今日もだらだらと感想エントリーです。月末までこんな感じかと思いますけれども、御容赦下さいませ…

先日の広島の大雨土砂崩れ災害、本当に大変な被害となりました。亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
今回の広島の大雨については、茨城県筑波市の防災科学技術研究所が解析結果を発表しています。それによると、広島市付近の大雨は20日午前1~4時ごろがピークで、南西から暖かく湿った空気が流入し、積乱雲が最大高度約15キロまで発達。そして、このビルのような積乱雲が北東へ移動して猛烈な雨を降らせ、更にその後ろに同様の積乱雲が次々に発達しては、猛烈な雨を降らせ続けたとのことです。
こうした現象を「バックビルディング」といい、防災科学技術研究所は、その様子を立体動画にして公開していますけれども、確かに雨が壁の様に連なっていたことが分かります。
普通、降雨量は地表に降った量のことを指しますし、天気予報のレーダーでも、上空真上からの雲の様子を映すくらいですけれども、防災研のデータは"立体"でそれらを表現しています。
今回の防災研の解析は、国土交通省の高性能レーダー「XRAIN」の観測データを解析した結果だそうです。「XRAIN」とは、"X-band polarimetric (multi parameter) RAdar Information Network"の略で、従来の広域レーダーよりも高頻度、高分解能の観測が可能なレーダーです。
一般的にレーダーは、自身が電波を対象物に向けて照射し、その反射波をキャッチすることで対象物の位置を特定します。
従来の気象レーダーも同様に、散乱されて戻ってきた電波の強さ(受信電力)から雨の強さを推定していますから、雨粒が多ければ多いほど、レーダー波はより散乱され、その結果、受信電力が大きくなります。けれども、ここで注意しなければならないのは、雨粒の大きさによっても、受信電力が変わるということです。小さな雨粒より大きな雨粒の方が、よりレーダー波を反射しますから、当たり前なのですけれども、レーダーにはそんなことは分かりません。そこで、地上に雨量計を設置して、全体の雨量を測定することで気象レーダーの観測結果を補正しています。ただ、雨量計といっても、そこら中に設置するわけにもいかず、補正精度はそれほどありません。
これに対して「XRAIN」は従来レーダーの欠点を解消する新型レーダーのようです。
レーダー波はその名のとおり「波」なのですけれども、当然その「波のうねり」には方向があります。縦波とか横波とかいうのがそれです。従来レーダーは「横波」を使っています。それに対して、「XRAIN」は横波と縦波の両方を同時に使うレーダーで、これが雨の強度測定を正確なものにしています。
水滴という言葉を聞くと、下が太くて、上が細い、いわゆる「西洋梨」の形をよく思い浮かべますけれども、実際の雨粒は、空気抵抗の影響を受けて上下方向につぶれ、肉まんとかお餅のような形になっています。この潰れた雨粒に、横波のレーダーと縦波のレーダーをそれぞれ当てると、縦波レーダー波に比べて、横波レーダー波の方が、雨粒に接触する確率が上がり、反射しやすくなります。つまり、縦波より横波のほうが受信電力が大きくなるのですけれども、「XRAIN」レーダーはこの差を測定することで、雨粒の形状及び大きさを推定し、雨の強さを測定します。
今のお天気レーダーはここまできてるんですね。
ともあれ、今年は大雨の当たり年。ついこの間も台風で四国や三重が大変なことになりました。そして、行きつく暇なく、今回の広島と大雨洪水土砂崩れと災害が続いています。
そういえば、巷では「アイスバケツ・チャレンジ・リレー」なる氷水を被るのが流行っているみたいですね。昨日のエントリーの「ノアの箱舟」といい、今年は「大水」が流行りなんでしょうか…。
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