表現の自由と謂れなき中傷
今日はこの話題です…
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10月3日、衆院予算委員会で基本質疑が始まった。質問に立った自民党の稲田朋美政調会長は、朝日新聞が慰安婦報道についての誤りを認めたことについて「この問題には与党も野党も朝日新聞も産経新聞もない。党も政府も政治家も言論人も経済人も日本の名誉のために国民運動として邁進するべきだ。…報道の自由が憲法上優越的な地位を認められているのは民主主義の基盤だからだ。…優越的地位にふさわしい責任、真実に謙虚に向き合うべきだ。朝日は自らの責任を認識し、真摯に検証をした上で全力をあげて日本の名誉回復に邁進してもらいたい」と述べた。
これに対して、安倍総理は、「『日本が国ぐるみで性奴隷にした』といういわれなき中傷が世界で行われている。誤報でそういう状況が生み出されたのも事実だ。…これまで以上に戦略的な対外発信の強化が必要だ。いわれなき中傷には『そうではない』と発信することが大事だ」と答えた。
ようやく、こうした"当たり前"の答弁が国会でなされるようになったことは隔世の感がある。安倍総理自身、「以前は、このような問題に疑義を挟んだだけで猛烈なバッシングを浴びた」と述べている。本当に遅きに失したとはいえ、積極的に行っていくべきだろう。
10月6日、安倍総理は、次世代の党の山田宏氏から、同じ慰安婦誤報について問われ、「日韓関係に大きな影響や打撃を与えた。国際社会における日本人の名誉を著しく傷つけたことは事実だ。誤報を認めたのだから、記事によって傷つけられた日本の名誉を回復するためにも努力していただきたい。…民主主義がしっかりと健全に機能する上で報道の自由は極めて重要だからこそ報道機関の責任は重たい。…このやりとりが朝日新聞で報道されるかどうかが注目される」と述べた。
特に、安倍総理が述べた「報道の自由は極めて重要だからこそ報道機関の責任は重たい」という言葉は、"自由には責任が伴う"原則を述べたもので当たり前のこと。報道機関はそれをよくよく自覚しなければならないのだけれど、報道機関がその責務を果たさないのであれば、それ相応の批判を受けることは感受しなくちゃいけない。言論には言論で応じ、世論を形成すべき。
先頃、北星学園大学で非常勤講師を務める元朝日記者と、同じく、帝塚山学院大で教授を務める元朝日記者に対して、退職しなければ、学生に危害を加えると脅迫する文書が送られていたことが明らかになった。まぁ、ネットの一部では、朝日の自作自演じゃないのかといった穿った見方もあるようだけれど、それは脇におくとしても、気に入らないものは力づくで口を塞ごうとするやり方は間違っている。あくまで言論戦で戦うべき。
10月3日、菅官房長官は閣議後の記者会見で、この問題について「事実関係の詳細は承知していない。脅迫だとか、あるいはそれに近い行為がなされているということであれば、それは許されるものではない」と述べ、同じく、下村文部科学相も「朝日新聞の報道が自らの意に沿わないとしても、言論に対しては言論で応えるべきで、脅迫行為に訴えることは決して許されるものではない」と述べている。そのとおり。
だけど、だからといって、嘘を垂れ流したままその責任を取らないことまで許されているわけじゃない。安倍総理は、「日本の名誉を回復するためにも努力していただきたい」と述べているし、下村文科相も「朝日新聞の慰安婦報道は国による強制連行があったという誤報を世界に広めたもので、朝日新聞は自ら世界に対し、誤報であったことを発信する努力は必要だ」と述べている。
だけど、ここで大事なことは、安倍総理も下村文科相も朝日に対して、誤報を海外にきちんと発信すべきだと促してはいるけれど、強制しているわけではないこと。
言論機関に国家権力が命令し、ああしろこうしろと命ずるのは、"知る権利"を限定し、何が良くて、何が良くないかを「国家権力」が決めるということ。それは即ち、国家主権が国民にないことを意味してる。そんな国は最早、民主国家ではない。
その意味では、安倍総理や下村文科相が誤報についてきちんと配信すべきだというに留め、強制しないのは、民主国家の原則を守っているといえる。あれだけ国益を損しておきながら実に歯痒いと見得なくもないけれど、この原則は守らなくちゃいけない。
このように民主の原則を守ろうとする日本と対照的なのが、韓国政府。
10月2日、韓国のソウル中央地検は、例のウェブサイトの記事で朴槿恵大統領の名誉を毀損した容疑で、出国禁止措置が続いている、産経新聞前ソウル支局長の加藤氏に対し、捜査が終わっていないとして、実に6度目となる出国禁止措置の延長を通告している。これで加藤氏は2ヶ月近くも出国禁止となった。もはや軟禁といってもいいくらい。
一体、なにをどうすれば、そんなに捜査に時間が掛かるのか分からない。それとも、韓国の地検は操作能力がゼロだということなのか。
産経の件の記事もそうなのだけれど、韓国政府は、朴大統領の不倫疑惑絡みの報道については、悉く口を塞いでしまいたいと思っているように見えて仕方がない。
件の産経の記事は、民間の韓国人によって、韓国語に翻訳され、紹介サイトで公開されたそうなのだけれど、韓国検察当局が、翻訳とそれに対する論評を加えた韓国人についても名誉毀損の疑いを適用する方向を検討していることが明らかになっている。
そうとう"不倫疑惑"に神経を尖らせている。
実際、去年6月、インターネット討論掲示板に「朴大統領は崔太敏牧師、彼の婿チョン・ユンフェ氏と不倫関係」と主張する文章を投稿した主婦が、情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律違反(名誉毀損)容疑で起訴されていたのだけれど、今月になって、懲役4月、執行猶予1年の判決が下されている。
被告は、法廷で「チョ・ウン牧師のインタビュー映像と政治家のインタビュー記事を見て事実と信じていた」と主張したそうなのだけれど、判事は「この内容に対する客観的根拠資料を探した事実もなく、見たという記事も私生活に関する抽象的な風聞を伝えるものがほとんどであり、これを事実と信じたという主張は納得しがたい。…虚偽ということ知りながらも一般の人の関心が大きい朴大統領の私生活に関する内容をインターネット掲示板に載せた。…公共の利益のための目的は認めがたく、表現の自由の限界を越えた」と述べたという。
まぁ、筆者は、裁判の詳細についての情報を持っていないから、確たることはいえないけれど、インタビュー映像と政治家のインタビュー記事を事実を信じ、それを元にして書いたものを"虚偽と知りながら"と断じるということは、メディアのいうことは信じるなといっているようなもの。
この理屈でいえば、朝日の記事を信じて「慰安婦の強制連行」を謳って日本を批判しまくっていたサヨクや韓国の人達は、"客観的根拠資料を探した事実もなく、これを事実と信じたという主張は納得しがたい"として、悉く罪に問われてしまうだろう。
だけど、9月18日、韓国最高検察庁は「ネットをリアルタイムで監視し虚偽を流布する者を常時、摘発する」と表明し、ソウル中央地検にサイバー名誉毀損専門の担当チームを設立し、更なる監視と摘発の強化を行おうとしている。
もしも、"不倫疑惑"が「いわれなく中傷」というのなら、客観的証拠と言論でもって反論すればいいだけのこと。
表現の自由を巡る、日韓両政府の対応の違いは、注目に値する。
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