日本人が敵を意識するとき

 
今日も、極簡単に…

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外遊中の安倍総理は、7月7日、ニュージーランドのキー首相、翌8日にオーストラリアのアボット首相と相次いで首脳会談を行い、集団的自衛権の行使を限定容認する憲法解釈変更についての説明を行った。

相手側の評判は上々。ニュージーランドのキー首相は日本の安全保障法制見直しの取り組みを称賛し、オーストラリアのアボット首相も強く支持。アボット首相は安倍総理からが直接、アボット政権の全閣僚に説明をする場を設けるなど別格の歓迎ぶり。アボット首相は、全閣僚との会合で「こうした会合に外国の首脳を招いたのは英国のブレア元首相以来だ」と賛辞を送っている。

これで、日本の集団的自衛権行使容認については、アメリカ、ドイツ、ニュージーランド、オーストラリア、ASEAN諸国と多くの国々からの賛同を集めている。

ここにきて、集団的自衛権行使容認が、まるで、リトマス試験紙のように、誰が日本の味方で、誰が日本の敵なのかを明確に色分けしているかのように見える。

それは、海外だけでなく、国内メディアもそう。不思議とその主張は賛成か反対かで二分され、中立な意見はほとんど見られない。

ここまで綺麗に反応が分かれると、流石に国防に無頓着な日本人とて、敵と味方を明確に意識するのではないかと思う。

そんな折、中国重慶市の週刊紙「重慶青年報」が7月3日発行の最新号で、「日本は再び戦争をしたがっている」との見出しの全面広告を掲載し、なんとそこに広島、長崎の場所に原爆のキノコ雲と炎のイラストを描いた日本地図が使われていることが報じられている。

この「重慶青年報」は中国共産党の青年組織・共産主義青年団の重慶市委員会が発行しているもので、いわば中国共産党の機関紙に当たると思われる。

くだんの広告の次のページには社説があり、そこで、日本の集団的自衛権の行使容認について、「思いどおりに海外での戦争に参加し、武力行使できるようになる。…過去40年以上にわたって、われわれは対日政策で寛容すぎた」と主張している。

無論、日本はこれに強く抗議。7月8日に在重慶日本総領事館員が重慶青年報を訪れ、編集責任者に「被爆者感情を逆撫でする」と抗議。重慶青年報側は「記事は自分たちの判断で掲載した」と答えたという。

広島1区選出の岸田外相は8日の記者会見で「極めて遺憾だ。掲載は誠に不見識で、唯一の戦争被爆国の外相として、被爆地である広島出身の政治家として、容認はできない。被爆者の感情を逆撫でするものだ」と厳しく批判している。当然のこと。



だけど、中国の人はそうは思っていない。中国のポータルサイト・新浪は「重慶青年報の報道をどう思いますか?」と題したアンケート調査を行い、一日足らずのうちに2万7000人超の回答が寄せられた。

ネットユーザーのコメントには「原爆を落としたのは米国だ。批判するなら米国を批判しろ」、「客観的な事実を述べているに過ぎない。批判されるような内容ではない」、「日本は歴史に向き合うことを恐れているのだ」、「このイラストに問題があるとは思えない。仮に日本のメディアが南京大虐殺に関して、南京市の場所にドクロを描いても反対はしない。なぜならそれが歴史だからだ」、「日本は安倍氏の靖国参拝がどれだけ多くの中国人を傷つけているのか、考えたことはあるのか?」というのが並び、88.6%の回答者が報道を支持している。

一方、「重慶青年報の報道は不適切だ。中日の平和のためにも日本との友好を伝えるべき」、「中国メディアの報道は不適切。中国人にとって南京大虐殺が痛ましい記憶であるように、原爆は日本人にとって辛い歴史だからだ」 といった反対意見は僅か8.0%。

ただ、中国版ツイッターの「微博」では、広告そのものについて「戦争をあおる低俗な新聞だ」、「温和な日本人を極端に走らせてしまう」、「安倍政権を助けるだけ」といった批判的なコメントが目立っているという指摘もあることはある。

だけど、新浪のアンケート結果のように、重慶青年報の報道を不適切と思わない中国人が大半を占めているのが本当であれば、日本と中国の彼我の意識のギャップは相当に危険な水域に入っている。

そればかりか、北京市内の学校では、日本が「中国領になっている」日本地図が教材として用いられているとの報道が出てきた。前々からネットの一部では、噂になっていたけれど、とうとう表沙汰になった。

何でも、中国内部では、日本占領は"既成事実"になっているそうで、中国共産党は東京五輪を"我が帝国最大の祭典"と嘯き、東京五輪開幕前までに実効支配を完了させている事まで仄めかしているという。

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2012年に韓国の李明博前大統領が竹島に上陸し、天皇陛下を侮辱する発言をして以来、日本人の韓国に対する見方が決定的に変わったと筆者は考えているのだけれど、今回の「重慶青年報」の広告と、"日本占領"教科書の存在が公になったことは、もしかしたら、それに匹敵するターニングポイントになるような気がしてならない。

つまり、一般的な日本人にも、今後、中国が明確な敵と認識されることになるだろう、ということ。

これは、単なる筆者の印象に過ぎないけれど、日本人一般の中国に対するこれまでの認識は、「中国は何といっても権謀術数の国だから、侵略紛いの行動をしても、ぎりぎりのところで妥協して、鉾を収めるだろう」的な意識が残っていたように思う。

だけど、今回の、この2つの事例は、そんな僅かに残った希望的観測を粉々に打ち砕くものとなるように思う。日本人の意識を変える決定的な一打になった感がある。

日本人にとって、韓国の反日に対しては「基本は、相手にしなければいい、ただイチャモンの度が過ぎるようなら、その時、言い返せばいい」といった"リアクション"型の対応が主になっていると思う。要するに「関わり合いになりたくない」という意識。

だけど、これが中国の侵略となると、話は変わる。中国にはある程度以上の国力があることは、日本人は誰でも知っている。そして、中国は本気になれば、日本を侵略できるだけの力を持っているだろうという"感覚"がある。

だから、中国に対しては、韓国のように「相手にしなければいい」では全然足りないと考えるだろう。従って、今以上の強力な武装あるいは国防体制は必須だという世論になっていくと思う。

普段、日本人はそういったことは、あまり大っぴらに言わないけれど、それは、現実が見えないお花畑の人だということを意味しない。そうであれば、今頃、民主党や社会党なんかが盤石の政権与党についていて、朝日新聞などは、我が世の春を謳歌してる。

一般の日本人が「物騒な世の中ですからね」と何気なく口にするその裏には「何があっても、日本を守り切る体制を政府が整えるのは当たり前だ」という本音がある。

本当は、マスコミがきちんと反論して中国叩きをすればいいのだけれど、朝日を始めとして国内マスコミのほとんどはそうしない。それが却って、日本人の深層心理下での危機感を誘発する。マスコミは、日本を侵略しようとする国から、国民を守る盾の役目を放棄しているけれど、それが、日本国民に対して喉元に匕首を突き付けられているような感覚を味あわせてしまっている。

日本人がようやく目覚める日が近づいているように思う。




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