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1.流出した厚労省のZOOM会議
昨日のエントリーで、厚労省の内幕を暴露した河野太郎広報本部長のツイートが話題になったことを取り上げましたけれども、その中で気になる文言がありました。それは「厚労省が情報を出さない」という一文です。
ここで指摘された「情報」というのが、一体何の情報であるのかはっきりと分からないのですけれども、昨年12月、厚労省のzoom会議の動画が流出したと話題になったことがありました。
その動画は、昨年の6月28日に開催された厚労省の「第4回医薬品等行政評価・監視委員会」の会議です。もっとも会議の議事録も厚労省のサイトに公開されており、なんら隠していない情報です。
けれども、この動画が話題になったのは、武漢ウイルスワクチン接種の死亡例が報告よりも10倍ある可能性も考えるべきだという指摘があったからあです。
議事録から件の部分を抜粋すると次の通りです。
○佐藤委員 私からの提出資料のほうに質問の概要をまとめさせていただいたのですけれども、それについて回答いただけますでしょうか。私の質問は、まず死亡例ですね。6月23日の副反応検討部会の会合では接種後の死亡が全部合わせてファイザーで355例、モデルナで1例報告されています。ファイザーの355例を単純にその接種回数で割ると、1700万人で割ると、約5万人に1人の死亡例が報告されているということです。厚労省の資料では277例について頻度を求めていますけれども、100万人接種当たりですと16.2件ですね。こちらで計算しても、もし仮に1億人が接種すると単純計算で1,620人が死亡することになります。これは、東京理科大学薬学部准教授の佐藤嗣道委員長代理と厚労省の技官とのやり取りの部分なのですけれども、長いのに加え、厚労省の"官僚答弁"が読みづらくさせています。
先ほど花井委員が言われたように接種してしばらくたってから亡くなられた例というのは、まだこれから遅れて報告がされてくるということがあり得ますし、ここでは医療機関から因果関係が一応疑われて報告されたものが多いと思いますので、医療機関から報告されなかった死亡例というのも恐らくたくさんあって、それらのうちには実際に因果関係があるものも恐らく含まれているだろうということを考えると、実際はこの頻度よりも高い頻度でワクチンの接種による死亡が起きている可能性も考えられるというように私は思います。もしかすると10倍ぐらい高い可能性も視野に入れておかなければいけないのではないかと思います。一般的にこのような副作用報告、副反応報告というのは実際に生じた事例の一部しか報告されないというのが常ですので、実際に旭川医大のように医療機関は報告しないと判断したけれども、遺族からの依頼によって報告がされたという例も報道されていますので、そういう例は恐らく全国の至るところにあるのではないかと思います。
そういうことも考えると、一応100万人接種当たり16.2件ということが仮にワクチン接種による死亡だと仮定した場合に、そのような死亡のリスクというのはベネフィットに照らして許容し得るのかということについてお答えいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○山口予防接種室ワクチン対策専門官 佐藤先生、ありがとうございます。
先生御指摘のとおり、潜在的にさらなる死亡例があるといったような可能性がある一方で、副反応疑い報告制度自体が、まず医療機関の方等が副反応を少しでも疑った場合に広く御報告いただいているといったようなシステムでございます。このため、報告医の先生も実際には因果関係が疑われないといったような場合も含め報告が上がってきているといった状況でございます。
こうした背景を踏まえまして、先生からいただいた御質問の内容に関しましては、現在、接種後の死亡と報告されている事例の多くがワクチンの接種との因果関係があることを前提ということで御質問いただいているかなというように認識したしておりますけれども、現時点においては報告されている死亡事例についてはワクチンとの因果関係から否定できないと専門家に評価されたものはなく、御質問の前提として若干ずれているところもあるのかもしれないというように認識しています。
また、一方で、先生御指摘のとおり、潜在的にそういった死亡事例というのが広がっている可能性等も当然審議会の委員も認識しておりまして、そういった総合的な状況を踏まえまして、副反応合同部会におきまして死亡例の報告状況を含め最新の状況に基づいて御審議をいただいております。直近の合同部会におきましても、現時点においてワクチンの接種体制に直ちに影響を与えるほどの重大な懸念は認められず、引き続き情報収集するとともに、新型コロナワクチンの接種を継続していくことということでお諮りしお認めいただいたというように承知しております。
○佐藤委員 すみません、それでは、回答になっていません。端的にお答えください。100万人接種当たり16.2件の死亡が仮に真実だったときにこのリスクは許容できるのか、できないのかをお答えください。
