株価は内閣を下支えしている
今日は極々簡単に…
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昨日のエントリーでは、マスコミの世論調査の怪しさについて述べたけれど、マスコミの世論調査以外でも民意を推し量る方法はある。それは市場。
債権でも株式でも市場は、その参加者の意識や思いを如実に反映する。将来があると思えば投資をするし、危ないと思えば、一気に資金を引き揚げる。何せ自分の金が掛かってる。適当に答えても何のお咎めもない世論調査とは真剣度が違う。そのあたり安倍総理も十分認識している。
6月28日、自民党の町村元官房長官は、大阪府東大阪市内での講演で「安倍さんが気にするといううわさがあったから『あれ消しましょうよ』と言ったら、ちょっと困った顔をしていた」と、今年5月に首相官邸を訪れた際、執務室の株価変動などを表示するボードを見ないよう伝えたことを明らかにしているけれど、どうやら、総理執務室には株価ボードがあるらしい。
一体、何時から、そしてどんな株価ボードなのかは知らないけれど、総理が株価の動向に気を配ること自体は悪いことじゃない。寧ろ、安倍総理に限っていえば、株価の変動から、世論の反応を伺うだけでなく、自らの言動を通して市場へ影響を与えようと考えている節すら感じられる。
今年4月15日、安倍総理は、日銀の黒田総裁と官邸で二人っきりの会談を行っているのだけれど、この日の会談は前もって計算されて設定されていた。
安倍総理は4月2日に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長の嶋中氏らと会談し、その場で「増税後1カ月以内には黒田さんと会うつもりだ」と明かし、その後、エコノミストらに、15日に会談することを伝えている。
総理周辺は「このタイミングで2人が会談することが投資家に伝わることが大事だった」と述べているから、投資家の思惑を呼び込むことを狙っての会談でもあったことを伺わせる。
実際、15日に黒田氏が官邸に到着したと金融市場に伝わったのは12時頃。市場は「首相が追加緩和を要請するのではないか」との思惑から小幅に株高・円安に動く場面があった。
この4月15日という時期は、その2営業日前に当たる4月11日に日経平均が13885円と年初来安値を付けている、いわば、株安の時期。
チャートも、今年始めから、この時期辺りまで、丁度三角ペナント持合い(下降三角)を形成していて、4月15日を起点として下放れしてもおかしくなかった時期。
この日の日経平均は13996円81銭と小幅な動きに留まり、会談後、執務室に戻った安倍総理は株価ボードを真っ先に見ながら「もうちょっとだったなあ」と漏らしたという。
だけど、この日を境に、日経平均は、三角ペナントから上放れして、持ち直してる。
なんだかんだ言っても、総理の日銀総裁が会談する、というだけで株価は反応する。そうしたことを分かった上で行動するのとしないのとでは、少しづつではあるけれど、市場の反応は変わってくる。勿論、狼少年になっては駄目だけれど、国のトップが折に触れ、タイミング良く材料を出していけば、それが一種の信用となって、市場は勝手に思惑で動いていく。
6月13日、安倍内閣は新成長戦略の素案を公表したけれど、その日の夜、安倍総理は周辺に「株価が上がって終わったのは良かった」と漏らしたと伝えられている。自らの経済政策が、市場に評価されたとほっとしたのだろうと思われる。
安倍総理に総理執務室の株価ボードを消すよう進言した町村元官房長官は、先の講演で、「安倍さんには少なくても5年、できれば10年くらいやってもらいたい。短期的なことを気にしすぎてはいけない」と述べたそうだけれど、哀しいかな、短期であっても、経済が腰折れすれば、たちまち、マスコミによる安倍バッシングと安倍おろしが巻き起こるのが現実。昔とは時代のスピードが違う。
安倍総理を引きずり降ろしたいマスコミなんかは、それこそ全力を傾けて"安倍叩き"に奔走することを目に見えている。
中国や北朝鮮のような独裁国家でさえ、経済が傾けば、政権に影響が及ぶのが現代社会。経済をいつも気にするようでなければ、日本の総理は務まらない。それが本来あるべき姿であるのかどうかはまた別の話なのかもしれないけれど、安倍総理が「日本を取り戻したい」と思うなら、まず経済から取り戻さなくちゃいけない。
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