

1.カオスな愛知県知事選挙
2月5日投開票の愛知県知事選挙がカオスになっているようです。
今回の愛知県知事選挙には届け出順に無所属新人の安江朗氏(55)、無所属新人の末永啓氏(37)、政治団体「起きる会。」新人の山下俊輔氏(60)、無所属新人の上原俊介氏(46)、共産党が推薦し社民党が支持する無所属新人の尾形慶子氏(65)、自民党愛知県連・立憲民主党・公明党・国民民主党が推薦する無所属現職の大村秀章氏(62)の6名が立候補しています。
選挙戦最後の日曜日となった1月29日、6人の候補者は名古屋市内の街頭などで、それぞれ支持を訴えました。選挙戦終盤となり、閣僚や政党幹部も候補者の応援に訪れていました。
1月31日のエントリー「武漢ウイルス対策のアップデートと検証」で少し触れましたけれども、現職の大村知事の応援演説に河野太郎デジタル相が演説したのですけれども、聴衆の中からは「謝罪しろ」の大合唱が起こったり、複数の候補者が隣の位置で街頭演説して互いの邪魔になったりと、中々のカオスぶりです。
1月31日、大村知事は、街宣場所を確保していたところ、ある陣営が後からやって来て、話し合いをすることもなく「どけ」と恫喝してきたこともあったとして「選挙活動は、ルールとマナーを守って行って頂きたいと思います」と選挙戦が無秩序の様相を呈しているとツイートしました。
もっとも、大村知事の件のツイートには「明らかに後から来てデカい音量で演説始めた大村さんよ」とか「事前告知しようが、告知したから場所は確定ではない。よって、嫌がらせではない」とか、反論のリツイートが寄せられるなど、どっちもどっちに見えなくもありません。
選挙活動は、ルールとマナーを守って行って頂きたいと思います。
— 大村秀章 (@ohmura_hideaki) January 31, 2023
2.候補者6人中4人がワクチン接種に懐疑的
愛知県知事選での各候補の主張で目立つのは、県の武漢ウイルス対応への批判です。中日新聞が実施した候補者アンケートでは、なんと6人中4人がワクチン接種に懐疑的な姿勢です。公約では「ワクチン接種の即時中止」とか「ワクチン接種など公共として個人の健康に踏み込み過ぎ」とか「若い人へもワクチンを打つ国の姿勢自体が誤り」だとか、手厳しい批判を公約に掲げています。
中でもネットの一部で話題になっているのは、末松啓候補です。末松氏の主張はいわゆる巷で「陰謀論」とされているもので、とりわけ、末松氏の政権放送はいわゆる「タブー」に土足で踏み込む"過激"なものです。実際、末松氏の政見放送はユーチューブに挙げても、すぐにBANされてしまうようです。
末松氏の応援演説には、「ごぼうの党」の奥野卓志代表が駆け付け、「ユーチューブだとワクチンの話ができない」と演説するなど、そういう話がテンコ盛りです。
ただ、ごぼうの党は先の参院選で議席は獲得できなかったものの、得票率では0.4%と、NHK党、社民党の2.4%の6分の1程度の得票率があります。
従って、今回の愛知県知事選で末松氏が0.4%程度得票するのであれば、いわゆる「陰謀論」を支持する人がそれくらいはいることになります。

