

1.ウイルス対策の評価が下落した岸田政権
1月28~30日に掛けて、日経新聞とテレビ東京が実施した世論調査によると、岸田内閣の支持率は59%で2021年12月の前回調査から6ポイント低下し、「支持しない」と答えた割合は30%で4ポイント上昇する結果となりました。
岸田総理に優先的に処理してほしい政策を聞く質問では「新型コロナウイルス対策」との回答が49%と前回から11ポイント上がって1位となり、2位に転落した「景気回復」は38%になりました。
政府の武漢ウイルス対策について「評価する」は55%と12月の61%に比べて6ポイント下落。「評価しない」は36%で、12月比で3ポイント高くなりました。岸田政権が発足してから「評価する」は上がり続けていたのが今回、反転に転じました。
内閣を支持する理由は「人柄が信頼できる」が37%で1位。「安定感がある」が26%で続く一方、支持しない理由のトップは「自民党中心の内閣だから」の37%で、2位は「政府や党の運営の仕方が悪い」の32%でした。
人柄だとか安定感だとかはどの内閣でも支持する理由に出てきますから、どうということはないのですけれども、支持しない理由の2位に「政府や党の運営の仕方が悪い」が挙がっていたのは、注目してよいかもしれません。
おそらく、「何もしない」岸田内閣に対して、保守層が反発していることを反映したのではないかと思いますけれども、よくみる「政策に期待が持てない」ではなく「運営の仕方が悪い」ですからね。政策として何をするか以前に、その実行力に疑問符がついている訳です。
2.インフルエンザと同じ扱いにすべきだ
この世論調査では武漢ウイルスの感染症法上の分類を見直すべきかも問うているのですけれども、現在の結核並みの隔離措置が必要とする位置づけを「維持すべきだ」が31%の一方で、季節性インフルエンザと「同じ扱いにすべきだ」との回答が60%に上っています。
昨日のエントリーでも触れましたけれども、オミクロン株感染拡大で保健所がパンクし、医療逼迫に陥っていることと、オミクロンは重症化しないと報じられ、それが浸透した効果だと思いますけれども、ダブルスコアでインフルエンザと同じでよいという回答が集まったのは大きな変化だと思います。
その一方、現在、34都道府県に適用中の「蔓延防止等重点措置」への評価では、「妥当だ」が最も多い44%で、「もっと厳しい措置をとるべきだ」は30%。「もっと緩い措置で十分だ」は18%だったことから、これ以上感染拡大して欲しくないという不安心理もうかがえます。
ただ、ワクチンの3回目接種について「直ちに接種したい」は53%に上っていますから、オミクロンはインフルエンザと同じ扱いでよいとする回答が多数に上っていることを考えると、今のワクチンでも多少なりとも効果があるという認識となっているのかもしれません。
3.ウイルス対策は支持率に直結する
ここのところ、連日マスコミが新規感染者数がサイタサイタと報じてますけれども、実際、各地で病床の使用率が上昇し、東京では28日の時点で46.1%と、都が緊急事態宣言の発出の要請を検討するとしている50%に迫っています。
これについて、岸田総理は記者団に対し「緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置は病床の逼迫度に重点を置いたレベル分類を参考にしながら総合的に判断するという考え方で臨んでいる」とし、現在は新型コロナ患者用の病床全体で48.5%、重症者用で37.6%にとどまっていると指摘。「重点措置などの効果をしっかりと確認し事態の推移なども見て総合的に判断するというのが国としての基本的な考え方だ。少なくとも現時点では緊急事態宣言の発出は国としては検討はしていない」と述べました。
また、松野官房長官も記者会見で東京都への緊急事態宣言の発出の必要性を記者団から問われたのに対し「緊急事態宣言は強度の私権制限を伴うもので発出に当たっては慎重な検討が必要であると考えており、重症者の病床使用率も重要な指標として注視していく必要がある」と現段階での非常事態宣言発出を否定しています。
どことなく、このまま何もしないままでやり過ごせればいい的な雰囲気を感じなくもありませんけれども、今回の世論調査でも改めて示されたように武漢ウイルス対策は、支持率に直結します。
武漢ウイルス対策としては、岸田政権より遥かに"仕事"をした筈の菅・前政権の支持率が下がっていったのも、感染を抑えられなかったからでしょう。
それを考えると、今の「何もしない」岸田政権で、もしオミクロンまたは次の変異株などで感染爆発し、医療崩壊でも起こそうものなら、あっという間に支持率は下がるのではないかと思います。
有事では、多くの意見を聞くことも大事ですけれども、もっと大事なことは、正解を見つけることです。なぜなら、聞いてから政策を決める、あるいは変えるという"岸田流"は、その構造上、どうしても後手を踏むことになるからです。
武漢ウイルス感染症を5類にしないが、緊急事態宣言も出さない。その場、その場で、事が起こってから、リアクションで政策を決めるのでは、オミクロンのようにあっという間に感染拡大するものには対応できません。
何度も言いますけれども、聞く力は、先を見通す力とセットでなければ、その力を発揮できません。
岸田総理は武漢ウイルス禍に対し、どういう見通しを持っているのか。それを問われるのはそう遠くないように思いますね。
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