○林予防接種室長 御質問ありがとうございます。予防接種室長の林でございます。
恐縮ではございますけれども、その仮定というのが、もしそうであった場合にというところの確からしさということをしっかりと考えた上でお答えしないといけないとは思っております。ずっとこの副反応部会が始まるとき、この新型コロナワクチンについて議論が始まるときから議論していることなのですけれども、たくさんの方に接種をさせていただきますと偶発的にその日、その翌日、その翌々日、亡くなる方の数というのは相当無視できない数になるということが接種の始まる前から議論されてまいりました。そういったことから考えて、これまで議論してきている中では、それら全てが新型コロナワクチンの接種による死亡であるというような仮定を置いて議論するということはなかなか難しい状況ではないかというように思います。
○佐藤委員 そういうことをおっしゃるのなら、なおさら日本薬剤学会が提言した個別の因果関係を問わない接種者と非接種者を比べたときの死亡リスクを比較する体制をきちんと取るべきなのですよね。そのことを疫学的な評価をしない限り、この問題はきちんとした評価ができないわけです。そのことを前回の委員会でやるおつもりがあるのか、あるいはやれる体制があるのかということをお聞きしたのですが明確な回答はなかったと記憶しております。やりたいけれども、なかなかもにょもにょという回答に終始したかと思うのですが、その後、その死亡例を含む有害事象の頻度の比較をするような体制というのをつくることに関する進捗状況について教えてください。
○林予防接種室長 前回もこの場で議論させていただきました。非常に重要な観点だと思っておりまして、私ども予防接種室として、これはコロナワクチンが始まる以前から非常に重要なことだと思っています。一方で、予防接種を受けてない方々に同じような疾病、症状がどれぐらい起きているかということをバイアスなく調べる方法というのは大変に難しくて、これは世界の中でもできているところはまれだと思いますし、実際に実施するとしても、仮に実施できるとしても膨大な人手の要するようなことだというように思います。
かといって、できることは何かということを私ども一生懸命考えてきてやってきております。例えばですけれども、先ほどの御説明の中で心筋炎についての説明をさせていただきましたが、その中で普通の心筋炎の発生の頻度というものを確かめる方法はないかということで、レセプトを基にした集計をさせていただきました。予防接種の行政の中でレセプトを基に平素の疾病の発生頻度を調べるという取組、これまでできてこなかった。NDBの集計というのはどうしてもタイムリーにできるかというと、技術的にもそういったことが可能になっていなかったわけでございますけれども、非常に今回御登録いただいて迅速に集計を行って評価もさせていただいて、平素の疾病の発生頻度を併せて評価をするというような取組をさせていただきました。こうした取組をどこまでできるか一生懸命広げていくことで、佐藤委員のおっしゃるところに、できるところからできるだけ早く一歩でも近づきたいというように考えているところです。
○佐藤委員 ありがとうございます。
私としましては、現時点でやはり100万人接種当たり16.2件の死亡が起きている可能性が否定できないというように思うのですね。ですので、そういう点から考えると、これは重大な懸念に当たると思います。ですので、私はこの委員会として何らかの提言なり意見をまとめて厚生労働大臣に提出すべきでないかというように思います。
理由は幾つかあるのですけれども、死亡の問題だけではないですね。アナフィラキシーについてもアナフィラキシーの定義というのがあるわけですけれども、それにしても比較的重大なアレルギー症状ということで医療機関から報告が上がっているわけで、それをアナフィラキシーの定義に当てはめるかどうかということは別にして、そういうこともかなりほかのワクチンに比べれば相当10倍ぐらい高い頻度で報告が上がっているわけですよね。そういうことを考えると、このまま放置していいということにはならないのではないかと思います。
すみません、いろいろたくさんありますので、一旦ここで意見を終わります。また後ほど。
そこで、筆者が独断と偏見で要旨だけ纏めると次のようになるかと思います。
佐藤委員:現在報告されてる死亡例から仮に1億人がワクチン接種すると単純計算で1620人が死亡することになる。この死亡リスクは許容できるのか?纏めてみると、ワクチン接種のリスク許容について問う佐藤准教授に対し、仮定の質問には答えられないと突っぱねる厚労省と、まるで国会答弁を見ているかのような押し問答です。
厚労省 :それはワクチンと死亡例との間に因果関係があるという前提の質問だ。そんな因果関係は認められていない。
佐藤委員:答えになってない。100万人接種当たり16.2件の死亡リスクは許容できるのかと聞いている。
厚労省 :仮定の質問には答えられない。
佐藤委員:それをいうなら、接種者と非接取者をきちんと比較する体制を整えて疫学的評価をするべきだ。する気はあるのか?
