朝日新聞木村社長の謝罪会見について

 
今日はもうこの話題ですね…。

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9月11日夜、朝日新聞の木村伊量社長の記者会見が行われ、福島第1原発所長として事故対応にあたった故・吉田昌郎氏への聴取記録(吉田調書)について「所長命令に違反、原発撤退」と報じた記事の誤りを認めた。

木村社長は「社内の精査の結果、吉田調書を読み解く過程で評価を誤り、多くの東電社員らがその場から逃げ出したかのような印象を与え、間違った記事だと判断した。…表現を取り消すとともに、読者のみなさまとともに、東電のみなさまに深くおわび申し上げます」と謝罪。そのうえで「編集部門を含む抜本改革などに道筋を付けたうえで、自らの進退を決断する」と述べ、「杉浦信之取締役編集担当の職を解く」とも述べ、関係者を処分する方針も明らかにした。

大凡の概要は、動画も公開されているし、こちらを見ていただいても分かると思うけれど、筆者が一番"イタイ"と思ったのは、会見に同席した編集責任者の杉浦取締役の回答。

杉浦氏は「『この記事は東京電力の社員さんを貶める、そういう記事ではないか』といったご批判がございました。私達はそういったことは毛頭ございませんでしたし、かつ、吉田調書というものを入手してるのは我々だけ、という認識でおりました。そういう意味で、その時点ではご批判は我々にとっては当たらないというふうに考えております。8月の下旬以降になって、我々の資料と同じものを入手された、あるいは我々の資料とほぼ同じものを入手された皆様の報道で、朝日新聞と違う方向の批判が載っていく中で私共としては真剣にこの報道の問題にに向きあうようになった、ということでございます」と述べている。

この発言は裏を返せば、もしも、他社が吉田調書を入手することなく、また朝日の報道について批判することがなければ、真剣に向き合う積りはなかったと白状したことになる。



このコメントを聞いて、筆者は、報道ソースの独占は、余程注意しないと独善に至る問題があると感じた。今回の吉田調書に関していえば、他社からの報道があり、更に政府からの公開が止めとなって、最早、頬かむりできなくなったから、訂正する判断を仕方なくしたのではないかとさえ。

木村社長は「『吉田調書』報道は、福島原発事故の教訓を引き出し、政府に調書の全文公開を求めるものだった」と述べているけれど、いざ政府が調書を公開したら、自分が記事の間違いを認め謝罪するなんて、みっともなさ過ぎる。

今回の会見は朝日新聞東京本社で行われたのだけれど、会場は狭く、また事前に連絡をしていない記者は締め出ししようとしていたようだ

なんのことはない、池上彰氏の記事掲載拒否と根っこは同じ。謝罪会見そのものでこんな対応をするようでは、本当に謝罪する気があるのか疑問に思ってしまう。尤も、池上氏のコラム掲載拒否問題について木村社長が「途中のやり取りが流れ、『言論の自由の封殺である』と思いもよらぬ批判を頂戴いたしました」などと言っているようでは、何をか況や。

木村社長は、会見で"お詫び"の言葉こそ口にしたけれど、その責任の取り方については、第三者委員会を立ち上げて検証云々とし、自らの進退については、抜本改革の道筋をつけた上で判断するといったのみ。

なにやら「謝罪はするが賠償はしない」とネットでよく聞くフレーズを思い起させるものではあるけれど、何をどうしたら抜本改革になるのやら。

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取材のあり方やチェックをいくら強化したとて、それで100%間違いない記事がかける保障なんて何処にもない。慰安婦誤報にしても"ヨシダナントカにダマサレタ"と言い訳するだけではなくて、訂正報道を大々的に行うなど、リカバリー報道の強化などがなければ、有効な対策とはならないと思う。

情報というのは低コストで広く拡散するのだから、間違いがあったときのリカバリーをおざなりにしては、被害を食い止めるのは難しい。

9月11日、ニッポン放送のラジオ番組で、安倍総理が、朝日の報道について「例えば慰安婦問題の誤報によって多くの人が苦しみ、国際社会で日本の名誉が傷つけられたことは事実と言ってもいい。…一般論として言えば、報道は国内外に大きな影響を与えるし、時として我が国の名誉を傷つけることがある。正確で信用性の高い報道が常に求められている」と述べているけれど、その通り。

確か、橋下・大阪市長がどこかのテレビで言っていたように記憶しているけれど、先日、顧客情報を流出させたベネッセは、補償対応として200億円以上を用意し、情報流出が確認可能な顧客に対し、500円相当の電子マネーギフトや図書券などの金券を用意すると発表している。

ベネッセは流出した個人情報は約3504万件で、電話番号が存在しない分などを除く実態は推計で約2895万件だと発表しているけれど、去年末から今年6月頃までのわずか半年の間にこれだけの件数が流出している。それを考えると、32年にもわたって、慰安婦誤報を垂れ流しにした朝日が日本国民に与えた損害の甚大さは指摘するまでもないだろう。

この会見で朝日批判の火消しができたとはとても思えない。

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