日中首脳会談と日露首脳会談

 
今日も軽い感想エントリーです。

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10月12日、自民党の高村正彦副総裁はNHKの番組で、11月の北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた日中首脳会談について、「条件を一方が突き付け、一方がのむ形の首脳会談が実現することはあり得ない」と述べた。

これは、今年7月に、福田康夫元総理が訪中し、習近平国家主席ら中国要人と会談した際に中国側から日中首脳会談を開催するための条件として、「尖閣領有権問題の存在を互いに認める」、「安倍首相が靖国不参拝を確約する」との2条件を提示したため。

その裏には、「安倍総理は中国に会談を拒否され、メンツを失うことを恐れている。習氏に応じてもらえるよう落としどころを探るはずだ」との中国側の読みがあると見られている。

これに対して、安倍政権では、「断固応じられない」との声が支配的で、水面下では相当なバトルが繰り広げられているようだ。

一体どういう理由で、日中会談が拒否されると面子を失うことを安倍総理が恐れているなどと中国が判断したのか分からないけれど、本当にそれを恐れるのなら、政権発足以来ずっと日中首脳会談が行っていない理由が説明できない。寧ろ、面子を失うことを恐れているのは、APEC議長国でありながら、アジアの経済大国日本と首脳会談できない中国のほうではないのか。

安倍総理は、ずっと「対話のドアはオープンだ」と言い続けている。そして、「互いに問題点があるからこそ、条件を付けずに対話し解決策を探るべきだ」というスタンスでいる。これは、対中外交だけでなく、ロシアに対しても同じで一貫している。

今回のAPECで、安倍総理はロシアのプーチン大統領を日露首脳会談を行うことが決定しているけれど、元々プーチン大統領は、秋にも来日にて首脳会談をする予定だったのが、アメリカが圧力を掛けまくって延期させたらしい。

それでも、安倍総理は諦めず、APECでの日露首脳会談に切り替える粘り腰を見せた。独立総合研究所の青山繁晴氏によると、APECでの日露首脳会談については、欧米諸国の了解を得ていて、ウクライナ問題についても、厳しい注文をするという。



8月26日、プーチン大統領とウクライナのポロシェンコ大統領が、ベラルーシのミンスクで首脳会談を行っているけれど、青山氏によると、この会談を裏からセッティングしたのは、安倍総理だったそうだ。

筆者はこれまで、西側諸国の中で最もロシアと近い関係を持っている安倍総理は、西側諸国とロシアとのパイプ役になるのではないかと何度も述べているけれど、現実もその通りとなっている。

ロシアと対立している欧米諸国の首脳にしても、ロシアとウクライナの首脳会談を実現させ、プーチン大統領と親密な安倍総理であれば、ロシアに対して、西側の要求をきちんと伝えるだろうと、一定の信頼を寄せていると考えられるし、APECでの日露首脳会談をすることに対して、各国の合意を得るという根回しもしている。

このような安倍総理の外交は「問題があるからこそ、対話し解決策を探るべき」という一貫したスタンスと一致しているから、諸外国の理解も非常に得られやすい。こうしたことも、各国首脳が安倍総理に信頼を寄せる手助けになっていると思う。

ゆえに、今度のAPECは"アジア"の会議でありながら、日本を介した、欧米とロシアとの対話の機会でもあるわけで、その意味では、欧米諸国は、日露首脳会談の行方を注目しているのではないかと思う。

更には、今月16、17日には、そのAPECの前に、イタリアでアジア欧州会議が行われるけれど、ここにロシアのプーチン大統領も参加して、ウクライナや欧州の首脳と直接会談する予定で、欧州は、ウクライナ問題を含め、国際法を順守することの重要性などで一致したい考えと見られている。

恐らく、それを睨んでのことではないかと思うけれど、10月11日、プーチン大統領はショイグ国防相にウクライナ東部と国境を接するロシア南部に展開していた軍部隊の撤退を指示して、対話の意向を示している。

このASEMには日本や中国も参加するのだけれど、そこでも安倍総理がプーチン大統領との会談を調整しているとも言われている。

安倍総理の"筋を通した"上で対話によって解決を図るという外交路線は、世界から一定の支持を得ていると見る。

安倍総理は、就任以来、一貫して取り組んできた、価値観外交、地球儀外交によって、世界の多くの国との関係を深め、味方とはいわないまでも、それに近い関係を構築してきたように見える。これは、今後の対中外交を展開する上でも一定のアドバンテージとなるだろう。




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