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1.日米首脳オンライン会談
1月21日夜、岸田総理はアメリカのバイデン大統領とオンラインでの首脳会談を行いました。
前日20日、岸田総理は、参院本会議で、「安全保障、経済、地域情勢や地球規模課題といった共通の重要課題についてバイデン氏との間で率直な議論を行い、首脳間の信頼関係を深める重要な機会になる……日米同盟のさらなる強化、『自由で開かれたインド太平洋』の実現や核兵器のない世界に向けた取り組みを含む地球規模の課題への対応に向け、連携を深めていくことを確認する予定だ」と述べていました。
詳しい内容は追々出てくるかと思いますけれども、会談では、日米豪印(クワッド)の4ヶ国の首脳会合を今年前半に日本で開催する方針を確認。また経済分野の議論を進めるため、両国の外務・経済閣僚による協議の枠組みを新設することで合意したとのことです。
また、ウクライナ情勢や対中国政策についても議論。特に中国については時間をかけてやりとりしたようです。
岸田総理は、総理就任以降、バイデン大統領との首脳会談について対面による会談を望んでいたのですけれども、党内対立を抱えるバイデン大統領側の事情に加え、武漢ウイルスの「オミクロン株」の感染急拡大を受けて見送られていました。
1月17日、松野博一官房長官は記者会見で、今回のオンライン首脳会談の狙いについて「安全保障や経済、地域情勢などの重要課題について日米両首脳間で率直な議論を行う。会談が日米同盟の揺るぎない絆を世界に示すとともに、さらなる高みに押し上げることを期待する」と述べており、「次の対面会談へのステップとしたい」と話しているところを見ると、今回の会談はどちらかといえば、次の会見のための切っ掛けであり、"会談することに意味がある"という色合いが濃いように思われます。
2.会談することに意味がある
これまで、保守言論人の一部から、バイデン政権は岸田政権の親中を嫌っているから会談を拒否しているのだ、などと批判されていたのですけれども、ここにきてオンラインとはいえ、何故会談がセットされたのか。
これについて、自民党の青山繁晴参院議員は、支持率低迷に苦しむバイデン政権は追い詰められており、対中を考えると頼みは日本しかなく、岸田政権への不信感を抱えながらも止むを得ず、会談することに決めたのだ、と述べています。
そのため、会談はその中身よりは、日米が一致して事にあたっているという姿勢を見せることが大事であるとも指摘しています。
これは、松野官房長官が述べた「会談が日米同盟の揺るぎない絆を世界に示す」ということと一致していますから、やはりそういうことなのでしょう。
また、青山参院議員は、オンライン会談はバレバレの会談で、本当に話したいことは言えないだろうとも述べていますけれども、確かに盗聴などの危険を考えると、全部筒抜けになる可能性は十分にあります。
それを考えると、やはり首脳会談したという事実こそが大事であって、日米で詰めたい内容は、事務方レベルで進めるのだろうと思います。
3.アメリカの姿勢は変わっていない
実際、事務方レベルでは日米協議が行われています。
1月20日、秋葉剛男国家安全保障事務局長は、アメリカのサリバン国家安全保障顧問と電話会談を行い、日米首脳オンライン会談に備え、ロシアとウクライナ情勢について議論しました。
両者は、日米同盟における重要な問題や、北朝鮮、中国、インド太平洋の経済問題に対するそれぞれのアプローチについて議論。サリバン氏が、ウクライナにおけるロシアのさらなる侵略の可能性について懸念を示し、両者は、いかなる攻撃に対しても、団結して強力に対応することをモスクワに示すことが重要であるとの意見で一致したとしています。
また、同じく20日、日米首脳オンライン会談を前に、核兵器の軍縮や廃絶に向けた日米の共同声明が発表されています。
この日米共同声明は、4日から行われる予定だったNPT(核拡散防止条約)の再検討会議が武漢ウイルスの影響で延期となったことを受けて発表されたもので、前回会議から6年ぶりの声明となります。
声明では、NPTは核兵器国と非核兵器国、双方が参加する国際的な核軍縮体制の基盤だと位置づけた上で、この条約が加盟国に誠実な交渉を義務付けていることをあらためて訴えていて、前回2015年の日米共同声明では言及のなかった中国に対しても、核軍備の情報公開や軍縮への貢献などを求めています。
その該当部分(全9節中の第6節)は次の通りです。
6.日本は、核軍縮のための環境づくり(CEND)イニシアティブ及び核軍縮の検証に関する国際パートナーシップ(IPNDV)に対する米国のリーダーシップを高く評価する。また、米国が核兵器保有国の中でリーダーシップを発揮し、核兵器備蓄の透明性を確保していることを評価する。日本は、新START条約の延長を歓迎し、米ロ間の戦略的安定対話の発展を期待する。 日米両国は、他の国及びより広範な兵器システムを巻き込んだ将来の軍備管理措置の必要性を強調する。 この観点から、日米両国は、中華人民共和国が核戦力を増強し続けていることに留意し、同国に対し、核リスクの低減、透明性の向上、及び核軍縮を推進する取り決めに貢献することを要請する。核保有国が多々ある中、わざわざ中国を名指ししています。(それ以外で出てくるのは北朝鮮くらい)
これは岸田政権の対中姿勢に不信感を持っているバイデン政権がいわば外堀を埋める形で、声明にねじ込んできたのではないかと思います。
アメリカの姿勢は変わっていません。
4.米中の仲介など幻想だ
青山繫晴参院議員によると、バイデン政権が岸田政権に不信感を持った理由の一つに、林芳正氏を外相に起用したことがあると述べ、なぜ岸田総理が林外相を起用したのかについて、林外相が米中双方に人脈がある点から、米中の仲介役を期待したからだと指摘しています。
もっとも青山参院議員は、林外相の米中人脈とて等価ではなく、中国人脈の方がずっと深いと述べ、米中の仲介役になろうとしているのは間違いだと述べていますけれども、筆者も同感です。
第一、米中をどうやって仲介しようというのか全くわかりません。仮に何等かの利権や利益で持って握手させることが出来たとしても、それは一時のことにしか過ぎません。
「韜光養晦」で素知らぬ顔をする裏で自分に都合のよいように浸透工作を掛けてくるのが中国です。中国共産党が支配する限り、民主国家とは相容れません。
彼の大陸に民主の旗がひるがえる日がくるのかどうか分かりませんけれども、それが来るまでは、警戒を怠らず、程々に付き合うしかないのではないかと思いますね。
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