーとして牛肉を納入したのが、オットー・コルショウスキーだった。
オットー・コルショウスキーの店は、マクドナルドの成長とともに急拡大、田舎の小さな工場から世界的な大企業へと変貌する。
今では、アメリカに12ヶ所 、ヨーロッパに17ヶ所、アジア・パシフィックに17ヶ所の計46もの生産拠点と事務所を所有し、従業員は9200人を数える。
OSIの工場は、ISO2001/2000及び、HACCPの認証を受け、厳格に衛生管理されていることになっている。
HACCP(ハセップ/ハサップ)とは、1960年代にアメリカで宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の方式で、原料の入荷から製造・出荷までの全ての工程において、危害を予測し、それをを防止(予防、消滅、許容レベルまでの減少)するために、重要管理点(CCP)を特定し、そのポイントを継続的にモニタリングする。これにより、異常を即検知して対策することが可能となり、その結果、不良製品の出荷を未然に防ぐことができるシステムとされる。
この方式は国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)の合同機関である食品規格(Codex)委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国際的に認められた方法となっている。
恐らく、OSI傘下の「上海福喜食品」もこのHACCP方式による管理が行われていたと思われるのだけれど、それで、今回の問題を起こした。どんなに優れた管理方式とて、実施する側の人がそれを守らないのでは全く意味がない。
上海市食品薬品監督管理局の声明によると、当局は20日に「上海福喜食品」工場を閉鎖し、期限切れ食肉を使ったとみられる製品を押収、警察の捜査結果によっては「厳罰」が下ることになると見られているけれど、「厳罰」云々に関わらず、上海福喜食品の従業員が今回の事件を痛切に反省し、二度と起こさないよう努められるかどうかがポイント。もしも、単に運が悪かっただけなんて、思っていたとしたら、似たようなことはまた再び繰り返される。
今回の事件は、偶々内部告発があったから発覚したのだけれど、そうでなければ、中毒事件でも起こらない限り、公にならなかった可能性もある。
「賞味期限を信じられるのは稀有なこと」のエントリーでも述べたけれど、食品期限は、製造・流通・販売・保存と全てのプロセスがきちんと管理され、円滑に進んでいるという高度なインフラに下支えされて初めて成立するもの。どれか一つでも欠けただけで簡単に崩壊する。
今回の事件で、OSIそのものの信頼性にも傷がついてしまった。アメリカも中国リスクに直面しているのかもしれない。
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