

1.日米韓外相会談
2月13日、ハワイで日米韓外相会談が行われました。
今回は、5年振りに共同声明が纏められ、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイルの発射に対して深刻な懸念を共有したうえで、抑止力を強化するため、日米韓3か国の安全保障分野での協力を強化していくことで一致しました。
会談のあと、林外相は「連携をさらに深めていくことを確認できたのは極めて意味がある」と述べ、成果を強調しました。
報道では共同声明で「3ヶ国の安全保障協力を進めると約束した」などと報じられています。
これだけ読むと、日韓は兎も角、日米韓の3ヶ国の枠組みでは互いに協力するのだな、とも読めてしまうのですけれども、この文章の前段を読むと少しニュアンスが変わってきます。
件の文は前段を含めると次のように記載されています。
閣僚は、日米同盟及び米韓同盟が地域の平和と安定の維持にとって不可欠であることを再確認した。この文脈で、閣僚は、三か国の安全保障協力を進めることにコミットした。
日米同盟と米韓同盟という文脈の下で三ヶ国が強力するとなっています。日韓という枠組みはありません。つまり、アメリカをハブとした日韓米の三ヶ国であって、日米、米韓、日韓のトライアングルを形成した形での協力ではないということです。
これはすなわち、日韓の協力については、アメリカが橋渡し、仲介役を行うということを意味します。
2.日韓外相会談
この日米韓外相会談に先立って、日韓外相会談が行われています。
その概要は、外務省のサイトによると次の通りです。
現地時間2月12日正午(日本時間2月13日午前7時)から約40分間、日米韓外相会合出席のため米国(ホノルル)を訪問中の林芳正外務大臣は、鄭義溶(チョン・ウィヨン)韓国外交部長官と日韓外相会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。このように、会談は平行線に終わっています。決まったのは今後も話し合おうと確認したことだけ。
1 両外相は、北朝鮮への対応を始め、地域の安定にとって日韓・日米韓協力が重要であることを改めて確認した上で、2月3日の日韓外相電話会談に引き続き、両国間の懸案を含む二国間関係について率直な意見交換を実施しました。
2 両外相は、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題、その他の両国間の問題についてやり取りを行いました。この中で林大臣から、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題に関する韓国国内の動きにより日韓関係は引き続き非常に厳しい状況にある旨述べた上で、これらの懸案を含め、両国間の問題に関する日本の一貫した立場に基づき、韓国側が責任を持って対応する必要があるとして韓国側に適切な対応を改めて求めました。鄭長官からは、韓国側の立場に基づく発言がありました。
3 両外相は、「佐渡島の金山」のユネスコへの推薦についてもやり取りを行いました。林大臣からは、韓国側の独自の主張は受け入れられず、遺憾であると改めて抗議しました。その上で、我が国としては、「佐渡島の金山」の文化遺産としてのすばらしい価値がユネスコにおいて評価されるよう、冷静かつ丁寧な議論を行っていく考えであり、韓国側とも誠実に議論を行っていく旨改めて伝達しました。
4 両外相はまた、人的往来についても意見交換を行いました。
5 両外相は、今後とも、日韓関係を健全な関係に戻すべく、外交当局間の協議や意思疎通を加速していくことで一致しました。
3.アメリカが圧力を掛ける時代は過ぎた
日韓の溝は全く埋まっていないのですけれども、だからといって日米韓3ヶ国協力において日韓のハブとなるアメリカは、その役目を積極的に果たす積りはないようです。
2月15日、米韓同盟財団と在韓米軍戦友会が共同で開催したオンライン懇談会に出席したアメリカ国務省のランバート副次官補は「日韓関係改善は非常に重要だ」とした上で「新しい大統領が就任するまでの約2ヶ月間、アメリカは韓国の新しい大統領と関係を築き、安全保障政策を調整しなければならない」と述べました。
そして、ランバート副次官補は「アメリカにとって貴重な同盟国である韓国と日本が十分に協力しないとき、我が国は安全ではなくなる……アメリカは圧力を通じて韓日に対し互いにうまく付き合わせることもできるが、そんな時代は過ぎたし、またそうすること自体が不適切だ……韓国と日本は共同の利害に基づき自発的に関係を改善しなければならない」との考えを示しました。
ランバート副次官補は更に、「ある国は国際秩序の安定を害し、脅威を加えて不安を高めている……韓米は一致した声でこれを糾弾し反対しなければならない……もしインド・太平洋地域に多者協力体制を立ち上げるとすれば、韓国がまず初めに加入することになるだろう。韓国を必ず含めたい」とも述べました。
ランバート副次官補は「わが国は持続的に抑止力と準備態勢を持ち続けるため努力するし、訓練を続けねばならない……韓米両国の軍隊は韓国を守るため連合訓練をすべきだ」と、3月の米韓連合訓練延期論に否定的な見方を示しています。
このランバート副次官補の発言で注目すべきは何といっても「アメリカは圧力を通じて韓日に対し互いにうまく付き合わせることもできるが、そんな時代は過ぎたし、またそうすること自体が不適切だ」と述べた点でしょう。
なぜなら、裏を返せば、日韓協力に対し、アメリカが仲介を果たすために圧力を使ったことがあると白状したことになるからです。そしてそういう"圧力を掛けた時代"は終わったし、そうすることは適切ではないと宣言したのですね。
つまり、もはや韓国のアメリカに対する対日ロビー活動は通用しないということです。用日ならぬ用米は終わったということです。
まぁ、バイデン大統領が副大統領時代に仲介して結んだ日韓慰安婦合意が韓国によって一方的に反故にされましたからね。そうなるのも当然です。
韓国の次の大統領については、誰がなっても反日は揺るがないと見られていますから、日韓関係改善は、新大統領になっても変わらないと思われます。けれども、日韓関係改善に向けて、アメリカが圧力を掛けないのであれば、あとは日韓両国の問題です。
国際法を破る国に対し、日本が妥協するものは一切ありません。
日本は、韓国に甘い顔を見せることなく、韓国の嘘は指摘し、広く世界に情報発信すべきではないかと思いますね。
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