世界と世論に矯正される林外相と駐日ロシア大使

今日はこの話題です。
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1.コルスンスキー駐日ウクライナ大使


3月2日、林芳正外相はウクライナのコルスンスキー駐日大使の表敬を受けました。

その概要は次の通りです。

冒頭、林大臣から、国家の主権と独立のために奮闘されているウクライナ国民に心からの敬意を表するとともに、ロシアの侵略による犠牲者に衷心より弔意を伝達しました。これに対し、コルスンスキー大使から、ご多忙の中、速やかに表敬依頼に応じて頂き感謝申し上げる旨の発言がありました。

林大臣から、今回のロシアによる侵略は、ウクライナの主権及び領土一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の重大な違反であり、このような暴挙は決して認められず厳しく非難する旨述べました。また、我が国としても、プーチン・ロシア大統領を含む個人・団体への制裁やロシア中央銀行の資産凍結等の厳しい対ロシア制裁措置に加えて、ベラルーシへの制裁措置も行うなど迅速に措置を講じていく旨述べました。

林大臣から、少なくとも1億ドル規模の借款による支援、1億ドルの緊急人道支援、日本在留を希望する在留ウクライナ人の在留期間延長など、できる限りの支援をしていく旨述べました。

これらの日本の取組に対し、コルスンスキー大使から高い評価と深い感謝の意と更なる協力への期待が表明されました。

林大臣から、在留邦人の安全が守られるよう引き続きの支援を要請しました。

在留邦人の安全が守られるなど、当たり前すぎることを今頃要請するのは、遅いどころか手遅れに近いといっていい程です。


2.言い訳になってない林外相


この大変な情勢でウクライナが他国に支援を求めるのは普通のことだとは思いますけれども、実はウクライナのコルスンスキー大使が一ヶ月も前から面会を要請していたにも関わらず、面会できていなかったことが発覚し、騒ぎになっています。

3月2日に行われた参院予算委員会で、国民民主党の川合孝典議員が「大使から面会を求められたことについてご存じでしたか」との質問が、その切っ掛けです

答弁に立った林外相は「クレバ外相と25日に電話会談を行い、19日、27日のG7外相会合でも議論を行っている。岸田首相とゼレンスキー大統領と電話会談の際、私からロシアを強く非難する旨を述べたことについて、クレバ外相から謝意を表明された」と話し、この日の夕方に大使との面会を調整すると説明しました。

これに対し、川合議員は「ウクライナ問題がこのようなことになっていることが容易に想像できる中、1ヶ月間、面会を求めて放置してきた自体が危機管理対応として極めて緩慢な動き」と指摘。林外相が「私自身は大使からの面会要望は承知をしてなかった」と話すと、川合議員は「外務省が勝手に止めていたとすれば。これは著しい越権行為では」とさらに厳しく追及。林外相は「こういうことがないようにしっかりとやってまいりたい。どういう事情だったか確認しておきたい」などと釈明しまくりでした。

岸田総理も面会が実現しなかったことについて問われ「双方の日程などの事情があったと想像するが、緊迫した事態の中で関係国と意思疎通や情報交換を図る機会は努力して設けるようにしていく姿勢は大切だ」と述べたところ、川合議員は「双方の事情というが、コルスンスキー氏は『会いたい』と言っている。当方の事情だ」と逃げを許しませんでした。

更に、このやりとりに国民民主党の大塚耕平参院議員は、ツイッターで「これは問題だと思う。外務省内の対応を検証すべきだ」、「NATOとの全面戦争やら核戦争に発展するかもしれない緊張状態にあって当事国の大使との面会要望が外相に上がってこない方がむしろまずい」、「そもそもウクライナの大使と面会する意志を直近1カ月の間に示していなかったことの方が驚き」、「この人、何の為に誰の為に、どこの国の為に外相やってるんだ? 言い訳の内容もまるで他人事」などの厳しい意見が相次いでいますけれども、当然でしょう。


3.世界情勢と世論が林外相を矯正する


ネットでは林外相のセンスの無さを指摘する声や、また後ろから官僚を撃ったのかなど散々に批判されていますけれども、経済評論家の渡邉哲也氏が、こちらに時系列で事実関係と情報を精査しまとめたものをアップしています。

その中で林外相が2月17日に、日本国際問題研究所がオンライン形式で開いた会合で講演した内容の概要があるのですけれども、それは次のようなものでした。
■「ロシアとの間で安定的な関係を構築することも重要」
■軍事演習などで「中国とロシアとの協調姿勢は顕著になっている」
■米国に関しては「圧倒的な政治力、経済力、軍事力により指導力を発揮し、単独で国際社会の安定と繁栄を支えるという時代でもなくなった」
■「中国を日米とは異質なものとして、その実像から目を背けることも、日本がとるべきアプローチではないことは明らかだ」と強調。
■今年が国交正常化50年を迎える中で「建設的かつ安定的な日中関係の構築を目指す」
アメリカ一極の世界ではなくなったのだから、ロシアとも中国とも関係を築いていく。なんだかもう「八方美人外交」をやるようにしか見えません。

おそらく本音ではそんな外交をしたいのでしょう。けれども、そんな八方美人外交をして許してくれるほど世界は甘くない。だから、周りから散々批判されて、切羽詰まってからしぶしぶ動くことになる。

岸田総理は「新時代リアリズム外交」とかいっていますけれども、世界情勢や世論が林外相を「矯正」している面があるのではないかとさえ思えてきます。


4.言い訳になってないガルージン大使


フラフラしている林外相と好対照を為しているのが小野寺元防衛相です。

3月2日、BSフジ『プライムニュース』に出演した小野寺元防衛相は、同じくゲストとして出演したミハイル・ガルージン駐日ロシア大使とウクライナ問題について議論しました。

その模様はこちらのサイトで紹介されていますけれども、ガルージン大使の「国際社会が見逃してきた、ウクライナの政権による、東部住人への虐待、経済封鎖、空爆を含む攻撃」に対し、住民保護を目的とした「特別作戦」をやっているだけだという主張に、小野寺元防衛相は「それをもって武力行使していい理由にはならない。言い訳になってない」とバッサリ。

2月24日、林外相がガルージン駐日大使を外務省に呼び、「直ちに侵攻をやめ、ロシア国内へ撤収すべきだ」と要求しましたけれども、林外相が大使に目も合わせず、手にした原稿を読み上げるだけのとは全く違います。

どっちが外相なのか分かりません。

たしか岸田総理が林芳正氏を外相に据える際、小野寺元防衛相を推す声が挙がっていたという話があったように思いますけれども、これをみれば、やはり小野寺元防衛相の方が、ずっと外相に相応しいと思わざるを得ません。

林外相にしてみれば、自分のやりたい外交がさっぱりできず、意に添わぬ外交ばかりさせられていると思っているかもしれませんけれども、そういう姿勢では全てが後手に回ります。

曲がりなりにも岸田総理が「新時代リアリズム外交」を謳っている以上、少しは小野寺元防衛相に倣って、リアリズムの姿勢を見せていただきたいと思いますね。




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