
私事ですけれども、仕事が超多忙モードになっていて、時間が殆ど取れないため、しばらくは極簡単な感想エントリーとさせていただきます。

最近、中国のバブルが取り沙汰される機会が多くなっているように感じます。今年の3月に銅価格が一気に10%も下落し、いよいよバブル崩壊か、と騒ぎになったのも記憶に新しいですね。
そして、今月、国家統計局が発表した7月の新築住宅価格指数は、主要70都市のうち実に64都市で前月より下落。浙江省杭州や海南省三亜などの地方都市が前月比-2.4%、北京-1%、広東省広州も-1.3%の下落のようです。
中国東部沿海に位置する杭州は、地方都市とはいえ、上海に次ぐ大都市で、国家級、および省が管轄するの経済開発区がいくつもあり、更に多数の工業団地が存在するいわばハイテク都市。開発区はインフラが整備され、税制面などの優遇措置や各種の支援を行っている、中国でも総合経済実力の強い都市の一つとされています。
また、海南省三亜は、「中国のハワイ」と呼ばれる中国有数のリゾート地で、観光客の大半は香港を含む中国国内の富裕層。島内に2つの国際空港を持ち、国際線直行便も多いと聞きます。
国際エネルギー企業BPの「世界エネルギー統計年鑑・2014年版」によると、2013年の中国エネルギー消費量の伸びは、過去10年の平均である8.6%を大きく下回り、4.7%に低下したそうです。
産業と観光、生産と消費の中心ともなるべく2大都市で新築住宅の着工が減り、エネルギー消費の伸びも鈍化したということは、生産も消費も減少している、つまり経済が縮小を始めているともいえますね。
まぁ、元より、国家統計が当てにならない国ですから、本当のところは何ともいえないところはあります。
大東文化大学の岡本信広教授などは、中国の統計は信頼性をある程度加味しながら見る必要があるとし、「正確性を割り引く」「比率を利用する」「信頼性が高い数値を基準にして、他の数値を調整する」の3つのポイントを挙げています。
先の新築住宅価格指数をこのポイントでみると、どうなんでしょう。岡本教授は、3番目の「基準にする信頼性が高い数値」には、国家統計局が発表するものを使うと述べています。その意味では、新築住宅価格指数も国家統計局の発表ですから、そこそこ信頼してもいいのかもしれません。
それを前提とした場合、新築住宅価格指数がマイナスに触れたということは、2番目の「比率を利用する」ポイントでいえば"トレンドの変化"になりますから、そうなった要因を探り、明らかにこれ、というものがなければ、注意を要するということになります。
中国の地方政府は住宅バブル抑制のために住宅購入制限策を実施していましたけれども、ここ最近の市況悪化を受けて、相次いで制限緩和に転じたそうですけれども、あまり効果が上がってはいないようです。
「尊共攘夷に走り出した中国」のエントリーでも述べましたけれども、日本を始め外資も投資を減らし、撤退を始めています。にも関わらず、それを食い止めるどころか、外資苛めをするのですから、市場経済を本当の意味では分かってないと言わざるを得ないですね。信用経済で信用を無くしたら、次はありません。
習政権が出した「八つの闘争」を読む限り、中国は西側の価値観、自由と法による支配を拒絶しているように見えます。今はまだ、"14億の市場"という餌で、魚を釣ることもできるかもしれませんけれども、いつまでも続くとは思えない。将来、中国バブルがすっかり弾けることあるのなら、そのとき、もう一度自身の「八つの闘争」が問い直されるような気がします。
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