昨日の続きです。
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1.日本の名誉を回復するための特命委員会
このほど、自民党は、慰安婦問題に絡んで「日本の名誉を回復するための特命委員会」を月内に設置することを明らかにした。
この委員会は、慰安婦を巡る誤解が広まった経緯などを幅広く検証した上で、海外への情報発信強化策などを提言していくとし、委員長に中曽根弘文元外相、顧問に高村正彦副総裁を充てる方向で調整を進めている。
ただ、政府の一部には「反論のやり方を間違えると、かえって『日本は女性の人権を軽視している』との批判を招く」との懸念もあり、効果的な情報発信のあり方を慎重に検討するとしている。
この委員会に大きな意気込みを見せているのが、自民党の三原じゅん子議員。三原議員は、「朝日が30年以上も放置した吉田清治氏の『慰安婦を強制連行した』という虚偽証言のせいで、日本と日本人はいわれなき屈辱を受けてきました。その汚名を返上するためにも、委員会で大いに活動したい」 と述べ、韓国系団体がアメリカで積極的に日本を中傷する活動を続けている実態についてコメントしている。
なんでも、三原議員が今年8月に 日本ハワイ友好議員連のメンバーとして、ハワイを訪れた際、現地の政治家から、韓国系団体がハワイにも、慰安婦の碑や像を建てようとしていたことを聞かされましたという。幸い、ハワイには、日本の状況を理解する親日派の政治家が多いため、設置を食い止めたそうなのだけれど、アメリカ本土では韓国系団体による虚偽の流布にどんどん浸食されているのが現状で、日本はもっと積極的に広報活動を行うべきだと語っている。
筆者も積極的な広報活動は、勿論、やるべきだと思うけれど、それだけでなく、日本人でない外国人にも日本の立場を代弁してもらうよう、ロビー活動を展開することも考えるべきだと思う。
なぜなら、日本人が日本の立場をいくら説明したとて、聞く耳を持ってくれない可能性が高いと思われるから。
2.テキサス親父の反論
アメリカ・カリフォルニア州グレンデール市には、韓国系団体の活動によって"慰安婦像"が設置されているけれど、それに抗議するため、グレンデール市と姉妹都市にある東大阪市の樽本丞史・東大阪市議がグレンデール市を訪れた。
だけど、面会を要請していたデーブ・ウィーバー市長との面会は叶わず、面会できたのは、像設置を主導したフランク・クィンテロ市議と女性市議、グレンデール市の幹部職員ら計4人との1回のみ。
だけど、会談では、樽本氏が像設置やグレンデール市のHPの記載の修正を求める抗議文を差し出した途端、クィンテロ氏の表情が険しくなり、「あなたは南京大虐殺を勉強したことがあるのか」と捲し立て、樽本氏の抗議に一切耳を貸さず、韓国側の主張に沿った歴史認識を一方的に展開した挙句、「もっと勉強しろ」と言い放ったという。完全に洗脳されている。
こんな状態のまま広報を強化したとしても、思ったとおりの効果が出るかどうかは分からない。
グレンデール市は、事前に届け出れば、誰でも意見を述べることができるパブリックコメント制度を設けているのだけど、10月21日、テキサス親父こと、トニー・マラーノ氏は、この制度を利用し、グレンデール市の市議会で、慰安婦像を批判する発言を行っている。
マラーノ氏は「慰安婦像は日本人の名誉を毀損している。侮辱している。…あなたたちの目的は尊い。…だが最近、韓国で新しい慰安婦のグループが、自分たちの政府に1950年から1992年の間に強制的に慰安婦とさせられたと言っている。グレンデール市は、日本や、日本の人々に対し一貫性があることを表明するチャンスだ。…今ある慰安婦像が、日本を侮辱する目的で設置したわけではないということを証明できる。この新しい慰安婦のグループのために2つ目の像を考えたらどうだろうか。…今ある慰安婦像のとなりに大理石の記念碑などを設置することをすすめる。」と、洋行主を引き合いに出し批判した。
マラーノ氏は、グレンデール市の慰安婦像設置そのものを批判はせず、設置することが「善」だとするならば、洋行主に対しても同じように慰安婦像を設置しなければ、フェアではないというロジックを立てた。相手を否定することなく、その矛盾を鋭く指摘した。実にうまい。
慰安婦像設置に賛成したグレンデール市議らは、マラーノ氏に一言も反論できず、話を聞き終わると「サンキュー」とだけ述べ、設置に唯一、反対した市議は「あなたの名前は」と改めて聞いたという。
日本は「テキサス親父」のような人をもっと大事にしないといけないし、第2、第3の「テキサス親父」を育てないといけない。
ただ、アメリカ国内に慰安婦像や慰安婦の碑が次々と設置されていることについて、ようやくアメリカ人も反応を示し始めている。アメリカのネットでは「日本政府に言いたいことがあるなら、なぜ日本で抗議活動をしないんだ?アメリカの、しかも公共の公園にこんなものを建てるなんて、どうかしている」、「ドイツはアメリカのホロコースト記念博物館に抗議しないよ」、「朝鮮戦争のときには韓国軍だって慰安婦制度を作っていた。なぜ韓国人は自分たちの罪は無視して日本をバッシングするためにアメリカに慰安婦像をいくつも建てているんだ?矛盾している」といった声が寄せられているという。