名駅盛り上がっていたようですね
— スマイル先生 (川村芳彦) (@hidamari2) January 28, 2023
愛知県知事選
末永けい
応援にごぼうの党
奥野さん
すぐ隣で
現 大村知事
人気は圧倒的、末永けい
大村知事はカメラだけたくさん
マスコミの操作でしかない
圧倒的人気は
末永さんでも
テレビや新聞で取り上げるのは
大村知事
テレビは国民を洗脳する機械 pic.twitter.com/giwSUOzp1t
【この政見放送はYoutubeで即バンでした!】末永けい愛知県知事選候補の放送内容はあまりにもDS側には過激でした。勿論、ワクチンの裏事情にも突っ込んでいます。圧倒の5分間を是非ご覧ください!https://t.co/WeyxYxeS8j#末永けい #愛知県知事選 #愛知から日本を取り戻す #厭離穢土欣求浄土 pic.twitter.com/GQ4FMu0Rg9
— たかりん。7 新垢✕3🎌 (@kankoku_evenki) January 29, 2023
3.安倍元総理銃撃の真犯人は山上ではない
ただ、「陰謀論」なるものを信じる人が、一部に留まっている間は、世間への影響はそれほどないため、あまり気にされることはないのでしょうけれども、それが、知事選候補者の発言というレベルになると、その影響力は大きなものになっていきます。
それは、ネット動画で沢山のチャンネル登録者を持つインフルエンサーでも、同じなのかもしれません。
更に、社会的地位の高い人も、配下が多い分、影響力はあるでしょう。
週刊ポスト2023年2月10・17日号で、公安調査庁のベテラン調査官がいわゆる「陰謀論」メールを流しているという衝撃的な記事を掲載しています。
その内容は、例えば「安倍元総理射殺の真犯人は山上ではない。別のスナイパーがいて、それを証明する動画などもあるが、マスコミから無視されている」とか「トランプの選挙不正は事実。なぜ陰謀論と言われるのか。それは闇の政府のDSが裏で関係しているから」とか「トランプはDSの闇を暴こうとしているが、DSによって真実が報道されることはありません」とか「DSの存在が否定されるほうが彼らにとって都合がいい」といったものだそうです。
確かにネットで、なんとかアノンが主張していた内容と被っているように見えます。

4.嘘の嘘、それはくるりと裏返る
ある公安調査庁関係者によると、このベテラン調査官は、複数の職員に対して、そうした文面をメールやSNSなどで送っているそうで、本人は重要な情報と考えているのだろうが、内容が内容なので受け取った職員たちはどう対処したらいいのか困惑するも、実績のあるベテラン職員だけに、上層部も困惑しているとのことです。
週刊ポストは当のベテラン調査官に直撃取材したのですけれども、陰謀論を信じているかについて「それは私の内面の話であり、ごく親しい間の人では、そういうことに触れたかもしれないが、それは、一般論ですから。私は一般論として、多角的な考え方をする。最終的な結論を出すには、物事を見る時に色々な見方をしてからするべきではないかと考えています。私が、たとえばYouTubeに出て話をしたというのであればご批判も受けますが、出したかどうかもはっきりしないメールについて言われてもそれは困ります。私的なメールのことなので、内面のことで断罪されるのか、という話です」と明言を避けています。
まぁ、これは週刊誌の記事ですから、その信憑性はアレですし、単なるトバシ記事の可能性もあります。ただ、愛知県知事選といい、この種の「陰謀論」が紙面を賑わすのは、それだけ世間の関心があるということでしょうし、掲載しても問題ないという判断が働いているからでしょう。
ただ、たとえ陰謀論とされているものでも、未来永劫に渡って陰謀論であり続ける保証はありません。また、逆に陰謀論であっても、皆がそれを信じてしまえば、それは事実になってしまいます。
前者はイーロンマスク氏のツイッター買収からのいわゆる「ツイッターファイル」によって、陰謀論の「論」が剥がれつつありますし、後者は、たとえば、武漢ウイルスワクチンに発症予防効果がなかったにも関わらず、発症予防効果があると宣伝し、皆がそれを受け入れていました。結果としてみれば、「発症予防効果がある」というのはしばらくは「事実」として扱われていた訳です。
勿論、今にあって未来を見通すことは容易ではありません。ただ、今そうだと思っていることが未来にひっくり返るかもしれないと思えるだけの柔軟性を備えていることは、決して悪いことではないと思いますね。
発症予防効果95%も除外を使った詐欺。https://t.co/MdAjj6GFcr https://t.co/PpB0DQ43Yu pic.twitter.com/45sEVFoHkS
— 藤川賢治 (FUJIKAWA Kenji) @ 医療統計情報通信研究所 (@hudikaha) February 1, 2023
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