日印首脳会談と安倍総理の布石
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9月1日、安倍総理は来日中のインドのモディ首相と首脳会談を行いました。その内容は既にご存知のことだと思いますけれども、救難飛行艇「US2」や新幹線、レアアースなど、結構具体的な内容が語られ、安倍総理がインドに大きく手を伸ばした印象ですね。
実際、共同声明の見出しをみても「政治,防衛及び安全保障のパートナーシップ」「地域及び世界における平和及び安全保障のためのグローバル・パートナーシップ」「民生用原子力エネルギー,不拡散及び輸出管理」「繁栄のためのパートナーシップ」「科学探求,イノベーション喚起,技術開発,人々の結びつき」「将来のための導き」と何度も"パートナーシップ"という言葉が出てきます。
そして更に、モディ首相が「日インド戦略的パートナーシップの強化に向けた総理自身の深いコミットメント、素晴らしく温かなおもてなし、及び、本日の東京での議論を特徴付けた大胆なビジョンについて感謝した。」とありますから、相当なコミットメントが安倍総理から為されたものと思われます。モディ首相をして「東京での議論を特徴付けた大胆なビジョン」と言わしめているのですから、サプライズ的なものもあったかもしれません。
共同声明の見出しは、1番目と2番目が"安全保障"ですから、両国ともこれを最重要とすることを了解したということです。これについては、中国を牽制するのが狙いだとは、いろんなところで言われていますし、改めてそれを指摘する必要もないのですけれども、共同声明の前文に「両首脳は、平和と繁栄、国際的な法の支配及び開かれた国際貿易 体制に対する不変のコミットメントを共有する」と記されています。
安倍総理が国際社会の舞台で何度も口にしている"法の支配"という言葉がここでも出てきます。これを共同声明に盛り込めたのは大きいと思います。
中国の新華ニュースは「インドが安倍晋三の挑発に乗って中国と対抗することはない」との記事を配信しています。以前「インドの政権交代とナレンドラ・モディ次期首相」のエントリーで、モディ首相は現実的な外交をするのではないかと述べましたけれども、インドは対中国で、あからさまに対抗することはないにしても「法の支配」という"世界観"レベルで、日本はインドを招き寄せることに成功しました。世界観での中国包囲網は着実に形成されています。
それに加えて、共同声明で「安全保障のパートナーシップ」を最初に持ってきていますから、対中国を考えた場合、安倍総理はインドを相当重要視していることが伺えます。
ここで、仮に、秋に訪日する予定だと言われているロシアのプーチン大統領と万が一、「安全保障のパートナーシップ」を結ぶようことができたとしたら、日本・インド・ロシアで形作る三角形で中国を包囲することになります。しかも、インドもロシアもどちらも核保有国ですから、抑止力効果は十分にあります。
まぁ、ロシアについては、アメリカとの関係で特に今は難しい時期でしょうけれども、仮にそんなことが出来たとしたら、日本の安全保障の転換点とはいわないまでも、大きな楔となるでしょうね。
その意味では、今回の日印首脳会談は大きな一手になるかと思います。
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