ウクライナでのマレーシア航空機撃墜について
今日は、この話題ですけれども、極々簡単に…
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7月17日、ウクライナ東部のドネツク州のロシア国境近くのグラボベの村で、マレーシア航空のボーイング777型旅客機(MH17便)が墜落し、乗客乗員298人全員が死亡した。亡くなられた方のご冥福を祈ります。。
ウクライナ内務省筋は、親ロシア派武装勢力が持つ地対空ミサイル「BUK」で撃墜されたとの見方を示す一方、親ロシア分離独立派の「ドネツク人民共和国」の指導者は関与を否定、ウクライナ空軍のジェット戦闘機が撃墜したと述べている。
地対空ミサイル「BUK(ブーク)」とはソ連で開発された中・低高度防空ミサイル・システムで、NATOのコードネームは、"SA-11 ガドフライ(Gadfly)"。射程は3000~32000m、射高は、25~22000m。
「BUK」は、ミサイル本体と自走発射機とで構成される。「BUK」は、ジェット機、ヘリコプターのような機動力に富む航空機、巡航ミサイルを迎撃するために設計されたミサイルで、中高度・中射程のセミアクティブ・レーダー誘導によって目標を破壊する。
今回の墜落について、ロシアのプーチン大統領はロシアの関与を繰り返し否定し、東部の2地区で分離主義者と正規軍が戦う状況を作ったウクライナ政府に責任があると主張している。一方、ウクライナのポロシェンコ大統領は「テロ攻撃だ」とし、親ロシア派武装勢力に撃墜されたとの見方を示している。
そして、ドネツク共和国のアンドレイ・プルギン第一副首相は、民間武装組織が旅客機の墜落に関わることをこれまた否認。その理由として「彼らの対空兵器の射高は4000mに過ぎず、旅客機の飛行高度を遥かに下回っているからだ」と述べている。だけど、ロシアのメディアは、親ロシア派が「BUK」を少なくとも1発は取得していると伝えている。
事実、ドネツク共和国自身は「BUK」を保有していて、ドネツク共和国の公式ツイッターで、それを公表している。だから、ドネツク共和国の「BUK」の一部が武装勢力に流れてしまうと、プルギン第一副首相の説明は成立しなくなる。
現在、ドネツク州では、親ロシア武装勢力によってウクライナ軍機がしばしば撃墜されている。武装勢力は今月14日に、ウクライナ軍のアントノフAn26型輸送機を撃墜したと発表し、ウクライナ当局も、輸送機撃墜と、16日にスホーイSu25型戦闘機が撃墜されたと認めている。だから、武装勢力が「BUK」を持っても、これを使わない保証なんて何処にもない。
このように、ウクライナ上空は結構危なく、多くの民間航空機はウクライナを迂回して運行しているのだけれど、それでも、一部の民間機はウクライナ上空を通過している。
航空機レーダー追跡サイトによると、MH17便が撃墜されてから10分以内にも、他に民間の国際線2機(シンガポール航空351便と、エアインディア113便)が通過していた。ウクライナ当局は自国上空32000フィート未満の高度での飛行を制限していたのだけれど、欧州航空航法安全機構によると、MH17便は30000フィートで飛行していたようだ。(33000フィートで飛行していたとの報道もある)
従って、今回のMH17便は、親ロシア武装勢力がウクライナ軍機と誤認して撃ち落とした可能性も考えられなくもない。実際、墜落したとみられる時間(グリニッジ標準時13:20)直後の13:37GMTに、親ロシア武装勢力の一派がAh26を撃墜したとツイッターで公開していたようだ。
素人目には、プロペラ機のAh26とジェット機のボーイング777を見間違えることなんてあるのか、という気がしないでもないけれど、14日に輸送機が撃墜されたウクライナ軍にしてみても、撃墜される恐れのある低高度をのこのこと飛行することも考えにくいから、ある程度の高度を取って飛行しているのではないかと思う。
それを考えると、高度3万フィート以上を飛ぶ航空機をきちんと識別して撃墜するなんて芸当は、きちんとした訓練を受けた正規の軍隊でないと中々できないものではないかと思われるし、そもそも民間武装勢力が「BUK」を運用・発射できるのか、という疑問も残る。
17日、ウクライナのナリワイチェンコ保安庁長官は記者会見を開き、MH17便は撃墜されたと主張。その根拠として、親ロシア派の武装集団の1人がロシア軍の情報将校に電話で報告している会話を傍受したと発表している。
公表された音声では武装集団の1人とされる男が、「さきほど飛行機を撃墜した。撃った飛行機を探したり、写真を撮ったりした。煙が出ている。…飛行機はウクライナの戦闘機だったかもしれないが、飛行機にはマレーシア航空と書いてあるらしい」とロシア軍の情報将校とされる人物に報告している様子が録音されている。
調査が進めば、もう少し状況が分かってくると思われるけれど、これでより一層ウクライナと親ロシア派の対立が激化することは間違いない。
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