限界を迎えたオミクロン対策

今日はこの話題です。
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1.濃厚接触者の待機期間短縮


1月28日、岸田総理は武漢ウイルスのオミクロン株対策として感染者の濃厚接触者に求める待機期間について、「感染拡大を防止する一方、できるだけ社会経済活動を維持するバランスを取っていく必要がある」と語り、現在の10日間から7日間に短縮すると表明しました。

また、社会機能の維持に欠かせない医療従事者などの「エッセンシャルワーカー」の待機解除の時期も、感染者との最後の接触後、現行の最短6日目を最短5日目にしました。

さらに、日本人帰国者や外国人再入国者などに求める自宅などでの待機期間も、現在の10日間から7日間に短縮。感染者のうち無症状者の自宅などでの療養期間についても同様に、現在の10日間から7日間に短縮します。

従来株の潜伏期間は最大14日間の一方、オミクロン株は3日間の例が多いとされています。政府は今月14日、濃厚接触者の待機期間を14日間から10日間に短縮したばかりだったのですけれども、専門家らはさらなる短縮を提言していました。

今回の短縮は、オミクロン株の感染拡大で濃厚接触者も急増し、職場を欠勤する人が増えているため、一定の感染拡大リスクを受け入れつつ待機期間を短縮しなければ、医療機関や企業の業務継続が困難になると判断からです。


2.保健所はパンク状態


既に各地方自治体の保健所はパンクしています。

大阪府では19日、新規感染者が過去最多の6101人となったのですけれども、保健所による入院や療養の判断に遅れが出始め、判断を待つ感染者は8498人に上りました。

入院か自宅療養かなどを決める為、保健師ら職員十数人が感染者に電話をかけているのですけれども、普段なら医療機関から陽性の届け出があった翌日までには連絡できていたのは、今は、その多くが4日後になっているそうです。

更に、沖縄県ではすでに保健所がパンクしているとして、10日までに、濃厚接触者への連絡を感染者に任せる方式に切り替えました。

また、神奈川県では、1月上旬の感染者を簡易的に調べたところ、78%がオミクロン株の疑いがあり、うち7割はワクチン2回接種済みだったそうです。これまでに比べて軽症者が圧倒的に多く、病床使用率は低い一方で、保健所の業務は逼迫していることから、「オミクロン株の特性を踏まえた対策に変える必要がある」と判断。濃厚接触者を特定する調査は、市中感染では意味がなくなったとして、調査対象を保健所の判断で絞るとしています。

他にも濃厚接触者を特定する意味合いは既に薄れているという声が上がっています。

東京都北区保健所の前田秀雄所長は「オミクロン株は潜伏期間が2~3日の間ぐらい。保健所が調査して『検査を受けて』と言った時点で発病しているということが少なくない。感染拡大防止に役立たないことだと思う。感染を広げないことが第一なので、濃厚接触者の特定をして法的に自粛要請は行わないが、ご自身の自覚を持って在宅で静養することをお願いしたい」と述べています。

どこかのテレビ番組でとにかく検査しろと年柄年中喚いているコメンテーターがいたように思いますけれども、とっくにそんな段階は過ぎているという訳です。


3.実態とはズレている政府の対策


1月24日、岸田総理は蔓延防止等重点措置の適用の要請等についての会見で、「オミクロンの特性を踏まえた対策の要点」として次の3点を挙げています。
・第1に、何よりも国民の命を守るということです。重症者や中等症、そのリスクの高い方々に重点を置いて、強化してきた入院体制をしっかり動かします。感染者数は過去最大ですが、昨年の夏と違い、重症病床は十分に余力があります。

・第2に、軽症で自宅療養される多くの方々の不安に応えてまいります。保健所がパンクしないようにITも活用して経過観察をしながら、万一、病状が悪化した場合には、すぐに地域医療が対応いたします。対応する医療機関は、「全体像」での計画より3割増し、また、昨年の夏と違って、飲み薬を各地の医療機関・薬局・医薬品卸に、約15万人分届けています。
 
・第3に、社会経済活動をできる限り止めないことです。軽症者が多いオミクロンですが、感染者数と濃厚接触者数が増加すると社会経済活動の維持が難しくなります。御不便をお掛けいたしますが、リスクの高い場面での人数制限、地域の事情に応じた人流抑制に、国民の皆様の御理解と御協力をお願いいたします。
一見対策しているように見えなくもないのですけれども、実態とは多少のズレがあるように思います。

例えば2番目の自宅療養の人への対応で、経過観察しながら悪化した場合は地域医療が対応するというのは、既に保健所がパンクして、入院か自宅療養かの判断から遅れが出ています。

飲み薬を配布したといっても、配布されたのは、地方自治体が指定した医療機関(発熱診療等医療機関)及び対応薬局(経口抗ウイルス薬の調剤対応を行う薬局)であって、その処方には当然ながら発熱診療等医療機関の医師の処方箋が必要です。その辺のドラッグストアで気軽に買える類のものではありません。

そして、1番目の病床確保がいくら出来ていたとしても、2番目が碌に機能しなければ、宝の持ち腐れにもなりかねません。

最後の3番目にしても、これまでと同じ人流抑制メインであり、目新しいものではありません。そもそも、感染力の強いオミクロン株に対して今までのような人流抑制で抑え込めるとは思えず、せいぜい感染拡大スピードを多少鈍らせる程度だと思います。


4.法廷受託事務と自治事務


現在、武漢ウイルス感染症に対応する法的根拠は、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」になっています。

この措置法は新型インフルエンザ等感染症に対する対策強化を図ることにより、国民の生命や健康を保護し、生活や経済への影響を最小にすることを目的としていて、武漢ウイルス感染症にも対応しています。

この新型インフルエンザ等対策特別措置法の第74条に「この法律の規定により地方公共団体が処理することとされている事務は、地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする」と規定されています。

法定受託事務とは「国が本来果たすべき役割に係る事務であって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの」で、国が率先して方針等を決めていくという建付けになっています。

ただ、この措置法では、各都道府県知事に営業自粛の要請(第31条の6)など権限を与えています。

更に保健所にしても、保健所を設置している自治体は、都道府県、政令指定都市、中核市、特別区と定められているので、保健所のあるところとないところとでは、当然その対応に差がでてきます。もっとも保健所がパンクしている現状では逆の意味で差がなくなってきているのかもしれません。

どちらにせよ、武漢ウイルス感染症対策は国が主導する法定受託事務である限り、これ以上の対応には限界があります。すでに保健所がパンクしていることを考えると殆ど限界値に達しているとみてよいとおもいます。

となると、これ以上の対応をするためには、新型インフルエンザ等対策特別措置法を法改正して、法定受託事務を除いたいわゆる自治事務にしてしまうか、現在2類相当にしているのを5類にすることで、新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象外にするしかありません。

岸田総理は地方の事情に合わせて対応云々といっていますけれども、保健所や診療機関が目詰まりを起こし、そこがボトルネックとなっている現状を考えれば、もはや法定受託事務のまま進めるのは厳しいのではないかと思います。

1月21日のエントリー「丸投げのオミクロン対策」で、筆者は、今のオミクロン株対策のままでは、どんどんなし崩しになると述べましたけれども、濃厚接触者の追跡も止めるなど、早くもそんな雰囲気が漂ってきました。

このままでは、またぞろ、岸田総理は追い詰められた挙句、武漢ウイルス感染症の指定を2類から5類に下げざるを得なくなるかもしれませんね。


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