3.棚に上げた自分を指摘せよ
今、カリフォルニアのフラートン市で、慰安婦像設置を巡って、論争が繰り広げられている。フラートン市は、人口の11.5%を韓国系住民が占め、彼らは慰安婦像設置を進めていた。
だけど、最近になって、フラートン市在住の日本人女性が設置反対の運動を始めたほか、堀之内秀久ロサンゼルス総領事が、チャーフィー市長や市議、博物館理事、地元メディアと精力的に面談し、設置撤回を訴えている。
フラートン市の中にも、日本の事情を知っている人はいるようで、現地で、唯一の地元紙「フラトン・オブザーバー」の発行人を務めるシャロン・ケネディ氏は、朝日が記事を撤回したことは把握していて、それが世界を駆け巡っていることも理解しているという。
シャロン・ケネディ氏は「戦争の際に多くの女性が酷い目に遭ってきたことは許されない出来事だと考えるが、それは特定の国や軍隊の問題ではなく、多くの国で起きた悲劇です。批判するのであれば、アメリカもまた多くの恥ずかしいことをしてきたことを反省しなくてはなりません。…女性への人権侵害に限らず、日系人の強制収容や黒人を奴隷として強制的に働かせてきた歴史もある。そうしたことを正当化している一方で、他国(日本)だけを批判する資格はないと思います」と、テキサス親父が指摘した内容と同じ認識を示している。
また、慰安婦像設置の裏に潜む韓国の目的について、当然認識している人もいる。カリフォルニア州立大学フラトン校のビンス・バック名誉教授は、「慰安婦像建立を求める団体(加州韓国系米国人フォーラム)のウェブサイトを見ると、『日本政府は謝罪せよ』という目的に終始していて、女性の人権問題はそのための口実に過ぎない。下院決議121号(※注)を金科玉条のように主張するが、議会全体のコンセンサスではないし、ましてや米国政府の公式見解でもない。この団体はフラトン市を利用して日本政府に圧力をかけることが狙いであることは明白だ」と述べている。
だけど、韓国の狙いについて云々する以前に、慰安婦問題に対する、日本と韓国との認識には深い溝があることを理解しておかないと、日本の反論も効果的なものにはならない可能性がある。
ヴァンダービルト大学のジェームス・E・アワー名誉教授は「多くの日本人は今日に至るまで、慰安婦は比較的高給をもらい、総じて待遇も良く、中には日本兵と結婚する者もいたと信じている。他方、多くの韓国人は現在、慰安婦への強制行為や虐待が横行していたと信じ込んでいる」と指摘した上で、次の5つについて確認しておくべきだと述べている。次に引用する。
1)昔も今も売春婦の中には、奴隷とまでいえずとも不本意な労働をさせられている人はいる。が、売春は肉体的束縛という意味では必ずしも「奴隷」ではない。ジェームス・E・アワー教授はこれらの事実を挙げた上で、「国内法や国際法を順守しようとする日本の努力は、こうした法律を称揚しつつも日本ほど熱心に順守するわけではない諸外国から、何の法的根拠もなく批判されることがあるという事実は認識されるべきだ」と指摘している。
2)30年代の日本の慰安婦制度は、日本政府の目には違法ではなかったし、日本政府の民間人や軍当局者を起訴し、戦犯として処刑またはそれより軽い刑で処罰した占領当局の誰もが、それを起訴に値する問題だとは考えなかった。
3)韓国政府が70年代、自国経済を救済する目的で韓国駐留米兵のために売春制度を組織したことは、戦後生まれの韓国人の多くが知っているが、彼らは日本が30年代に朝鮮人女性を違法に誘拐、抑圧、虐待したりはしなかった、とは考える気がないようだ。
4)日本が強制行為への当局の関与をいくら否定しようとしても、韓国人の多くや日本人ではない一部の人々には、日本政府の隠蔽工作と受け取られる。
5)朝日新聞が今年8月、同紙が長年報じてきた、済州島の朝鮮人女性が日本に強制連行されたとする一連の衝撃的な記事は誤報だったと認めた。韓国などにいる日本を批判する人々は、これに関し、これらの記事が原因で韓国人が日本に怒りを向けるようになったのではないとしつつ、朝日新聞が日本の強制行為を繰り返し強調したことで、その信憑性が一層増したことは否定し難い、としている。
これは、平たくいえば、"自分のことは棚に上げ、他人を平気で批判する"ということであり、それが世界の現実だということ。
その意味では、そうした現実に対抗するためには、グレンデール市の市議会で意見したテキサス親父ではないけれど、その"棚に上げた自分"の姿を鋭く指摘し、他人を批判する資格があるのか、と問うやり方も時には有効であることを知っておく必要があると思う。
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