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1.世界が驚いた岸田総理の対ロ制裁
3月24日~25日、岸田総理はベルギーのブリュッセルで開かれたウクライナ情勢をめぐるG7首脳会議に出席しました。
岸田総理は、この中でウクライナの状況は、国際秩序の根幹をめぐる歴史の岐路に立っており、国際社会が連携してきぜんと対応していく必要があると指摘しました。
そして、ロシアに対する制裁措置をめぐり貿易上の優遇措置などを保障する「最恵国待遇」の撤回に向けた法改正を今の国会で行うために準備を急ぐことや、ロシアがデジタル資産を用いて制裁を回避しようとする動きに対応するため、金融面の制裁をさらに強化することや、81の軍事関連団体を輸出禁止の対象とし、プーチン政権に近いとされる「オリガルヒ」と呼ばれる富豪らの一部を制裁対象に追加することなどを表明しました。
更に、先に表明したウクライナや周辺国への1億ドルの人道支援に加え、さらに1億ドルの支援を行う方針を表明したほか、ウクライナからポーランドなど周辺国に避難している人たちを支援するため、自衛隊の医官などを派遣することも念頭に、保健医療分野での人的貢献を行うことや、引き続き国内での避難民の受け入れを進める方針も明らかにしました。
また、インドとカンボジアで両国の首脳と会談した結果なども報告し、アジア地域でもロシアに対する包囲網の形成に貢献する方針を伝えたということです。
アメリカのバイデン大統領が21日、ワシントンで開かれた企業経営者らとの会合で、ロシアへの対応について「北大西洋条約機構(NATO)や太平洋地域で共同戦線をとれている。クアッドでもインドを除いて、日本が非常に強い対応をとっているし、オーストラリアにも同じことが言える」と述べ、イギリスのデイリーメール紙やフランスのAFP通信が、日本の強い対応について驚きを持って報じていますけれども、今回の対応は"検討使"岸田総理とはとても思えない速さです。
2.バイデンの脅しにビビった習近平
3月18日、アメリカのバイデン大統領は中国の習近平国家主席とテレビ電話で会談し、ロシアによるウクライナ侵攻や米中関係について協議しました。会談は約2時間にわたって行われ、この中でバイデン大統領は、侵攻を続けるロシアに対して中国が経済的・軍事的な支援を提供しないよう求めたとみられています。
会談前日の17日、アメリカのブリンケン国務長官は記者会見で、「バイデン氏は習氏に、ロシアの侵攻を支援する行動への責任は中国が負うことを明確に伝える」と述べた上で、中国がロシアへの支援に踏み切った場合は「代償を科すことをためらわない」と述べました。
米中会談では、バイデン大統領がこの方針を習近平主席に伝えたそうなのですけれども、中国国営新華社通信によると、習近平主席はウクライナ危機について、「国家の関係が武力行使まで進んではならず、衝突や対抗は誰の利益にもならないことを改めて示している……我々は中米関係を正しい軌道に沿って発展させるだけでなく、果たすべき国際的責任を担い、世界の平和と平穏のために努力しなければならない」と、侵攻を批判せず、制裁に反対しています。
では、会談は平行線に終わったのかというと、そうとも限りません。
3月24日、バイデン大統領は訪問先のブリュッセルでの記者会見で、18日の米中会談について問われると、「脅しではない」と前置きしつつ、習近平主席に対して中国が対ロ支援をした場合に中国経済の受ける影響を説明したところ、習近平主席は、「対ロ支援のもたらす結果を理解した」と語ったことを明らかにしました。
これについて、評論家の石平氏は、あれほど傲慢な習近平が「分かりました」というのは非常に珍しいと指摘した上で、アメリカのサリバン報道官が米中首脳会談以降、中国がロシアに対して軍装備品の供与に踏み切った痕跡は見られないと発表したことに振れ、アメリカの偵察能力からみて本当にないのだろうと述べています。
この通りだとすれば、習近平主席は、バイデン大統領の"脅し"にビビって、大人しくすることを選んだことになります。
3.北京はモスクワと東京が関係を修復することを望んでいる
けれども、あの中国がいくら脅されたからといって、いつまでもじっとしているとはとても思えません。表で動けないのなら、裏で見えないよう工作を掛けていると思います。
3月22日、中国外交部の汪文斌(ワン・ウェンビン)報道官は、記者会見で、ロシアが、ウクライナ情勢をめぐり日本の対ロ制裁に対抗して、日本との平和条約交渉を停止するとともに、北方領土での共同経済活動に関する日本との交流を中断すると表明したことについて、「報道に留意している。中国は、モスクワと東京が関連する問題を首尾よく解決することを望んでいる」と述べました。
