辞任と増税と解散と

 
今日はこの話題です。

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1.安倍内閣支持率急落

10月24~25日、読売新聞社が緊急全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は53%と、前回調査の62%から9ポイント下落。不支持率は37%と7ポイント上昇した。

下落の原因は、安倍内閣の小渕優子前経産相と松島みどり前法相の辞任の影響と見られ、9月の内閣改造では女性の閣僚登用で支持率が上昇した分を帳消しにした形。

更に、安倍総理が新たに任命した宮沢洋一経産相にもスキャンダルが噴出した。 宮沢経産相の資金管理団体「宮沢会」が、2010年、広島市内のSMバーに、政治活動費で飲食費を支出していたことが明らかになった。

政治資金収支報告書によると「交際費」の目的で18230円を支出しており、宮沢事務所ではこのバーに通っていた事務所関係者をすぐに割り出し、返還を求めて同意を得たという。宮沢経産相は「共同通信の配信記事で初めて知った。支出したのは事実。私自身は行っていない。事務所関係者が誤って政治資金として支出してしまった」と、政治資金収支報告書を訂正する考えを示している。

政権発足以来、ずっと安定していた安倍内閣だけど、ここにきての閣僚スキャンダルの連発。閣僚を任命するにあたって、それなりに"身体検査"をしている筈なのに、ちょっと不自然な気がしないでもない。

ネットの一部では、次の10%への消費増税延期を考え出した安倍総理に対して、財務省が手を回して、圧力(脅し)を掛けているのではないかという説まで飛び出している。

財務省がそんな"CIA"みたいな裏工作をするのかとも思うのだけれど、こちらのサイトでは、「消費税増税」に反対の姿勢を打ち出している本田悦郎内閣官房参与を財務省が潰そうと動いていると纏められている。

振り返ってみれば、第一次安倍政権が「消えた年金問題」でダメージを受けた時も、社会保険庁からのリークによる「自爆テロ」説が取り沙汰されていた。

昨年4月、衆院予算委員会で、民主党の長妻氏から「安倍晋三総理大臣も遊説で、自爆テロによる改革妨害などと批判をしていると。あるいは、昨年のダイヤモンド・オンラインの安倍総理というインタビューを見ますと、三月十五日のものですが、社会保険庁を解体しようとしたら、彼らしか知らないはずの年金問題が、まるで自爆テロのようにどんどん明るみに出てきた、こういうお話をされているんですが、これはどういう意味でございますか。」と問われた安倍総理は「社保庁を解体していくという方針を定めた後、十分に厚生労働省も把握をしていない、もちろん我々も把握をしていないさまざまな情報等がどんどん漏えいしたのは事実であります」と答弁している。

小渕優子議員のスキャンダルにしても、宮沢洋一経産相のスキャンダルにしても、政治資金絡みのもので、財務省の外局である国税庁がその情報を握っているもの。だから、社会保険庁が、自分しか知らない情報を漏洩させたように、政治資金絡みのスキャンダルを財務省がリーク出来ないとは言い切れない。




2.豹変した増税派議員

ともあれ、10%への消費税引き上げについては、ここ最近、与党内からも延期すべしとの発言がちらほら出てくるようになってきた。自民党の山本幸三議員は、来年予定している消費増税を1年半遅らせるべきだとして、10月22日から「アベノミクスを成功させる会」の活動を再開している。

消費増税遅らせるべきだとして、「アベノミクスを成功させる会」の活動を再開したということは、裏を返せば、消費増税すればアベノミクスは失敗することを意味してる。

だけど、山本議員は去年の9月の段階では、今年4月の消費税8%への引き上げをしなければ、外人投資家が日本株や日本国債の売りに走り、株安・債券安・円高を招いてアベノミクスは失敗すると発言していた。

それが一転して、今度は、先送りしないとアベノミクスが失敗すると宗旨替え。これについて山本議員は、8月末頃に7、8月の経済指標の数字を見て、考えを百八十度変えたのだという。

何でも、4~6月の消費が駆け込み需要の反動で落ち込んだ消費が7~9月になっても減り続け、輸出も伸びなかった。山本議員は、増税のマイナス分を円安の進行で輸出の伸びて埋め合わせる、と目論んでいたのだけれど、その前提が崩れたからだとしている。

山本議員は、消費税率の再引き上げ先送りによって、日本国債が投げ売りされて金利高騰するリスクについても、日銀が買うことになっているからあり得ないとし、先送りして日本経済が回復する見込みを立てれば、株価も上がると述べている。去年まで、「外人投資家が日本株や日本国債の売りに走り、株安・債券安・円高を招いてアベノミクスは失敗する」と言っていた人とは思えない豹変ぶり。

先日も安倍総理が、フィナンシャル・タイムズのインタビューで「消費税を引き上げることで、経済が軌道から外れたり、鈍化したりすれば、税収は増えない。そうなれば意味がない」と10%への増税の延期を示唆するかのような発言をしている。

尤も、この発言については、菅官房長官が10月20日の記者会見で「そうしたことではない。首相が常日ごろ発言していることを申し上げた」と否定して見せてはいる。




3.増税延期解散

筆者は、今年1月4日のエントリー「安倍総理の2014年年頭所感について」で、2013年年頭所感で触れた「社会保障・税一体改革」を、2014年の年頭所感では取り上げなかったことから、10%への引き上げはやらない或いはやれないと考えているのではないかと指摘していたのだけれど、やはり、安倍総理は今年初めから、消費税の再引き上げには消極的だったのではないかと思う。

まぁ、それでも今年の経済指標が良好であったら、10%への再引き上げも有り得たかもしれないけれど、現実は悪化した。だから、現時点では、再引き上げ延期の可能性が高くなってきたと思う。

実際、安倍総理の増税延期示唆発言を否定した菅官房長官は、消費税率の引き上げについて、これまで12月8日発表の7-9月GDP改定値で判断するとしていたのを、10月22日の記者会見では、11月17日発表の、7-9月GDP速報値で判断すると修正している。

この発言の変化について、東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏は、GDP速報値の発表が国会会期中であることから、解散総選挙まで視野にいれた増税延期のサインだ、と述べている。

先の2閣僚辞任で、内閣支持率が下がっているのに加え、増税を決めれば、ますます支持が離れてしまう。にも関わらず、増税判断を前倒ししたのは、世論にプラスになるサプライズを出す計画があり、それが増税延期なのだ、と長谷川氏はいう。

また、増税延期の為には自民党内外の増税賛成派を抑える必要があるのだけれど、それも解散をちらつかせることで黙らせることも出来るのだ、と。

確かにこの見方は、それなりの説得力がある。

社保庁の「消えた年金」が自爆テロであったにせよなかったにせよ。一度辞任してから、再び総理に返り咲いた安倍総理は、一度それを経験している。

だから、仮に、今回の閣僚スキャンダルが財務省の仕掛けであろうとなかろうと、こうした窮地に対して、前回よりは耐性があるだろうと思う。それだけに、大胆は判断に踏み切る可能性がある。

民主党などの"抵抗野党"はやれ、閣僚辞任だ、任命責任だ、審議拒否だなどど、相変わらず進歩のないところを見せているけれど、昨今の日本を取り巻く状況は、そんなことにうつつを抜かすことを許さない。

国民とて、今の日本に、そんな政局騒ぎをする余裕などないことを知っている。だから、"抵抗野党"が100年1日の如き「なんでも反対」を繰り返せば繰り返すほど、国民は愛想を尽かして離れていく。

もしも、年末に解散総選挙が行われたならば、そんな"役立たず"の野党は悉く討死するのではないかと思う。




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