集団的自衛権行使容認を巡る建前と現実

 
今日は、昨日のエントリーの続きを簡単に…。

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集団的自衛権行使容認の閣議決定から一夜明けたけれど、まだまだ世間は賛成だ反対だと騒がしい。

国内メディアも、賛成反対で真っ二つ。全国紙の社説を拾ってみると次のとおり。
・毎日:社説:集団的自衛権 閣議決定に反対する
「安倍政権がこれほどの転換をするのなら、一内閣の判断でできる閣議決定ではなく、憲法9条改正を国民に問うべきだ。」

・朝日:(社説)集団的自衛権の容認 この暴挙を超えて
「9条と安全保障の現実との溝が、もはや放置できないほど深まったというなら、国民合意をつくった上で埋めていく。それが政治の役割だ。」

・読売:集団的自衛権 抑止力向上へ意義深い「容認」
「国会対策上などの理由で過度に抑制的だった従来の憲法解釈を、より適正化したと言えよう。」

・産経:集団的自衛権容認 「助け合えぬ国」に決別を
「日米同盟の絆を強め、抑止力が十分働くようにする。そのことにより、日本の平和と安全を確保する決意を示したものでもある。」
見出しを読むだけで、各社の主張は明らかだけれど、いつものように朝日・毎日が反対、読売・産経が賛成の社説を掲載している。そして各紙の主張の理由もまた綺麗に分かれている。朝日と毎日は、「閣議決定ではなく、国民に問うべきだ」と手続きに問題があることを反対理由とし、読売と産経は「抑止力が十分働くように、過度に抑制的だった従来解釈を適正なものにしただけだ」と、リアリズムで賛意を示している。

平たくいえば、朝日・毎日の建前論と読売・産経の現実論とがぶつかっているということ。まぁ、これだけみれば、どっちもどっちに見えなくもないかもしれないけれど、それぞれの主張の更に奥にあるものまで踏み込めば、その印象は異なってくる。

朝日・毎日の建前論の奥には"民主主義"を守れという論拠がある。「安倍政権のやり方は民主主義を破壊するものだ、だから駄目だ」とまぁ、こういうロジックになっている。

それに対して、読売と産経の現実論の奥には"日本を守るため"という目的がある。「日本を守るために必要なことを行っているだけであり、賛成は当たり前だ」とこうしたロジックがある。

一昔であれば、朝日や毎日はこうした類の反対をするときには、「中国が日本を侵略するなどあり得ない」などと、現実論を押し立てて反対の論陣を張っていただろう。確かに、昔であれば、それでも通じたのかもしれない。

だけど、現実は、皆が知ってのとおり、中国の覇権主義、侵略行為が明らかになった。流石に朝日・毎日ですら「中国が攻めてくるわけがない論」が言えなくなった。だから「民主主義を守れ」という建前を出すしかなくなったのだと思う。つまり、彼らは"現実"に敗れているということ。

従って、隣国が侵略行為を続ければ続ける程、日本国民がその現実を知れば知る程、読売・産経のリアリズムが説得力を持ち、朝日・毎日の主張はその力を失っていくだろう。恐らく、今は丁度その端境期にあると思う。



5月28日のエントリー「カラクリとスリカエのマスコミ」でも述べたけれど、世論調査はその設問の作り方で、結果が大きく変わることがある。つい最近も、産経が「恣意的な調査結果を導き出さないよう選択肢づくりには工夫が欠かせません」という記事を掲載している。

実際、集団的自衛権行使容認の世論調査でも媒体によって、その結果は大きく違う。或は、朝日や毎日は、選挙なりなんなりをさせて、集団的自衛権行使容認を潰すのなら、今しかないと焦っているのかもしれない。だけど、現実に目を瞑って、建前だけで押し通して、その結果、国が滅びてしまったら、意味がない。

昨日の会見で、安倍総理は集団的自衛権行使容認で「日本が戦争に巻き込まれる恐れは、一層なくなっていく」と述べたけれど、日本の集団的自衛権行使容認についての海外の反応はというと、アメリカやフィリピンは支持し、中国は反発、そして、韓国政府はだんまり(韓国紙と民間団体は反発)。

日本の同盟国や、友好関係にある国が集団的自衛権行使を支持して、敵対国が反発している。これをみても、日本が、集団的自衛権行使容認を示すことが、それだけで抑止効果を持っていることがよくわかる。

ただ、いくらリアリズムを優先すべきであり、今回の閣議決定が、従来の憲法解釈を適正なものに修正するものであったとしても「建前」の部分を100%捨ててはいけないと思う。なぜなら、国の大きな政策の方針転換を閣議決定で行った前例として、残ることになったから。

国民の命と財産をきちんと守る政党が与党である限りは、このやり方でもそれほど実害は発生しないと思う。だけど、将来、万が一、民主党のような反日政党が再び政権を握ったら、この閣議決定で国の方針転換を決めるやり方は、逆にリスクとなってしまう。

実際、民主党政権は、国会で強行採決を連発した。それこそ権力の暴走に近いことをやっていた。それが今後も起こらないという保証はない。そして、日本のサヨクマスコミはその横暴を報道することはないだろう。それは、民主党政権時代のマスコミの態度が証明している。

だからこそ、面倒であっても、その建前の部分は抑えておくべきだと思うし、次の選挙では、集団的自衛権行使容認をした是非も争点というか、国民の信を問う項目の一つに入れておいてほしいと思う。




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