もっとも、汪文斌報道官は、それ以上具体的なことはコメントせず、直ぐに次の質問に移ったそうなのですけれども、ただ注視しているだけとも思えません。
岸田総理はG7首脳会談後、記者団に対し「今回の対面でのG7首脳会合はロシアの暴挙を決して許さず、G7が主導して国際社会の秩序を守り抜くという強い決意を確認する大変有意義な会合となった……私から、ロシアによる平和条約交渉の中断宣言にひるむことなく、今後とも断固とした対応をとっていくと強調した。わが国はG7の来年の議長国として各国と緊密に連携しながら、ロシアの侵略に対する国際的な取り組みをリードしていきたい」と意気込みを見せていますけれども、筆者には岸田総理の対応の速さに少し違和感を覚えています。
4.中国は日本を身代わりにする
ロシアのウクライナ侵攻について、日本の評論家や識者の中でも、ロシアのプーチン大統領寄りの発言をする人がちらほらいます。とりわけ、ウクライナに降伏を勧める発言をした橋下徹・元大阪市長などはネットなどで批判されています。
勿論、言論人が色んな意見を持ち、発言することは自由です。ただ、彼らの中でこのように意見が分かれるのであれば、当然、政治家の中でも意見が分かれていてしかるべきです。親ロ派で知られた維新の鈴木宗男氏は、はっきりとロシア擁護の発言をしています。
このような状況は、中国にしてみれば、わざわざ親ロ派でなくても、親中派の政治家にロシアに対する制裁を緩めるまたは解除させるよう裏工作していることは十分に考えられます。
要するに日本を操って、対ロ制裁を解除させることで、ロシアをサポートすると同時に、日本をアメリカの矢面に立たそうという策略です。要するに身代わりです。
そういう文脈から岸田政権を見てみると、真っ先に思い浮かぶのは、林芳正外相です。
林外相は、2月24日にガルージン駐日ロシア大使を呼び、ウクライナへの攻撃を非難するとともに、軍の撤収を求めていますけれども、目を合わせることなく紙を読み上げただけのやる気のない態度でした。
また、先日のウクライナのゼレンスキー大統領の演説でも、胸ポケットにはチーフではなく携帯を入れて、足を組んでは、マスク越しでもはっきりと分かる欠伸をしていました。
この模様はテレビで報じられ、非礼にも程があると散々叩かれています。
けれども、もし、林外相が中国から工作を受けており、その返答として、このような態度をわざと見せているのかとさえ勘ぐってしまいます。
5.次期総理を狙う林芳正の逆張り
林外相が、自分はウクライナ側ではないと対外的にアピールするために、意識してパフォーマンスをしたとしたら、確信犯といってよいかと思います。
では、なぜ林外相はそのような態度をとっているのか。
ここからは、筆者の妄想に過ぎませんけれども、これは、次の総理総裁を狙うための策なのではないかと思います。今は、ウクライナならびに西側諸国が優勢ですけれども、万が一、ロシアが勝利を収める場合を考え、そちらにチップを賭けたということです。いわゆる逆張りです。
もし、何らかの理由で西側諸国の結束が崩壊し、ロシアが最終的な勝利を得たとすると、日本でウクライナ側に立っていた人達は途端に厳しい立場に追い込まれます。
その時、林外相は、ほら見たことか、と党内での発言力を増し、一気に次期総理候補筆頭として名乗りを上げる、という訳です。
既に林外相は、所属派閥である宏池会で力を握っているようで、岸田総理が、総理になれば派閥の会長を辞さなければならないという慣例を破って、未だに宏池会会長でいるのは、派閥を抜けると林外相に乗っ取られてしまうからだという噂もあるくらいです。
現在、林外相は岸田政権の閣僚として、立場上はウクライナ側に立っているとしつつ、本音は親中親ロだとアピールしている。見方によっては非常に美味しいポジションにいるともいえます。
中国が対露制裁をやめさせようと、自民党に工作を掛けているとすると、その相手は林外相だけなんてことはありえません。親中派議員全てに声をかけている筈です。だとすると、宏池会のみならず、自民党の多数派がいつ親露に転んでもおかしくない。
おそらく、岸田総理もそれを察知した。察知したが故に、岸田総理にしては"あり得ない"素早さで、対露制裁を宣言したのではないか。そうすることで、中国からの工作の影響をキャンセルしようとしているのではないか、ということです。
もしそうだとすると、日本は言論界含め政界の水面下では、工作活動という名の戦争が行われているのだと見てよいかもしれませんね。
……妄想です。
この記事へのコメント
詠み人知らず
Naga
少しだけつまらぬことでやったことはありますが。