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1.オール沖縄敗北
1月23日、沖縄県の名護市長選挙が投開票され、自民・公明が推薦する現職の渡具知武豊氏が、新人の岸本洋平氏を破り、2期目の当選を果たしました。
最終投票率は、68.32パーセントで、得票数は渡具知武豊氏が1万9524票と、新人の岸本氏5000票あまりの差をつける大差となりました。
渡具知氏は、「選挙戦でお約束した公約についてですね。一つ一つ実行していく、そのことが市民から求められてるものだと思っております。辺野古移設の件についてはいろんな経緯があります。やはり私の置かれた立場はこの国と県との推移を見守るという以外ないと思っております」と述べたのに対し、普天間基地の辺野古移設反対を掲げ、市政の刷新を訴えたものの敗北した岸本氏は、「この辺野古の新基地問題は、市民の思いは反対であったとこの選挙戦で受け止めております」とコメントしています。
両者のコメントを見る限り、争点となった普天間基地の辺野古移設にかなり明確に民意が示されたのではないかと思います。
また、同日行われた南城市長選挙でも、自民・公明が推薦する古謝景春氏が13028票を獲得し、共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦で再選を目指した現職の瑞慶覧長敏氏を1689票差で破り、4年ぶりに市長に返り咲きました。
当選した古謝氏は「後援会や市民のおかげだ。将来を見据えた行政運営をしていく」と喜びを語っていますけれども、名護市長選と合わせて、玉城デニー沖縄県知事が支援する「オール沖縄」勢が2敗を喫することになりました。
2.名護の民意ガー
辺野古移設容認派が勝利した名護市市長選について、自民党の茂木幹事長は「沖縄では、秋に知事選もある。選挙イヤーの大切な最初の選挙で、大きな勝利を飾ることができた。国としての基本的な方針は変わらない」と辺野古移設を堅持する方針を強調したのに対して、立憲民主党の大西選対委員長は「現職候補にあと一歩のところまで迫れたことは、野党勢力の主張が一定の評価を得られた」との談話を出しました。
また、共産党の志位委員長は、相手候補は基地問題を語らず、この結果をもって『辺野古新基地建設への容認』とは決してなりません。オール沖縄に連帯し、沖縄建白書実現のために、引き続き全力をあげます」とツイートし、小池書記局長も「現職が最後まで新基地建設推進を隠した選挙結果をもって『地元は辺野古容認』と政府が建設を強行することは許されません。県民投票での新基地建設反対73%が名護市民の揺るがぬ民意であり、コロナ対策、地位協定改定、新基地中止に全力あげます」と述べ、選挙結果を否定しました。
小池書記局長が述べた新基地建設反対73%の県民投票というのは、おそらく2019年2月に行われた「普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立てに対する賛否についての県民による投票」のことだと思われますけれども、確かに、投票率は52.48%、有効投票数60万1888票のうち「反対」は43万4273票と72.16%が反対の意思を示しました。
けれども、県民投票が民意というのなら、今回の選挙も民意の筈です。それに県民の72.16%の反対がなぜ名護市民の民意とイコールだといえるのか。しかも県民投票が行われたのは3年前の2019年です。今回の名護市長選挙は直近、かつ地元なのですから、こちらのほうがより最新の民意を表していると見るべきではないかと思います。
ご支持・ご支援いただいた皆様にあつく感謝を申し上げます。堂々と大奮闘された岸本ようへい候補に心からの敬意を表します。
— 志位和夫 (@shiikazuo) January 23, 2022
相手候補は基地問題を語らず、この結果をもって「辺野古新基地建設への容認」とは決してなりません。
オール沖縄に連帯し、沖縄建白書実現のために、引き続き全力をあげます。 https://t.co/loIVjtwwxh
大奮闘されたオール沖縄と党員・後援会員に心から感謝。現職が最後まで新基地建設推進を隠した選挙結果をもって『地元は辺野古容認』と政府が建設を強行することは許されません。県民投票での新基地建設反対73%が名護市民の揺るがぬ民意であり、コロナ対策、地位協定改定、新基地中止に全力あげます。 https://t.co/endEfPaE6E
