APECの下準備を始めた中国
今日はこの話題を簡単に…
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7月14日、アメリカのシンクタンクのピュー研究所が今年4月にアメリカとアジア11ヶ国で行った世論調査を発表した。
調査内容は、「安倍首相は世界情勢の中で正しいことをしているか」というものなのだけれど、アジアの多くの国で安倍総理が支持されていることが分かった。
調査によると、最も支持が高かったのが、ベトナムの65%を筆頭に、日本58%、マレーシア57%、バングラデシュ56%、フィリピン55%、タイ53%、アメリカ49%、インドネシア46%と、軒並み半数以上またはそれに迫る支持が集まった。そして、不支持が多かったのは、中国70%、韓国94%と、中韓両国だけであることも明らかになった。
これまで中韓が、一生懸命、日本は世界から孤立する、と宣伝していたにも関わらず、孤立していたのは中韓の方だったということ。
また、ピュー研究所は、中国の習近平国家主席についても「国際情勢の下で正しい行動をしているか」という調査を今年3月から6月にかけて、世界44ヶ国の約49000人を対象に行っている。
その結果はというと、日本で87%、アメリカ58%、ドイツ、フランス、イタリアなどで60%以上が「そうではない」と否定的な回答をし、フィリピン、ベトナム、インドでも否定的な回答が多かった。
一方、肯定的な回答は、中国92%、韓国57%の両国と、アフリカ諸国で肯定的評価が目立ったそうだ。ピュー研究所は「全体として習主席の評価は否定が肯定を上回った」と指摘しているけれど、アジアに限定してみた場合、おそらく否定的評価が肯定的評価を上回るものと思われる。つまり、アジアにおいては、中国より日本が高い評価を受けているということ。
ここにきて、流石に、中韓両国もその事実を認めざるを得なくなっているようだ。
7月15日、香港メディアの中国評論通信社は、韓国外国語大学国際関係学部の黄載皓教授に対して取材を行ったことを紹介している。取材で黄教授は、2010年に中国の経済規模が日本を超えて以来、「日本は国際舞台や外交上で軽視されることが多かったが、安倍氏が首相になってから他国は日本に明るさを見出した。…欧州や東南アジアでは"歴史問題"がないため、日本はとても歓迎されている。…歴史問題を気にしているのは中国と韓国だけであり、中韓の人びとは"多くの国が日本をないがしろにしている"と思っているが、実は、そう思っているのはわれわれだけだ。…韓国の外交には態度が鮮明すぎるという問題がある。…韓国の反日的態度が鮮明すぎたため、日本は韓国を"完全に捨てた"」との見方を示している。
こういう国際情勢を背景として、今年の秋に北京でAPEC首脳会議が行われる。
だけど、間がいいのか悪いのか、今年のAPECの議長国は中国になっている。中国がAPECの議長国になるのは、実に13年振り。サッカーワールドカップをみれば分かるように、世界的大会を自国開催するのは名誉でもあり、世界に自国をアピールする絶好の機会。ここを上手く仕切れるかどうかで、世間の見る目というか、信用が大きく変わる。
だから、中国が、いくら関係が悪いからといって、APECに日本を呼ばなかったり、日中首脳会談をやらなかったりすれば、中国は世界からの信用を失ってしまうことにも繋がってしまう危険がある
特に、アジア各国が日本を支持している情勢で、中国が日本を蔑ろにすれば、それはそのまま、アジア各国を蔑ろにすることであり、中国が、アジアの平和と安定を壊していることを自ら証明することにもなる。
だから、今年のAPECでは、中国に日本を呼ばない選択肢は殆どないし、日中首脳会談が出来ないことすら、中国の信用を傷つけることになる。議長国として失格の烙印を押されてしまう。
安倍総理は7月14日の衆院予算委員会で、日中首脳会談について「行えていないのは大変残念。11月のAPECの際に首脳会談を行いたい。…日中関係は最も大切な二国間関係の一つ。問題が起こったとしても、関係を維持していくことが戦略的互恵関係の原則だ。…私の対話のドアは常にオープン。中国にもぜひ同じ対応をとっていただきたい」と述べているけれど、水面下では、日中両政府間で調整が行われていると思われるし、恐らくその大部分は終わっているのではないかと思う。
先日、自民党の高村正彦副総裁は、熊本県立大理事長の五百旗頭真氏と対談し、5月の訪中時に中国要人と会談した際、「安倍晋三首相はもう靖国神社には行かないと思う」との見通しを伝えたことを明らかにしている。
高村氏は安倍総理が第1次内閣時に靖国参拝を見送ったのは「自分が我慢すれば日中関係が進展する」との判断だったとし、昨年末に参拝したのは「自分が我慢してもこんな状況ならば、参拝しようという気持ちがあった」としているけれど、この5月の話が7月になって公になるということは、穿った見方をすれば、"前提条件無しで、日中首脳会談を行うのなら、その後、安倍総理は靖国参拝しませんよ"という線で、日中双方で折り合いがついたということではないかと思う。
つまり、高村氏は、日中首脳会談実現後は靖国参拝しないとことについて、世論に対する観測気球を上げたのではないか、と。
そして、中国は南シナ海でのベトナムとの対立についても、事態収拾に動きだした。
中国の大手国有企業、中国海洋石油のグループ会社は、南シナ海のパラセル諸島付近で実施していた掘削活動を15日に完了したと発表。中国外務省の洪磊報道官も翌16日、「掘削作業を期日通りに終えた」とする談話を発表し、採取した地質資料を分析して今後の作業方針を決めることを明らかにしている。
当初、中国側は掘削活動を8月中旬まで継続する意向を示していたから、今回の前倒しの撤収は、自身が、アジア諸国から支持を受けていない現状を鑑み、前倒しで撤収したのではないかと思う。無論、これは、11月のAPECに向けての準備でもある。
あれ程、傲岸不遜で俺様ルールをゴリ押しする中国でさえ、現時点においては、世界各国からの批判が集まれば、後退せざるを得なくなる。これは、中国包囲網ないしは、集団的自衛権行使容認の有用性を証明していると言える。
11月のAPECまでに、中国がどこまで妥協してくるか。その言動に注目したい。
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