今日はこの話題です。

1.日本批判を抑制したとされる朴大統領
8月15日、韓国の朴槿恵大統領は「光復節」の挨拶で、いつものように日本に言及し「来年は韓国と日本の国交正常化50周年を迎える。日韓両国は新しい50年を見据え、未来志向の友好協力関係を構築しなければならない。そのためには、両国間に残っている過去の傷を癒す努力が必要だ」と述べた。
そして、「これまで韓国政府は日本の指導者たちに正しい歴史認識を促してきた。特に慰安婦被害者がご存命のうちに、そうした方々が納得できる前向きな措置を求めてきた…このような問題を正しく解決した時、韓日関係は堅実に発展するだろう。…政治は国民の心を読んで正しい選択をすべきだが、日本の一部政治家たちはむしろ両国民の心を引き離し、傷つけるようなことをしている。…歴史の真実は思い通りに隠すこともできないし、否定することもできないだろう。…私は来年が、両国が国民間の友好関係を土台として新たな未来に向かって共に出発する最初の年になることを願っている。そのため、日本の政治指導者の知恵と決断を期待する」とこれまた、いつもどおりの日本批判。
まぁ、朴槿恵大統領の挨拶全文を見たわけではないから何とも言えないけれど、未来志向だの、共に出発する、だの言っておきながら、日本にああしろ、こうしろばかりで、自分達はどうするのかさっぱり分からない。"共に出発する"とは、双方共に歩みだして初めて成立するものであって、相手を馬にして自分を運ばせるものじゃない。
それでも、この朴槿恵大統領の挨拶は、韓国にとっては"日本批判を抑制"したと映るようで、朝鮮日報は「朴大統領、日本批判を抑制」との見出しで記事を打ち、韓国「News1」は「朴大統領の光復節對日メッセージ…『未来志向的協力』に重きを置く」との見出し。
だけど、韓国のネットは「親日の子孫は光復節に黙祷する資格もないことをご存じかな?」とか、 「日本がなくても生きていけるのに、なんで日本と仲良くしないといけないんだ?」とか、親日大統領扱い。
2.識者と国民との認識の乖離が激しい韓国
今の韓国には、識者と国民との対日外交の認識で相当なズレがある。
中央日報と峨山政策研究院が成人男女1000人を対象にした共同アンケート調査を行い、「朴槿恵政権が外交的に協力を強化すべき国」を尋ねたところ、日本を選んだ回答者は僅か4.9%で、北朝鮮の10.6%の半分以下という結果だった。
また、日朝関係が良くなれば韓国にマイナスが61.9%、日米関係が良くなる場合、韓国にマイナスが50.5%、そして、日中関係が良くなっても51.8%が韓国にマイナスと答え、まるで、日本の成功=韓国の不幸であるかのような反応。
これに対し、韓国の専門家は、日中間が遠ざかれば韓国にプラスが38.5%、マイナスが18.2%。日朝、日米関係の改善の場合はプラスマイナスともに大差がないという結果。
韓国外国語大学、国際・地区研究学院の朴振教授は「中国と日本は首脳会談実現に向けて協議を行っているようだが、朴槿恵大統領と安倍晋三首相の会談は、中国と日本の首脳会談よりも早く行うべきだ。これによって韓国と日本が中国と対話する際に、より有利な状況とすることができる。…韓国と日本の関係が冷え込んだ状況が続けば、中国は影響力を発揮する機会を得るため、韓国と日本を引き離そうとする」とスピーチで述べたそうだけれど、専門家は日中の接近が韓国に及ぼす影響について認識しているものと思われる。
この世論調査の結果について、キム・ジユン峨山政策研究院世論調査分析センター長は「政府の外交政策が一般の人たちの認識に影響を及ぼした結果」とし「このような認識が固まれば、むしろ政府に大きな政治的負担となるおそれがある」と述べた。
また、金泰孝・成均館大教授は「今の対日外交の問題は、政府の政策がすでに存在する国民の反日情緒に便乗し、日本関連の問題が発生する場合、政策担当者が国民感情に訴えるように、見せる形の外交をするという点。…両国の指導部が不必要に相手を恨むことをやめ、これ以上誤解が生じないよう状況の管理をする努力が必要だ」と強調。
更に、キム・ヨンス西江大教授は「対日外交においては国内の政治的位置づけや指導者の哲学を離れ、一歩譲歩してでもより大きなものをつかむ実用的な選択が必要だ」とコメントしている。
反日が今の状況を生んだというのは、向こうの自業自得だろうけれど、であれば反日を止めるようにしていただくしかない。日本はこれまで韓国に最大限の配慮をして、散々譲歩してきた。それを丸っきり無視して、何度も何度も謝罪だ、賠償だというのなら、金輪際、関わり合いになりたくない。日本の国民感情はそういうレベルに達している。
3.日本世論を気にし始めた韓国
韓国も薄々そのことを認識し始めたようで、8月12日、韓国外交部は、年初来7月18日までに、東京では67回と、3日に1回のペースで反韓デモが行われていると、韓国国会議員に資料を提出している。
また、中央日報の記者も、8月7日から福岡で行われた第22+回日韓フォーラムに参加し、「私が特に驚いたのは、日本の嫌韓気流が大衆迎合的週刊誌や一部のインターネットユーザーのレベルを越えて一般人にまで幅広く広まっている」としている。
フォーラムに参加した日本側の教授は「平凡な主婦まで『韓国って、いったい何なんですか?』と聞く。軽く見る問題ではない」と発言したそうだけれど、まぁそうだろうと思う。韓国の現実はそこまで広く知れ渡っている。
第一、あれだけ反日をやっておきながら、日本が韓国を嫌わないと考える方がおかしい。
だけど、韓国は問題の本質たる自らの反日行為を省みることなく、自分の主張を通すべく工作をしている。
例えば、韓国外交部は、民主党の仙谷由人氏に対して、「朝鮮王室儀軌」の韓国返還など日韓関係の発展に寄与したとして、修交勲章光化章の授与を検討している。
また、朝鮮日報はコラムで、慰安婦誤報を認めた朝日新聞について、韓国人容疑者を韓国名ではなく「通名」でしか報道しないと評価し、その朝日新聞が日本社会から攻撃を受けているとして、韓国政府がこれを助けるべきだと主張している。
まぁ、外交において、国益を追求して自分中心で物事を考えるのは当たり前とも言えるけれど、それでも相手の国民感情を丸っきり無視して、自国の都合だけゴリ押ししても反発を受けるだけ。
アメリカでさえ、昨年、安倍総理の靖国参拝について「失望」を表明した途端、日本国内から猛烈な反発を受け、軌道修正を余儀なくされた。
それに、今の日本国内の雰囲気だと、韓国に阿った政治家はそれだけで叩かれる対象となり得る。
先日、訪韓して韓国に阿ったとして叩かれている舛添都知事だけれど、8月3日現在で、舛添都知事に対する批判が4万件を超えたそうだし、先日も舛添都知事に対するリコールデモも行われている。
このように、舛添都知事の叩かれ方を見る限り、最早、韓国に関わることそれ自体がリスクになっているのではないかとさえ。
こんな状況下で無理に関係改善云々といって、ゴリ押ししても、却って話は拗れていくばかりではないかと思う。やはりしばらくは、対話のドアを開けたまま、静観したほうがいいだろう。
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