厚労省 :やるのは難しい。世界でもやれているところは稀。人手もかかる。出来るところはやる。
佐藤博士:比較的重大なアレルギー症状の報告は他のワクチンの10倍ぐらいある。放置していいはずがない。委員会として提言を纏めて厚労大臣に提出すべきだ。
2.医薬品等行政評価・監視委員会
厚労省によると、この「医薬品等行政評価・監視委員会」は、薬害肝炎事件の検証と再発防止のための検証委員会の提言で、医薬品行政の監視・評価機能を果たすことができる第三者性を有する機関の設置の必要性が指摘されたことを受けて設置された委員会です。
この委員会の役割は「医薬品などの安全性の確保に向けた施策の実施状況の評価・監視を行い、必要に応じて、安全性の確保などのために講ずべき施策に関する意見や勧告を、厚生労働大臣に対して行う」と規定されています。
さらに、委員会は、厚生労働大臣の諮問によらず、自ら議題を決めて審議を行うことができ、関係行政機関の長に対して、「情報収集」、「資料提出」、「意見表明」などの協力を求めることができるとなっています。
要するに、医薬品などの安全性について第三者委員会的に評価・監視・提言を行う組織だということです。
冒頭に取り上げた、議論の中で、佐藤委員長代理が、質問を提出したと述べていますけれども、その質問は「安全性の確保等に関する施策の実施状況に係るもの」で、内容は次の通りです。
1) コミナティ筋注Ⓡ(ファイザー社)接種に伴う死亡リスクについて:このように佐藤委員長代理は武漢ウイルス用ワクチンの安全性について質問しており、この中の1)が先の議事録でも触れられている内容です。これに対する厚労省の答えが、先に示したとおり「仮定の質問には答えられない」です。
厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)の第 62 回会合(2021 年 6 月 23 日開催)の副反応疑い報告に関する資料によると、接種後の死亡が 355 例報告されている。6 月 13 日までに報告された死亡 277 例を接種人数(1714 万人)で割った頻度は、16.2 件/100 万人接種であり、1 億人が接種すれば単純計算で 1620 人が死亡することになる。仮に 16.2件/100 万人の死亡リスクがあるとき、それは接種期待し得るベネフィットに照らして許容し得ると考えるか。
2) 上記 1)の接種後の死亡リスクは、新型コロナウイルス感染症による死亡リスクが低い小児や若年者では、相当な低リスクでなければ許容し得ないと思われるが、どの程度なら許容し得ると考えるか。
3) コミナティ筋注Ⓡ(ファイザー社)接種に伴う死亡リスクのロット番号による違いについて:
ワクチン接種後の死亡例の割合がロット番号により異なるように見えるが、ロット番号により死亡リスクが異なる可能性があると考えるか。異なるとすれば、その理由として考えられる要因は何か。
4) コミナティ筋注接種に伴うアナフィラキシーのリスクについて:
アナフィラキシーの頻度(報告割合)が、新型コロナワクチン以外のワクチンに比べて高く、何らかの安全対策を講じるべきではないか。
5) 新型コロナワクチン接種に伴う副反応の報告割合(「死亡」、「重篤なもの」の内訳を含む)について、他のワクチンと比較した資料をお示しいただきたい。
6) COVID-19 ワクチンモデルナ筋注の以下の添加剤の概要と添加剤の健康影響(リスク)の可能性についてご説明いただきたい。
・SM-102、PEG200-DMG、DSPC、トロメタモール、トロメタモール塩酸塩
3.安易な対応が招いたサリドマイド薬害
この会議で厚労省に鋭い質問を浴びせた佐藤嗣道委員長代理は、日本薬剤疫学会の理事を長年務め、薬剤疫学に関する研究についての学術論文発表、学会等での講演発表を多数行うとともに、「医薬品安全性監視入門」の翻訳に携わるなど、医薬品安全監視にも専門的知見を有しているほか、薬害に関して多数の論文・著作がある薬害被害に関する専門家です。
佐藤氏はサリドマイド薬害を受け、手に障害をもって生まれたのだそうです。
