日銀の経済展望と未来の希望
今日は、諸般の都合で極極々簡単に…
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7月15日、日銀は金融政策決定会合で、量的・質的緩和(QQE)の継続を決めるとともに、今年4月に発表した、2016年度までの経済・物価見通しを記した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を点検し、14年度1.3%、15年度1.9%、16年度2.1%と、すべて据え置いた。
その一方、実質成長率見通しについては、14年度を輸出の回復遅れにより従来の1.1%から1.0%へと小幅下方修正したものの、15年度は1.5%、16年度は1.3%とほぼ、そのままで据え置いている。
まぁ、4月に発表した予測が、7月に大幅に変わるなんて事は、余程のことがないと有り得ない。だから、日銀が、現時点で、当初のシナリオ通りだといっても、別段不思議でもなんでもない。
日銀の黒田総裁は金融政策決定会合後の記者会見で、このところ、1%台半ばで推移している物価の先行きについて、原油などエネルギー価格上昇によって押し上げられた前年の反動で、今夏にいったん伸び率が縮小するとした上で、人手不足などに伴う賃金上昇圧力と「打ち消し合う」形で、1%台を維持すると述べている。
そして、秋以降は物価上昇のペースが「再び加速する」と指摘し、「来年度を中心とする期間に2%に達する可能性高い」と、インタゲ2%達成実現に自信を示している。
だけど、人手不足になるのは、その分、生産が伸びているということであり、それは内需が拡大していることを意味するのだけれど、「大きかった増税後の消費の落ち込み」のエントリーでも述べたように、今は、賃金上昇より物価上昇が上回っているのが現状。
この状態で内需が拡大する為には、消費者が貯蓄を取り崩すなり何なりして、消費を拡大しないと成立しない。まぁ、日本人が保有する金融資産総額は世界でもずば抜けているから、ある程度以上、貯蓄を吐き出す余裕はあるのかもしれないけれど、年配から若年まで全てが等しく余裕があるわけじゃない。だから、今の物価上昇が賃金上昇を上回る状態がずっと続くのであれば、内需の拡大もやがてどこかで限界が来てしまう。
ゆえに、筆者は、今の状態は長く続けさせてはいけないと考えている。賃金上昇以上に物価上昇が続くと、消費者の心はどんどん冷えていく。畢竟、生きるために、余計なものは買わなくなる。これはデフレスパイラルへの道。
それを押しとどめるものがあるとすれば、それは、将来良くなるという"見通し"。
「日常は安保が支えている」のエントリーでも述べたけれど、例えば、原発を再稼働して、各電力会社が来年度の電気代を下げる、とアナウンスしたら、それが「来年は家計が楽になる」という"見通し"となり、消費を後押しする。そうした「未来への希望」を政府は出さなくちゃいけない。
物価は上がる、消費税が10%になるというのは、希望とは反対の「未来の失望」。だから、それを打ち消すだけの「希望」を出せないと、消費マインドは冷える一方になる。
これまでは、「アベノミクス」という"期待"で消費が拡大していった面もあったように思うけれど、それも一巡し、4月の消費増税と相まって、その"期待"がそろそろと失せていきつつあるのではないかとも。
筆者には、世間に何処となく停滞感というか、行き詰まり感というか、そんな空気が漂いだしたようにも感じている。
いくつかのマスコミの世論調査で安倍政権の支持率が落ちているというのがあったように思うけれど、仮にそれが事実だとすると、それは、マスコミが煽り立てる集団的自衛権云々よりは、内政、特に、経済的な"停滞感"のほうが大きいのではないかと思う。
それを打ち破るのは「未来への希望」。消費増税10%を延期するとするだけでも、大分違うと思うのだけれど、果たして安倍総理は如何なる判断を下すのか。安倍政権は意外と今が正念場なのかもしれない。
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