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1.五輪の政治利用発言
2月17日、北京冬季五輪大会で、IOCと大会組織委員会との合同定例記者会見において、組織委員会の厳家蓉報道官が中国新疆ウイグル自治区での強制労働の疑いを指摘する声に「嘘」だと反発したことが物議を醸しています。
これは、記者からIOCに対し、大会関係者のユニフォームが新疆ウイグル自治区で強制労働によって作られたのではないかという質問が出た際に起こりました。
厳報道官は記者とIOCとのやり取りに割って入り、「新疆でのいわゆる強制労働は、意図をもつグループが作り出した嘘だ」と述べました。
また、台湾が20日の閉会式に参加するのかとの質問もあったのですけれども、IOCのマーク・アダムズ広報担当が答えた後、厳報道官は「1つの中国しか存在しない……私たちはずっと、大会の政治利用に反対している。IOCは206の加盟国があり、中華人民共和国とチャイニーズ・タイペイ・オリンピック委員会も含まれている」と話しました。
オリンピックの政治利用に反対しているといった口で、一つの中国と政治発言をする。一行で矛盾しています。
2.ウクライナ危機と台湾危機
当然ながら、この発言に台湾は反発しました。18日、台湾外交部「わが国の主権を損なう誤った発言だ……台湾は台湾であり、中華人民共和国とは互いに隷属しない」と厳重な抗議を表明し、中国が台湾の主張をねじ曲げても客観的事実は変えられないと強調しています。
もっとも、「一つの中国」論自体は、中国が昔から主張してきたことなので、特に目新しいものでもないのですけれども、オリンピックの政治利用とは別にこのタイミングでの発言はやはり波紋を呼びます。
なぜなら、今のウクライナ問題と連動して、中国軍による台湾進攻を連想させるからです。
これについて、元米海軍副次官でヨークタウン研究所創設者のセス・クロプシー氏は「ロシアはウクライナに対する大規模な侵攻に必要な準備のほぼすべてを終え、危機は目前に迫っています。その裏で実は、アメリカの政府当局者たちは中国による台湾侵攻にも焦点を当て始めました。ウクライナと台湾、この二つの地域はユーラシア大陸における大規模な覇権争いとして互いに連結しており、それぞれを切り離して見るべきではありません。ロシアにとってウクライナを獲得することは悲願であり、中国共産党にとって台湾を奪取することが国家目的です。そして、アメリカはユーラシア大陸の東端と西端、二つの地域で戦争に関わる備えができていません。その隙に乗じる形で、ロシアのウクライナ侵攻と同時に、中国が台湾を攻撃する可能性を排除できないのです」と警告しています。
3.台湾進攻の意欲を失った習近平
一部では、北京冬季五輪が終わったあとに台湾進攻するのではという噂も囁かれていますけれども、肝心の習近平主席の様子がおかしいという指摘も出ているようです。健康問題です。
習近平主席の国家主席続投を巡って、中国共産党内部で行われているとされる激しい権力闘争で、政敵を押さえこむためには、習近平主席は、元気な姿を見せ続ける必要があります。
2021年4月にアメリカ戦略国際問題研究所(CSIS)とオーストラリアのローウィー研究所は、共同で、習近平主席の引退に関する報告書を作成しています。
報告書は「中国の後継体制の将来とその影響について考えるため」として、四つのシナリオを提示しているのですけれども、その一つに健康問題が挙げられています。
報告書は「健康状態については詳細が不明なため、能力低下の可能性についての推測は控える」としながらも、「当局は習近平氏の健康に関する報道を厳しく管理しており、この問題について書いた外国人ジャーナリストには査証を取り消すと脅している」と述べています。
そして、習近平氏に万が一のことが起きた場合、「その際のプロセスはシンプルだ」とし、党総書記は党中央委員会総会の場で政治局常務委員の中から選ばれ、国家主席は全人代で選出されるということに尽きる、と指摘しています。
その習近平主席は北京冬季五輪の裏で緊急手術をしたのではないかとの情報もあります。
ジャーナリストの鳴霞氏は、ここ10日程、習近平主席が姿を見せなかったのは、中国軍の病院で腎臓と脾臓の手術をいっぺんに行ったと述べています。
そのため、現在、習近平主席は体がかなり弱っており、台湾進攻を行う意欲も失せてしまっているのだそうです。
鳴霞氏は習近平主席が回復するのに最低でも1ヶ月、2ヶ月かかるだろうとし、台湾の話は一切しないのだそうです。これが本当であれば、台湾進攻はしばらく見送られることを意味します。
日本はこの間に、台湾防衛、尖閣防衛、国家安全保障体制を整えておくべきだと思いますね。
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