— 小池 晃(日本共産党) (@koike_akira) January 23, 2022
3.焦るマスコミ
名護市市民の民意を認めないのは、共産党だけではありません。マスコミもそうです。
23日、朝日新聞は社説「『沈黙』しているのは誰なのか 移設賛否語らぬ市長選んだ名護は問う」という社説を掲載し、名護は米軍基地問題に「沈黙」する市長を選んだと批判。
また琉球新報は24日の社説「渡具知名護市長再選 民意は新基地容認ではない」で、辺野古新基地建設反対を表明して選挙戦に臨んだ新人の岸本洋平氏が敗れたことで、名護市民が建設を容認したとはいえないと主張し、渡具知氏がこれまで一貫して建設の是非には踏み込まず「国と県の係争が決着を見るまではこれを見守るほかない」との立場を示してきたことをその理由に挙げています。
そして、16~17日に琉球新報社と沖縄タイムス社、共同通信社の3社合同で実施した電話世論調査を持ち出し、米軍普天間飛行場の辺野古移設について「反対」「どちらかといえば反対」の合計が62.1%に上り、「容認」「どちらかといえば容認」の合計33.2%を大きく上回ったことから名護の民意は移設反対であり、国は「県民投票で示された、新基地建設に反対する沖縄の民意をくみ取り、建設を直ちに中止すべきであることに変わりはない」と主張しています。
けれども、県民投票にせよ電話世論調査にせよ、それで問うたのは、辺野古移設賛成か否かという一点であり、市長選で問われた市政全般とは、問うた民意の範囲が違います。
ですから、両者を単純に比較することはあまり意味がありません。
それに、対抗馬であった岸本氏が辺野古移設反対を掲げていたのですから、今回の名護市長選は、市政の一つに位置づけられる辺野古問題について「国と県の係争を見守る」渡具知氏と「移設反対」の岸本氏が民意を問うたことになります。
その結果、「移設反対」は名護市民から否定された訳です。同じ条件で選挙を行って、大差で渡具知氏が勝利した。この民意を否定し、ピンポイントでの是非を問うた県民投票とか電話世論調査の通りにしろ、というのでは、選挙の意味がなくなってしまいます。
もっとも、これは、当の琉球新報すら自覚してます。件の社説では後半で次のように記しています。
選挙戦では、新基地建設問題以外にも、喫緊の課題である新型コロナウイルス対策や経済振興策、教育・子育て支援、北部基幹病院の整備、福祉・高齢者対策など暮らしの問題も問われた。新基地建設の是非よりも、こうした問題を重視して投票した人々も少なくないだろう。選挙は辺野古問題だけではない、とはっきり書いています。そして渡具知氏再選について社説の見出しでは「民意は新基地容認ではない」としておきながら、終わりの方で「市民から信任を得た」と書いているのですね。
投票結果には有権者のさまざまな思いが込められていることは言うまでもない。市民から信任を得た渡具知氏には、選挙での公約を着実に前に進めて市民の豊かな暮らしをぜひ実現してほしい。
冒頭で辺野古移設反対を述べたために、非常に分かりにくい社説になってしまっているように思います。
社説は最後に「今年は沖縄にとって選挙の年である。夏の参院選以降、統一地方選、秋には天王山の県知事選が実施される。その重要な初戦となった名護市長選で渡具知氏が勝利したことは、同氏を推薦した自民、公明の勢力にとって大きな弾みとなった。一方、辺野古新基地建設に反対し、玉城デニー氏を支援している『オール沖縄』勢力は南城市長選も落とし手痛い敗北だ。今後の選挙に向けて、態勢の立て直しと、戦略の再検討が迫られる」と締め括っていますけれども、おそらくこれがいいたかったのではないかと思います。
オール沖縄が敗北したことにショックを受け、オール沖縄勢力になんとかして巻き返せと焦りを見せるサヨクマスコミ。今後どう世論を焚きつけていくのか分かりませんけれども、中国の脅威が誰の目にも明らかになってきた今、「オール沖縄」とか何とか言って、国と沖縄の対立構造を煽る手法もそろそろ限界に来ているのではないかと思いますね。
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名無し
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