その影響もあっては、佐藤氏はサリドマイド薬害についての知見が深く、サリドマイド薬害が発生した経緯について次のように述べています。
サリドマイドは、1957 年 10 月に西ドイツで鎮静・催眠薬として開発された薬(商品名:コンテルガン)です。3 ヶ月後の 1958 年 1 月には、日本でもサリドマイドが睡眠薬(商品名:イソミン)として製造され、〝妊婦や小児が安心して飲める安全無害な薬〟という謳い文句で発売されました。後に胃腸薬(商品名:プロバンM)にも配合され販売されました。このように佐藤氏は、サリドマイドに対し、当時の厚生省の安易な早期認可を行ったこと、世界でサリドマイド剤の危険性が警告されたにも拘わらず根拠がないとして回収をしなかったことを取り上げ、それが被害を拡大させたと指摘しています。
当時の厚生省には、ヨーロッパやアメリカなどの先進国で製造販売されている有名医薬品については、事務手続きだけで製造を認めてもかまわないという内部規定があり、これによって日本では2時間にも満たない審査でサリドマイドは製造・販売の認可を受けました。しかし、この時点ではサリドマイドを含んだ薬を販売している国は何処にもなく、西ドイツでも販売の準備をしている段階でした。やがて世界各地で手足に奇形を持った子供たちが次々に生まれました。
小児科医で人類遺伝学者でもあった西ドイツのレンツ博士は、1961年11月、手足に奇形を持って生まれた子供たちとサリドマイド剤との因果関係の疑いを学会で発表、サリドマイド剤の危険性を全世界に向け訴えた第一声となりました。これが後に言われる「レンツ警告」です。
この警告を受けて、10日後にはヨーロッパ各地で薬の製造・販売が中止され回収が始まりましたが、厚生省は、レンツ警告には「科学的根拠がない」という見解を出し、薬は回収されることなく各製薬会社はサリドマイド剤の販売を継続させました。
しかし、日本でもサリドマイド禍が起きていることがマスコミによって報道されるようになると、厚生省や製薬会社は事態を無視できなくなり、1962年9月ようやく薬の販売停止と回収が発表されました。西ドイツの回収措置に遅れること10ヶ月でした。もし回収が速やかに行われていれば、日本での被害の拡大を防ぐことができたであろうことは言うに及びません。
佐藤嗣道委員長代理にこうしたバックボーンがあることを知れば、先の医薬品等行政評価・監視委員会で佐藤嗣道委員長代理があれほど鋭く厚労省を問い詰めたのも納得できるというものです。
4.新聞が本当のことを書き始めた
2月8日、朝日新聞が「mRNA、対コロナだけじゃない 細胞を「薬工場」に、免疫を強化・制御」という記事を掲載しました。
そこには、ファイザーやモデルナが開発したmRNAワクチンが、接種した本人の細胞を「薬の工場」にするタイプのワクチンであり、本人の免疫を強化することも出来れば、逆に免疫を弱めることが出来ると記されています。
mRNAワクチンの仕組みについて、筆者は昨年4月30日のエントリー「鬼滅のファイザー」で取り上げ、「細胞を薬の工場」にすることを「"キメラ細胞"を作ることで免疫を獲得させる」と表現しました。
これまで、マスコミからは、ワクチンについては効くとか効かないとかばかりで、自分の細胞をキメラにすることなど聞いた記憶がなかったのですけれども、ここにきて、ようやく報じられるようになってきました。一部からは「新聞が本当のことを書き始めた」という指摘もあります。
厚労省は最近になって、ワクチン接種によって心筋炎のリスクがあると認めましたけれども、後になって実は、といわれてもどうしようもありません。
もし、厚労省が何かを知っていて、それを出さずにいたとしても、いつかはそのツケは回ってきます。
それを考えれば、厚労省が考えているワクチンに対するリスクとベネフィットをどう考えているのか。少なくとも、佐藤嗣道委員長代理の質問には真摯に答え、広く国民に周知すべきではないかと思いますね。
この記事へのコメント
かりんパパ
佐藤委員:現在報告されてる死亡例から仮に1億人がワクチン接種すると単純計算で1620人が死亡することになる。この死亡リスクは許容できるのか?
厚労省 :それはワクチンと死亡例との間に因果関係があるという前提の質問だ。そんな因果関係は認められていない。
>>ワクチンが原因で死亡する人数は1620人から、1億人から自然死する人数を引いた数である。なのでその前提が違う。仮にワクチンによる死亡死が起こっていたとしても疫学的に検証するのは困難である(逆説的に言うと自然死する人と差が殆どなく難しいです)。厚労省の言い分が正しい。
佐藤委員:答えになってない。100万人接種当たり16.2件の死亡リスクは許容できるのかと聞いている。
>>本来は、コロナに罹患した際の死亡リスクとワクチン接種後の死亡リスクで比較すべき。これは佐藤先生の質問が飛躍し過ぎ。この聞き方では、コロナで死亡0に対して、ワクチンの死亡リスクがどこまで許容されるのか?と聞いているように聞こえる。下の厚労省の回答に同情します。
厚労省 :仮定の質問には答えられない。
佐藤委員:それをいうなら、接種者と非接取者をきちんと比較する体制を整えて疫学的評価をするべきだ。する気はあるのか?
厚労省 :やるのは難しい。世界でもやれているところは稀。人手もかかる。出来るところはやる。
>>佐藤先生は理論の中でコロナによる死亡リスクとワクチン接種後の死亡リスクを比較しろとおっしゃっている。それは至極まともな話であるが、現実のレベルではコロナの株毎、各国の医療体制、年齢や基礎疾患などの死亡リスク因子の分布、コロナの拡大に伴い治療のノウハウが変化していること、数え上げたらキリがない要因で、たとえデータがあったとしても正確なモデル構築、評価はかなり難しい(合っているか検証もできない)。
佐藤博士:比較的重大なアレルギー症状の報告は他のワクチンの10倍ぐらいある。放置していいはずがない。委員会として提言を纏めて厚労大臣に提出すべきだ。
>>副作用報告制度における、いわゆる副作用報告バイアスで、副作用が過小評価されると言うことはあるが、20年前、10年前とは医療現場の意識と因果関係が分からなくても、事後の事象を報告し、疫学的に評価すると言う考えが大分広がってきており、今回のように世界的に注目を集めている案件についてはかなり詳細に報告が上がっていると現場では感じています。ただ、接種後数日経って起こった事象については、医療機関でも漏らす可能性は否定できません。
全体を通じて、厚労省の方が科学的にブレずに、科学に真摯に回答しています。分からないところは、分からない、ただ人智の及ぶ可能な限り評価してワクチン接種にメリットがあると判断しています。もしこれ以上、厚労省が信じられないなら自分の身は自分で守るではないですが、国民一人一人が自分で判断して、接種かどうか、どちらにメリットがあるかを決めれば良いのではないでしょうか。
日比野
コメントありがとうございます。公衆衛生が御専門なのですね。貴重なご意見ありがとうございます。
厚労省は真摯に回答しているのですね。
私には、かみ合わない押し問答のように聞こえていました。
佐藤嗣道先生のバックボーンを知ったこともあり、余計に疑念を持ってしまっていたのかもしれません。
ただ、佐藤先生が質問されているように、ワクチン接種のメリットとデメリットについて、どのような根拠あるいは評価によって、こう判断しているという情報をもっと広報してもよいようにも思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
かりんパパ
ご回答ありがとうございます。
”ワクチン接種のメリットとデメリットについて、どのような根拠あるいは評価によって、こう判断しているという情報”についてお気持ちは判ります。
ただ、明示的な、エビデンスに基づく根拠を提示するというのはかなり難しい筈です(正確に理解するには、因果推論に基づく仮説のエビデンスレベルの評価ができないと理解できない筈です。そして、この因果関係というのが厄介で、人類史上それにまともに取り組んだのは、私の知る限りでは、仏教と科学(中でも統計学)しか存在せず、仏教ではそれを”空(人が考えたこと)”であるとし、一方、科学ではそれでは話が進まないので、”因果関係があると認めて良い場合のルール”を決めました。)。
今回のワクチンのメリットとデメリットについて、なるべく丁寧に記述してみると、まずメリットについての根拠は、
①ワクチンによりウイルスに対する免疫を高めることはウイルスに対して一定の効果があることはこれまでの他のワクチンでも実証されている。
②今回のワクチンは従来とは異なる異なる生体メカニズムを使っているが、ウイルスに対しての抗体価を上げることが試験的に確認されており、ウイルスに対してほぼ確実に効果があるであろう。ただし、どの程度かは未知数。
③コロナ蔓延下で人間に投与した場合、一定の効果があるように今までデータを見る限り、判断できる。ここが根拠が曖昧な部分で、理論的にはワクチン接種群と非接種群で比較しなければ本当のところは分からない。しかし、現実にはそういった理想的な状態で比較することができず(実際にそれをやると倫理上問題になる)、ワクチン接種済みの高齢者でオミクロンの広がりや死亡率などを見て間接的なエビデンスを見ているのですが、そもそもオミクロン自体の伝播や重症化率も違うので正確なことは誰も分からない。
ということになります。
一方、デメリットについてですが、
①今回のワクチンは新しい生体メカニズムを利用しているため、未知の有害事象が全く無いとは言い切れないが、人類の最新の科学知識をもってしても、致命的な有害事象に繋がる可能性はかなり低い。
②今までのデータ、例えば先に指摘された100万人当たり16.2件の死亡リスクは自然死のリスクと差があるとする明確な根拠が無い。(ここでは、ワクチン接種によるリスクが”ゼロ”と言っているのではなく、評価できなぐらい小さい、ということです。その次に、では、100万人当たり0.001人なら許容できるのか?10人なら許容できるのか?という議論になるのですが、それすらもできないということです。)
③もし、ワクチン反対派が巷間流布しているようなリスクが存在するなら、とっくに専門家レベルで提示できるが、今回の答弁では凄く偏った仮定を元にしか提示できていない(誰もできない)。
以上のメリット&デメリットから、ワクチンは社会的に推奨した方が社会的にメリットがある(効果が最低でも無いよりは”マシ”なのに、対し、デメリットに関しては致命的なリスクはかなり低いだろう。ただし、引き続きデータ収集をしてデメリットがメリットを凌駕するというエビデンスが得られた場合は、ワクチン接種を止める。現状、そのようなエビデンスは得られていない)というような判断で動いている筈です。
エビデンスの蓄積については、厚労省やPMDAは、実際に、NDBやMID-NETを使って、今もデータを解析することで実践しています。
もしかしたら一般の方は、そんなあやふやなエビデンスで動かしているのか?とお怒りになるかもしれません。安全かつ効果があるというエビデンスを得るまでワクチンを使うな、とおっしゃる方もいるかもしれません。そういう方にお尋ねしたいのは、ワクチンを使用しなかった世界、そしてこれからもワクチンが使用できない世界(使用できたとしてもタイミングは今より確実に遅れる)でコロナがどう広がり、どの程度の死者が出たのか想像しての発言でしょうか、ということをききたいです。もっと言うのであれば、今回のワクチンに限らず、全ての科学技術で同様の判断は行われています(普段、当事者でないから気に留めていないだけです)。
こうしたトライ&エラーをすることにより、人類は自然に適応し、数を増やしてきたのです。人の命を尊重するあまり、仮説を実証するまで動かず、自然のなすがままになり、死亡していく人たちを看取っていくか、尊い犠牲の元に仮説を検証しながら自然に適応していき、結果的に人の命を救えるだけ救うか、はどんなに科学が進んでも我々が為さなければならない決断です。私個人としては、前者を選択していたならば今いる多くの人はこの世に存在しないと考えています。何故なら結果的に人類は科学技術を習得し、人口を増やしてきたから。
日比野
こんばんは。丁寧な説明ありがとうございます。
2/19朝のエントリーでも触れさせていただきましたけれども、御提示されたメリットについては、国立感染症研究所から報告が挙がっているようです。
デメリットについては、ご説明を読んで気づいたのですが、「危険であるというエビデンスがないから接種を行う」と「安全であるというエビデンスがないから接種を行うべきではない」という見解の差というか立場の違いで意見が分かれるのかな、と思いました。
このうち、「安全であるというエビデンス」は裏を返せば「危険ではないことを示すエビデンス」ということですから、無いものを証明するといういわゆる「悪魔の証明」を行うことになってしまいます。従って、こちら側の立場に立つ限り、ほぼ永遠に証明することはできないと思われます。なので、次善の策として"時間を掛ける"ことでその代わりにしているのかな、と思いました。
ただ、薬事承認は、原則として全ての物事を禁止する中、「使ってもよいもの」を許可する、いわゆるポジティブリストとして扱っていると思いますけれども、治験中であっても緊急措置として特例承認した場合は、やはりその周知は徹底すべきではないかと思います。
勿論、政府はやっているとは思いますけれども、マスコミ報道では殆ど見かけないので、そこは気になりました。
今後ともよろしくお願いいたします。